グッドイヤーウェルトのリブが破損するとどうなるか
今回は靴修理でーーす。
こんなの初めて見ました。ウェルトまで削れています!!
バイクに乗られるそうなのでこんな風になったのでしょうか。かっこい。
とにかく直し甲斐のありそうな雰囲気です。
ウェルトまで破損している場合は、「リウェルトオールソール」です。
ウェルトを新しくしてオールソールします。
まずは解体。(靴の内部閲覧注意)
むむむ
これは「リブ」もやられてますね。接着剤が劣化して剥がれています。
いわゆる「リブ浮き」
特によく曲がる土踏まずあたりから剥がれてくることが多いです。
リブとはアッパーとソールを繋ぐ位置にあるので、そこが剥がれてくると靴が歪んできます。そうすると、歩くたびに変な箇所に負荷がかかるので、ウェルトの破損やひどい時にはアッパーが破損してしまう場合もあります。
見えない部分の破損なので分かりづらいですが、「なんか履き心地が悪くなったなぁ」と思ったらリブが剥がれている可能性もあるってのを頭の片隅に置いといてもらえれば良いかなと思います!
あー「リブ」破れていますね。
内部なので見えない部分なのですが、こんな風に破損している場合もあります。
これもリブが剥がれてきて負荷がかかったので破れてしまったのかなーと考えられます。
あとこの靴の場合は、ものすごーく片減りしていたので余計に負荷がかかったのだと思います。
「リブ交換」
こんな風に凸みたいな形のテープを貼り付けていきます。
で、ウェルトをつけて機械でバーーっと縫う。それがまさしく「グッドイヤーウェルト」です。
このリブを使うことによって、機械で縫えるようになり靴の生産が大量にできるようになったという感じですかね。ざっくりですが。
では、この「リブ」がなかった時代は?ハンドソーンウェルト。まさにブヒがやっている製法です。中底に溝を掘って、そこを縫っていくのです。その方法やと機械で縫うことは出来ないので、手で縫います。
時間はかかりますが、中底を直接縫うことによって頑丈に壊れにくい仕上がりになります。
接着剤はいずれ劣化して剥がれます、が、チャンを塗り込んだ糸というのは想像以上に頑丈で何十年経っても案外大丈夫。擦れて切れることはあっても、劣化して切れることはほぼ無いのではと思います。
「すくい縫い。」
ウチには、ガーーっ!と縫えるミシンなんて無いので、手で縫います。
そして注目したいのは、この「白い布」
ビンテージの靴たち、大体70年代頃までのグッドイヤーの靴にはこの「白い布」が付いているものがたまにあります。
でも残念なことに最近の靴には付いていないことが多いです。生産を速くする為に工程を省いたのか、材料削減か、はたまた接着剤の進化により必要なくなったのかは定かではありませんが、とにかくほとんど見かけません。
ですが、この布が付いているビンテージ靴たちを解体してみると、ソールやアッパーがボロボロにも関わらず「リブ浮き」してなかったのです。え!って感じですよね。
100%とは言いませんが、結構な数の靴をバラしてきたブヒはそんな印象を受けています。
つまり、この「白い布」がリブ浮きを防いでくれているのではないかと考えています。素晴らしい。
ちなみにオールデンの靴はこの布が付いています。さすがやん。
もちろんハンドソーン製法の靴には必要ないので、ブヒのオリジナルシューズを作る時にはこの工程はありませんが、グッドイヤーウェルトの靴をウチの店でリウェルト修理する時には、リブ浮きしませんよーにと念じながら「白い布(もしくは革)」を貼り付けています。
賛否両論あると思いますので、ブヒの勝手な自己満と思って頂ければ幸いです。
特に誰に気づかれるわけでもなく、料金が発生するわけでもないのでホンマに自己満なのですが、修理した後も長ーーく気持ちよく履いて頂ければ、それで良いかなと思っています。
さて!話が長くなりました;
リウェルトしてウェルトも新しくなりましたので、このあとはオールソールと同じ。
ソールつけて、ヒールつけて、仕上げて完成でーす。
出来ましたー。
ビフォー↑↑
アフター↑↑
ビフォー↑↑
アフター↑↑
ちょっと乾燥していたのでオイルアップして完成。いい感じに無骨に育っているのでそれを生かした仕上げにしました。まさに傷も勲章ですね。
最後までご覧頂き誠にありがとうございましたー!!
珍しく長くなりました。「靴の内部のこと」は、ご興味ある方とない方に分かれると思います。が、ここまで読んでくださっているということは、ご興味あるってことですかね。ありがとうございます!
見えない部分ですので伝えるのが難しいのですが、その靴にとってベストな方法をご提案していければ良いなと思っています。
あ、動画も作ってます。もっと詳しく!って方は見て頂ければ嬉しいです!!
ありがとうございましたー!!
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