トリセツ!ラフ~線画のハナシ
だま―って待ってたら取材来ないかなーと夢想している中の人です。
(地元の新聞、定期的に障がい者就労支援とかアーティスト活動の紹介記事が載るのですよ…)
はい、来ません。発信して、知ってもらわないと。できればお金もかけないと。
そう思いながら、こうして無料のツールであるSNSと、ニュースリリースサイトの無料プランに甘んじております。
就労継続支援ビルドで取り組んでいる【障害のある当事者から発信する自分で使いたいグッズ開発プロジェクト】
見えない障害の見える化をコンセプトにした缶バッジ・ステッカーセット[トリセツ!]現在、第3期の企画を進めております。
前回の記事はこちら
第3期で取り上げる内容が決まりました。
今回は、デザインに使うモチーフをご紹介です。企画会議の時点で、ある程度モチーフの動物に関するラフいラフができております。
・ワケあってマスクつけられません
・アレルギーですうつりません
・寒さに弱いです
・暑さに弱いです
・紙に書いてください
実は、はじめからこの文言になっていたわけではないのです。どうしてこの文言にしたのか?をまじえてご紹介します。
ワケあってマスクつけられません
「マスクをつけられません」は、あったほうがいいのかな…?と迷いながら企画会議に上げましたが、全員一致で「あったほうがいい」と決定しました。
文言はけっこう迷って…候補としては、
"障害がありマスクをつけられません"
"からだの事情でマスクをつけられません"
"マスクをつけられない事情があります"
などが挙がっていました。
なんというか、せっかく後から出すのだから既存のモノとは差別化を図りたかったんですよね。
有名なのは、わけがありますくプロジェクト。
無料配布のツールがあるのに、わざわざトリセツ!にお金を払ってでも身に着けたい、と思ってもらうものを作りたいのです。
ただ、あまり表現が露骨というか具体的過ぎると抵抗感を持つ人もいるのでは?ということで表現はマイルドにしたい…と悩みました。
こういうとき、コピーライティングの経験もある代表が刺さるコトバを出してきちゃうものなのですが、今回の「ワケあって」も代表のアイデアです。
さて、じゃあモチーフにする動物はどうしようか?既存のアイテムでは、イヌ、ネコ、パンダ、ハリネズミ(感覚過敏研究所さん)など多様ですが、なにせ北海道の動物縛りを自らに課しているビルドですから、悩みますよね……。
メンバーから「北海道の動物、使うならコレ!」という提案も受けていたのでそちらも参考にしつつ…タンチョウヅルなんてどうだろう?ということになりました。
たしかにね、クチバシが長いから「ワケあって」マスクつけられないですよね。スタッフちーちゃん(仮名)がその場で描いてくれたラフラフはマスク見ながら困っている様子だったのですが、会議中に私が「マスク突き破っちゃえば…」と口走ったことを覚えていた作画担当のリオさん(仮名)が2パターンのラフを上げてくれました。
んふふ……どちらにしたかは、下のほうでご紹介できるかと。
アレルギーですうつりません
アレルギー関連のマークも、それこそ社会情勢がこうなってしまってから相当数出回っています。
トリセツ!を3月にリリースして以降、関係者の皆さんからも「アレルギーに関するマークがあってもいいのでは?」と複数回言われていましたし、ぜんそく症状がある利用者さんからは「オリジナルでぜんそくマーク作りたい」と希望がありました。アレルギー性鼻炎の方も多いんですよね(私もです)。
寒暖差アレルギー
花粉症です
ぜんそくです
いろいろありますが、「アレルギーです」のみにするか「うつりません」まで入れるかを話しあいました。
地下鉄や飲食店でむせてると気まずいよね…などと話しあいながら、とりあえず「うつりません」アリの方向で進めることに。
モチーフの動物としては、嗅覚過敏のときのアイデアでも登場したエトピリカさんにご登場願うことになりました。最近、個体数が減少しているらしいですね。
大きなクチバシが特徴のエトピリカ。必然的に、症状は鼻水方向に。花粉症シーズンまでフォローする見込みです。
ところでラフでは全身描かれているけれど、デザインの都合上全部は載りません…もったいないのでここでご紹介。
ぜんそく症状については、また別の機会に作れたらいいなと思います。
寒さに弱いです/暑さに弱いです
ビルド、ワンフロアなので温度調節が難しいんですよね。冷房直下で寒いけれど、反対側で暑がっていたり……オフィスでもよくある出来事だと思います。
ある日のビルドで、「暑い…暖房切っていい?暑いと頭ぼんやりするんだよね」という発言から始まって
暑さ/寒さについては表明するだけで周囲が配慮しやすいテーマなのでは?ということで採用になりました。
寒暖差に弱いです。という言い回しとも迷ったのですが、単純にモチーフ選びづらくない?という理由で却下に。
発達障害の方、不安障害の方、それぞれの事情で温度変化に弱い方が多いです。
寒さに弱い動物としてはエゾアカガエルを採用。
たまに爬虫類や両生類を入れたくなるのは、ビルドで働くスタッフの趣味です。
暑さに弱い動物として取り上げたのはエゾナキウサギ。
実はこの子だけ、企画会議のときのラフラフがありません。
ユーラシア大陸と日本列島がつながっていた氷河時代にマンモスと一緒に北海道にやってきて、高山で暮らすようになった寒さに強く暑さに弱い動物ですが、エゾナキウサギって…イラストで表現するのハードル高くない?
