トリセツ!企画会議のハナシ
就労継続支援ビルドで取り組んでいる【障害のある当事者から発信する自分で使いたいグッズ開発プロジェクト】
見えない障害の見える化をコンセプトにした缶バッジ・ステッカーセット[トリセツ!]の第2弾を10月にリリースしました。
トリセツ!のことを紹介していただいたツイートの反響が大きく、発送対応でてんやわんやでした。
ビルド自体は知名度が低くてトリセツ!を必要とする方へのリーチが難しいので、このように発達障害や感覚過敏に関心のあるフォロワーさんの多い方にご紹介いただけるのは非常にありがたいことです。プロモーションがんばろう。
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さて、せっかく全国各地の皆様にお届けできたトリセツ!
まだまだネタがあります。この勢いのまま、第3弾の企画・開発に入ります。
はじめはスタッフちーちゃん(仮名)と利用者あやさん(仮名)のお二人で動かしていたプロジェクトですが、半年の間に仲間が増えてプロジェクトのチャットルームメンバーは7人になりました。
●オンライン企画会議
見えない障害の見える化がコンセプトのグッズなので、「どんなことに困っているか」を知ってもらうことがスタートのグッズです。第2弾では、はじめて「ゆっくり話してください」という"どうしてもらえると助かるか"にフォーカスをあてたグッズを作りました。
まだまだ、知ってもらいたい困りごとがある。
でも、一歩踏み込んで「こうしてほしい」も伝えたい。
企画会議では、困りごと+こうしてもらえると助かるをテーマにブレストしました。
昨今の情勢によりリモートワーク組+リアルという組み合わせでの打ち合わせです。
聴覚情報が苦手な人々v.s.感染対策のためマスクをしている人々
withオンラインミーティング
ま、負ける気しかしない…っ!
補助ツールとして、オンラインで使える付箋ツールを活用し、会話の内容や提案を反映させながら打ち合わせました。
(雰囲気だけ)
たとえば片耳が聞こえない方に向けて「右側(左側)から話しかけてください」とか、ゆっくりペースで歩いている方向けに「お先にどうぞ!」なんかも考えました。
見えない障害の見える化というコンセプトですから、発達障害に限らず聴覚障害や内部障害に目を向けてもいいのですが、まずは自分たちの手の届くところでやろう、という方針で整理してみます。
(雰囲気だけ)
なんとなく分類して、仲間に分けていきます。付箋使っているのもあって、KJ法的ですね。
必要な配慮・合理的配慮を口にするのって難しいことだなと改めて感じました。
身体的特徴に起因するものは、「ゆっくり話してください」など行動が明確なのに、発達障害に関連すると「具体的に言ってください」とか、お願いしたいことそのものが具体的じゃなくなってしまうんですよね。改めて、難しい障害だなと思います。具体的…も、もっともっと細分化すると「数字で説明してください」とか「時間を指示してください」とか缶バッジじゃ足りないです。
一番悩んだのが「思ったことを伝えるのが苦手です」
要望は一番多かったのです。
じゃあ、それをどういう表現で伝える?もしくは、どうしてもらえると助かるのかな?と考えると迷宮で…
・話し終わるまで待ってください
・YES/NOで答えられる質問をしてください
など…しっくりこなくて、今回はやむなく却下になりました。
ちなみに、合理的配慮サーチというサイトが内閣府にありまして、コミュニケーション支援ボードなど様々な工夫を調べることができます。たぶん、思っていることを伝えるのが苦手な方向けにはこういった別のツールを考えたほうがいいだろうと思っています。
●精査
提案いただいたアイデアからピックアップして、文言を整理し、あらためてプロジェクトメンバーから意見をもらいました。今回はチャットツールのみで展開。資料がある状態で、情報量も多いので自分のペースでじっくり考えてから意見を言える方法を選びました。
当たり前ですが、それぞれの考えがあるので一致はしません。多数決ではないので参考意見という感じ。
いただいた意見をもとにさらに検討を重ね…
今回取り上げる内容を決定しました!モチーフにする動物も決めましたが、それは出し惜しみしておきます。
・ワケあってマスクつけられません
・アレルギーですうつりません
・寒さに弱いです
・暑さに弱いです
・紙に書いてください
感覚過敏のためにマスクを着けられない方がいらっしゃいます。
マスク等の着用が困難な状態にある発達障害のある方等への理解について
障害のあるお子さんが着けられないのはもちろん、親御さんがマスクをしていると顔を認識できずにパニックになってしまうのだけれど、「お母さんはマスクして」と言われる例があるとも聞きました。
正直、マスクつけられませんマークはすでに世の中にあふれているのですけれども、ビルドなりのアプローチとして、大人が着けられるデザイン、トリセツ!の路線であえて出してみよう!という勝負の一手(言いすぎ)です。
また、発達障害をお持ちの方はアレルギー(アトピー、アレルギー性鼻炎、喘息など)をお持ちのことが多くて、やはりくしゃみや咳、鼻水で肩身の狭い思いをしていることが多いということもあり、当初より内部から要望が多かったので、アレルギーのマークも取り扱うことにしました。
暑さ/寒さに弱いですは、ビルドでの実体験がベースです。
人によって温度の感じ方に差があり、特に発達障害傾向の方は暑さに弱く、うつ傾向の方は寒さに弱い特徴があります。明確にすることで配慮しやすい特徴なので、今回は取り入れることにしました。
紙に書いてくださいは、「ゆっくり話してください」の派生というか、聴覚情報が苦手な方が多いこと+聴覚障害がある方どちらも使えるものを意識しました。オンラインミーティングでの例もありますが、その場で話されていることを脳内だけで情報処理することはとっても難しいスキルなのです。字幕があったりホワイトボードがあるだけで負荷が減ることが多いわけですが、普段接することが少ない人やお店等でも伝えやすくなるといいなと思っています。
現在、鋭意イラスト制作中です。次回はデザイン含めてご紹介できればと考えています。
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