タングラムをやってみた!ハナシ
こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
ビルドでは月に1回、職員研修を行っていますが内容は様々です。
事例検討や支援の方法について話し合う機会も、この研修の中に設けています。
今回は、様々なきっかけからやってみた"タングラム"に、いろんな気づきをもらえたので報告します。
きっかけ
「頭の中で立体をイメージすることが苦手な人がいる」
これは、イラストを描くときにずっと感じてきたことで、作業療法士であるマコトさん(仮名)が入職する以前からずっと「絵心のあるリハビリ職の人がいたら相談したいなあ」と考えてきたことでした。
空間認知トレーニングやビジョントレーニングについて相談しつつ、悩んできた中でマコトさんからはニキーチンの積み木を提案されました(こういうものです)。
スタッフ間で相談したところ、「いきなりコレはハードルが高すぎるかも」という懸念が生じました。
そこで、まずは3Dではなくて2Dから試してみよう、ということで、タングラムをやってみることにしたのです。
ただし、いきなり利用者さんと試す前にスタッフ同士でテストプレイしてみることにしました。
タングラムとは
タングラムとは、シルエットパズルのひとつで正方形をいくつかの図形に切り分けたものを使用します。
大きさの異なる直角二等辺三角形が5片。正方形と平行四辺形が各1片で構成されています。
やってみた
お題は、ちびむすドリルさんのものを使用しました。
まず試しに、ビルドにある大型モニターに問題を映して、それを見ながら図形を作ってみます。
仮にコレであっても
画面を見てから手元のピースを組み合わせることが非常に困難であることがわかりました。
早々にギブアップして、それぞれのパソコンモニターに問題を表示するスタイルに変更。
初級までは問題ありませんでしたが、中級のカメで早速脱落者続出でした。
また、初級で出てきた4つのピースで作るダイヤモンドに意識をもっていかれて、中級の6つのピースで作るダイヤモンドがうまく作れないなど、様々な問題が起きました。
逆に、少しずつ感覚を掴んできた結果、上級がスイスイ解けてしまうことも。
慣れるとともに習熟する経験ができました。
いちばん苦戦したのは上級の「いえ」なのですが、ここには様々な思い込みが作用して、なかなか答えにたどり着けない時間がありました。
この、おおきな三角と平行四辺形がクセモノでして。
これまでの流れで、なんとなく"定番の組み合わせ"が出来上がってきているので、そこに執着して発想の転換ができなくなってしまうのですよね。
スタッフの一人が答えにたどりついたときは、ちょっとした盛り上がりでした。
わかったこと
終了後は、うまくいかなかったときの思考の流れを言語化して分析し、
たとえば利用者さんの誰さんの思考過程と似ているか?を考えたり
どのようなサポートがあると考えやすかったか、実体験をもとに考える機会となりました。
終了後のまとめで出た意見は、以下のようなものです。
目線移動が大きいと考えづらい→近くの資料を見るほうが楽
こだわり(小さい三角を組み合わせることへのこだわりなど)が思考の飛躍を止めてしまう
観察して分析する力が要求される
深読みしすぎて単純なところに気付かない=余計なことをやってドツボにハマるパターンが存在する
これら、日々の支援でしばしば出会う場面ばかりなのですよ。
たとえば本を見ながらの学習が苦手な利用者さん、デザインの組み換え課題で思考停止してしまう利用者さん、イラストを模写するときになかなか寄せることが難しいケース、些細なところで戸惑って立ち止まっていしまうときetc…
そうか、このとき利用者さんの頭の中ではこんなことが起こっていたのか!と、追体験をすることができました。
実は虐待防止研修でもある
障害福祉サービス事業所では、年に1回以上は必ず虐待防止研修を行う必要があります。
虐待に関する基本的な知識を学ぶことだけが虐待防止研修にあらず。ということを、直近の外部研修で教わりました。
障害理解や支援技術の向上など、様々なスキル習得が虐待防止につながるというのです。
「どうしてこんな(簡単な)ことがわからないのだ?できないのだ」「なぜ言った通りにしないのか」といった思考が生じることは、虐待につながる"芽"になり得ますよね。
自分で類似の体験することで"障害理解"が進む可能性を感じた、今回の研修でした。
タングラム、おうちにあるものでもデジタルでも実践できる頭の体操なので、なにかしらのウォーミングアップに楽しんでみるのもオススメですよ。
いただいたサポートは利用者さんの工賃に!素敵なヘッダーイラストを描いてくださった皆さんに還元しますね。