いいんです。「いま不安です」のオコジョだって、しばしば「イタチ?フェレット??」と聞かれるし。一発で「ナキウサギですね!」と言われなくても……。あとは…デザイナーのカラーリング次第…です…(謎のプレッシャー)。
紙に書いてください
これも文言悩みました!
はじめのアイデアは「紙に書いて説明してください」でした。
聴覚からの情報を受け取るのが苦手な発達障害の方はもちろん、聴覚障害のある方でもお使いいただけるものにしたかったのですが、果たしてどんな言い回しがいいのか?
これまでの4つは詳細に説明する方向で考えてきたのですが、思考をリセットして、シンプルに「紙に書いてください」としました。
この、今まで考えていた流れと分けて考えることとか、リセットしてシンプルに考えることなど、思考を切り替えるということが私たちとっても苦手です。※作業・案件でもしばしば陥りますね!ここをサポートしてもらえると、とっても助かります......。
モチーフは……「なんかずっと、頭の中でヤギしか出てこないんですけど」の一言で、全員ヤギのこと以外考えられない呪いにかかりまして。
北海道にもいるし。いいかな……。
ねえ、そのヤギって、絶対「書いてもらった紙」食べちゃってるよね?
腹立つわ~。
ラフで苦戦していて、
リ:ヤギ、目が怖いんですよ......。
ち:マツゲつける?
私:や、それラクダだわ…
など、紆余曲折しております(笑)
紙に書いてもキミ、食べるじゃん。のツッコミ待ちで作画。
北海道の動物しばりしんどい
自分で課した枷に苦しめられるのなんて、あるあるですけども。
たぶんそのうち植物とか作物に行く気がします。
今回も一瞬出かけましたからね、まりも。
オマエジャナイ
ちなみにアイデアノートには「サンマ」とか「じゃがいも」があります。
いつか、なにかあるかもしれませんね。
デザイン完成しました
と、思ったのですが。
タンチョウヅルに物言い。(主に私が)
表情豊かな他のキャラにくらべて無表情がすぎないか?と。(いま言うなし)
あと、ツルだけ主線が無いのでちょっとデザイン的に違和感あるかもね?という点。
プロジェクトメンバーにも(チャットで)意見をもらい、作画のリオさんが急遽「もっとびっくりした表情ver.」も作ってくれたり
代表から主線(余談ですが、おもせん/しゅせんどちらで読みます?)アリver.の希望が出たり。
や、このぽかーんとしている感じが良いんじゃない?と言ってもらいました。
キャラの完成度を取るかグッズとしてのインパクトを取るか、相変わらず正解のない問いだったわけですが、真顔のシュールさが勝負のカギでした。
と、いう紆余曲折を経て
ついにデザインが完成しました。
ちょっとグラデーション入って、落ち着いた色合いでオサレ度が上がっていますね。
普段「動物系キャラのグッズ」で使われることがほとんどない動物たち大集合です。
これから入稿なので、販売開始は2020年12月中旬を予定しています。
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お楽しみに!