2022年、オンラインサロンを開設・運用開始することの意味とは
「オンラインサロン」という単語が一般に知られるようになってから現在までの期間、その言葉がまとう「イメージ」を追っていくと、その時々、時事の影響を強く受けつつ変遷を経てきたことがわかります。
良くも悪くも注目を集め続けながらオンライン社会の仕組みの一つとしての認知を広げてきたと言えるオンラインサロン。
現在、そしてこれから先、オンラインサロンを新規開設したり、運営を継続していくことの意義を読み解きます。
■数年で急成長したオンラインサロン業界
既にあるFacebookの仕組みを活用するなど、オンラインサロン専用のポータルができあがる以前から様々な業界で自然発生的に発芽を始めた初期段階のオンラインサロン。
数人のカリスマ的サロンオーナー達の爆発的露出増加による一般認知を経て、一般の人々の持つこのころの「イメージ」といえば、一部の意識高い人たちが自分たちとは関係が無い所で、億単位の大きなお金を動かす【ビジネス】の話をする閉鎖的な場所…といった所だったでしょうか。
しかしその後、有名企業が無料で誰でもオンラインサロンを開設できる仕組みをリリースするまで、それほど時間はかかりませんでした。
以後短期間で総数を飛躍的に伸ばし、日本全国あらゆる業種で、何らかの強みを持っている人たちは誰しも一度は言及してもおかしくはないという程、一般的な事業展開の選択肢として定着したオンラインサロン。
2020年の感染症禍によって大規模イベントや、実際に会うことができるイベントの不安定化が進むなどをきっかけに、初期のころその知名度向上に貢献した有名サロンオーナーたちが次々に規模を縮小するなどの大きな変化を迎えながらも、「オンラインサロン」という業種自体は、話題に上る頻度や活動人数の分析結果を観察するに完全に埋没することはなく、継続しているといえる状況です。
NFT、伴ってDAOなどの新たな概念を取り入れるにも大変適した形態であるオンラインサロンは、政府によるweb3推進政策にも後押しされ、ベンチャー的な企業以外、例えば地方自治体やNPOなどでも上手に活用されつつある現状も見えてきています。
■避けて通れない未来への歩みのなかで
どんなジャンルのどのような媒体でも見られることですが、こうした激しい浮き沈みを経てもなお生き残ってくるものには共通する「強さ」があります。
やはりそれは本質的に、現場で活用しているユーザーたちに必要とされているから生き残った、というシンプルな要因に基づいているからだと思います。
一つの事象が一過性のブームになり果ててしまう場合には、その名声に少しでも傷が付いたとたん潮が引くようにその事象の周囲に人がいなくなってしまうもの。そんな風景皆さんも幾つも脳裏に浮かぶことでしょう。しかしオンラインサロンに関しては短期間にこれだけの賛否両論が世に沸き起こりながらも、そうはならなかった。
その理由は、繰り返しになってしまいますが現代のインターネット社会において安全な閉鎖的空間というオンラインサロンの持つ本質が、最早後戻りできないほど多勢に求められているものだ、ということに尽きると思います。
オープンな空間で、「匿名」で、いままでにない自由な言論空間でというインターネット社会が長らく私たちに見せてきたいわば表の顔。
しかしその様々な弊害、そして「」付きの匿名性がはらんでいた、けして良い所とばかりは言えない危険な裏の顔を、いくつもの悲しい事件と共に、私たちは嫌というほど今、知っています。
一日の活用人数がこれほどまでに膨れ上がってしまった今、インターネット社会を初期のころの牧歌的な雰囲気へと巻き戻すことはもう誰にもできないでしょう。
「自分の身は自分で守る」
当然のこととして、こうした意識を持つインターネットユーザーの割合は増えてゆく一方であり、伴って今後オープンで無料で、というインターネット社会の在り方は変わっていくことになるでしょう。
■クローズが主、オープンがサブ?
こうしたインターネット社会の変容の豊かな受け皿のひとつとなっているのが、現在のオンラインサロンです。
オンラインサロンの凄い所は、新しいムーブメントや技術が出てくると、すぐにそれを内部に活用する形で取り込むことができることです。
最初から親和性が高かったライブコマースやアバター文化はもちろんの事、各種Payやクラウドファンディング、暗号資産、DAOに、メタバースまで。
何か世に出てきたものがあれば、どんなものでもたちまちのうちに活用できてしまう。ここがオンラインサロンの懐の深さであり、強みです。
なぜ、このような事が可能なのかという根拠としてはなによりもその「安全性」を挙げたいところです。オンラインサロンは閉鎖的であるが故、セキュリティツールを行き届かせることが容易にできます。ですから、上に上げたような様々な要素を誰もが抵抗なく、実践的に活用しやすい「場」が最初からできているのです。
また、オンラインサロンユーザーには、こうした新規技術を活用していくことのメリットを熟知している層が多い事も挙げられるでしょう。
このような特徴を持つオンラインサロンという形式。
インターネット社会全体の今後の予測をあえて大胆に考察するとすれば、シェアハウスでいえば、ダイニング部分のような共有部分のみが、オープン。むしろ専有面積の広い、そして長い時間をそこで過ごしてゆく居住区は、各々のオンラインサロンという閉鎖空間で、という過ごし方に移行していくことも十分に考えられるのではないか、と筆者は考えています。