問題の種類を4つに分類。厄介な問題とは?
問題解決を考えるには、どのような問題の種類があるかを知る必要があります。問題の種類によって解決のアプローチ方法が異なるためです。今回は問題を4つの種類に分類してみます。
問題解決の定義
ます問題解決の定義を簡単に整理します。
問題とは「目指すべきゴールやありたい姿(ToBe)」と「現状(As is)」の差(Gap)と定義します。課題とは数ある問題の中から解決すべき問題と定義しています。
問題解決を行うには、1.ゴール・方向性がどこまでコンセンサスがとれているか、2.現状の知識や情報がどこまで揃っているかにより、3.課題設定とそれに紐づく4.解決策がの精度が決まってきます。
解決策立案には課題設定が前提であり、課題設定するにはありたい姿やゴールの定義と現状分析が不可欠となります。ありたい姿やゴールに関しては、それが定義されているもしくは方向性が明確だったりコンセンサスが取れているかどうかが重要です。同様に現状の知識、情報、技術がどこまで揃っているかも明確でないと適切な課題は設定できなくなります。
問題の種類は4種類
問題の種類はゴールの方向性のコンセンサスがあるかないか、現状の知識や情報が揃っているか・不足しているかで下図のように4つのパターンに分類することができます。横軸が方向性のコンセンサスの有無。縦軸が現状の知識・情報の有無です。
単純な問題とは?
目指すべき方向性やゴールのコンセンサスが取れていて、必要な情報も揃っている。課題は定義済か設定することが難しくない問題のことを単純な問題(SimpleProblem)と呼びます。何をすべきかの課題も明確になってるか、定義するのがさほど難しくない問題です。このような問題解決の主な作業は解決策(How)を考えることになります。
例「ワクチン接種を対象者に効率的に行うにはどうする?」といった問題。ワクチン接種を行うことは決まっている。対象者の人数など、接種手順も明確。あとは効率的にどのように行うか課題を整理して解決策を考える。
複雑な問題とは?
目指すべき方向性やゴールのコンセンサスは取れているが、必要な情報や知識・技術は揃っていないか不足している状態で、課題も明確化されていない問題。これは複雑な問題(ComplexProblem)と呼びます。この問題では現状の把握と理想とのギャップから課題設定、解決策立案を行います。複雑ではあるが論理的・技術的なアプローチで解決を目指せる問題です。どのような課題設定をするか、どのように実現するかを考えることがメイン。
例「効果の高いワクチンや飲み薬をどうやって開発するか?」といった問題。ゴールは明確。技術的課題を整理して論理的・分析的に解決策を探る問題。
厄介な問題とは?
目指すべき方向性のコンセンサスはとれていなく、必要な情報や知識もそろっていない状態で、課題も不明確な問題。これは厄介な問題(WickedProblem)と呼びます。情報や知識不足、対話不足からコンセンサスが取れていない、またはトレードオフの問題がありコンセンサスが得にくい問題です。技術的な複雑さにも起因する場合もありますが、社会的、組織的な問題も多く見られる問題です。ありたい姿・ゴールの定義をどうするかがポイントになります。
例「ワクチン接種に対する不安や否定的な人々への対応をどうとうるか?」といった問題。情報不足から不安や否定的にとらえている場合もある。対話ワークショップ、デザイン思考など当事者と共に考えながら解決策を探る問題。
倫理的な問題とは?
死生観、宗教観に関する問題。ありたい姿やゴールのコンセンサスを取ることが難しいが、知識や情報はある程度揃っています。通常の問題解決のアプローチやワークショップにる対話では対応不可な場合が多いです。社会的な議論や熟議が求められるテーマであり、ビジネスでも行政でも扱うのは困難なテーマでもあります。
例「トロッコ問題」
問題解決の4種類のまとめ
単純、複雑、厄介、倫理の4つの問題と何を検討すべきかを
問題の種類を4つに分類してみました。各種問題にどのようにアプローチすべきかはこちらをご参照ください。