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新規上場後7日間の価格推移(初値騰落率ごとに分類)

前回のレポートでは、
IPO銘柄は、上場後7日間「場中に値下がり翌日寄りに値が上がる」という分析結果を得ることができました。

我ながら画期的な分析だったと自負しているのですが、
データ対象が2001年以降すべてのIPO銘柄であり、対象範囲が広すぎるために現実的に使いづらい戦略であることは否めませんでした。

そこで今後は、データの対象を一定のテーマごとに分類し、
それぞれのテーマごとに分析を行なうことにしました。

ところで、
IPOセカンダリーの戦略を考えるうえで、
意識すべきテーマ、要素とはどのようなものがあるでしょう。
思いつくままに列挙してみます。

・事業内容、財務状況等
・発行済株式数、公開株式数、売出比率、ストックオプション比率等
・株主構成、ロックアップ条件等
・主幹事証券、引受シンジケート群
・上場市場
・公開価格、上場初値、騰落率


などなど。これらの他にも色々ありそうですね。
今後、これらのテーマごとに分析を行なっていければと思っています。

■ 初値騰落率によって変わる株価推移

とりあえず今回は「初値騰落率」をテーマに分析してみます。
初値騰落率とは、
 (上場初値ー公開価格)÷公開価格
で計算できます。つまり、公開価格に対して上場初値がどれくらい跳ねたのか、という指標のことです。
たとえば、
 公開価格:1000円、上場初値:1500円
だったとすると、(1500-1000)÷1000 = 0.5。つまり初値騰落率は50%、と計算できます。

2001年から2021年10月までのIPOデータで、初値騰落率をパーセントごとに分類してみると、以下のような件数分布となりました。

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それでは、上記の分類で、上場後7日間の価格推移を分析してみましょう。

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なかなか奥行きの深いデータが取れました。
特に目を引くのは、赤と黒のグラフ。
初値騰落率120%以上の銘柄は、初日初値ー2日目の初値(寄付き)の跳ね方が強そうですね。

初値騰落率が120%を超える銘柄は、実際には上場日に特別気配のまま引け、翌日に即金規制措置が取られたものが多いと推測されます。
初値がドカンと高く跳ねた銘柄でも、翌日の寄付きはそれよりもさらに値上がりする傾向がある、ということになります。ちょっと意外ですね。

■ バックテスト

では実際に、初値騰落率120%越えの銘柄データを使って、売買検証をしてみましょう。
結果は次の通りです。

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いい感じに右肩上がりですね。
実戦にも応用が利きそうな雰囲気です。

というわけで、今回は「初値騰落率」にテーマをしぼって上場後の価格推移を分析してみました。
今回のレポートが、読者様のIPOセカンダリー攻略の一助となりますことを心から願っています。

ではまた。

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