新規上場後7日間の価格推移(売出比率ごとに分類)
今回のレポートも、「新規上場後7日間の価格推移シリーズ」です。
1つテーマを決め、テーマに沿った分類毎に上場後7日間分の値動きを分析するというものです。
前回のレポートでは、「初値騰落率」をテーマに価格推移を分析しました。
今回は「売出比率」をテーマにレポートを書いてみたいと思います。
■ 売出比率とは?
売出比率とは、上場する企業が市場に提供する株式(公開株式)のうち、
すでに企業が保有する株式の中から市場に売り出す株式の比率のことです。
例えば、上場前の企業「A社」の公開株式数が100万株だったとします。
そのうち、新たに発行する株式(公募株)が30万株、社長の保有する自社株の中から売り出す株式(売出株)が70万株だとすると、売出比率は70%となります。
一般的に、売出比率と初値騰落率は逆相関の関係、つまり売出比率が高いと初値はあまり跳ねないと言われており、実際、売出比率の高い銘柄はブックビルディングでの注目度もあまり高くない印象です。
このレポートでは、売出比率と初値騰落率の関係を調べるものではなく、売出比率と7日間の価格推移の関係を分析します。
■ 忌み嫌われる「高い売出比率」銘柄。でも・・・
2001年から2021年10月までのIPOデータで、売出比率を20%ごとに分類してみると、以下のような件数分布となりました。
件数のばらつきが少し大きいですが、同じレンジ幅のほうが比較しやすいため、この分類で分析をすすめます。
上場後7日間の価格推移は、下記の通りです。
どうでしょう。
低い売出比率よりも、高い売出比率のほうが、上場後の価格は上昇傾向であることがお分かりになるかと思います。
ちょっと意外ですね。ブックビルディングにおいて売出比率の高い銘柄は人気が出にくいわけですが、上場後の価格は上がりやすいのですね。
■ バックテスト
上記の価格推移をみると、売出比率60%以上の銘柄を
「初日初値で買って、7日目の寄付きで売却」
というのがいちばん利益がとれそうです。
ただこれではホールド期間が長く、結果にばらつきが出そうで怖いので、
「初日初値で買って、3日目の寄付きで売却」
くらいにしときましょうか。
以下、結果です。
うん。なぜか2012年以降ではありますが、右肩上がりです。
このグラフだけでは心もとないので、もう少し詳細な年度別データも添付しておきましょう。
プロフィットファクターが1.46。まぁまぁです。
ただ、シャープレシオが0.14というのが不安ではあります。せめて0.2以上は欲しいところですね。
まぁ、今回のレポートは参考程度に、遠目で見てやって下さい。
ではまた。
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