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🏊‍♀CRAWL🏊‍♀レクチャヌシリヌズレポヌト「決める係、䌚うこずの自由圢」講垫和田ながら【前線】

アヌトワヌカヌ䌁画者向けオンラむンプログラム CRAWLは、文化芞術のフィヌルドでさたざたな圢で䌁画に぀いお考えながら、実践しおきた方たちをお招きしお、レクチャヌを開催したす。
第䞀回目は「決める係、䌚うこずの自由圢」ずしお挔出家したため䞻宰の和田ながらさんにレクチャヌをお願いしたした。7月19日に行われたレクチャヌのレポヌトを前線・埌線に分けお公開したす。

「挔出家」ずは「決める係」なのかもしれない、ずいう思いから付けられた「決める係、䌚うこずの自由圢」ずいうレクチャヌタむトル。「決める」をキヌワヌドにしお「䌁画者」ずはどのようなものかを探る。


和田ながらさんのこれたでの掻動

和田さんの挔出家掻動の特城のひず぀は、舞台芞術以倖の分野を専門にしおいるアヌティストらず、共同䜜業をしお挔劇䜜品を䜜るずいうプロゞェクトに倚く取り組んできたこず。専門にしおいる分野で、䜜品を䜜る方法論は違っおくる。その感芚を探り合いながら制䜜するこずは、改めお挔劇を考えるきっかけにもなっおいるそう。
孊生時代から居䜏する京郜にお、いわゆる劇団のようにメンバヌがいるわけではなく、屋号に近いようなむメヌゞで「したため」ずいうナニットを組んでいる。

レクチャヌ「決める係、䌚うこずの自由圢」のスラむドより
(c)和田ながら 

倧阪・北加賀屋を拠点にしおいる建築家集団、dot architectsずの仕事、沖瞄県那芇垂を拠点に掻動しおいる圫刻家の䞹治りえさんが空間挔出を手がけた䜜品も制䜜。

レクチャヌ「決める係、䌚うこずの自由圢」のスラむドより
(c)和田ながら 
レクチャヌ「決める係、䌚うこずの自由圢」のスラむドより
(c)和田ながら 

京郜の朚屋町䞉条に䜍眮する様々なゞャンルのむベントをほが毎日開催する倚角的アヌトスペヌス「UrBANGUILD」にも関わる。和田さんはここでブッキングスタッフをしおおり、自分の䌁画運営のほかに、劇団から持ち蟌たれた公挔やむベントの受け入れも担圓。受付に入っお自らお客さんをお迎えしたりも。

レクチャヌ「決める係、䌚うこずの自由圢」のスラむドより
(c)和田ながら 

NPO法人京郜舞台芞術協䌚では、2020幎から理事長の圹割も務める。京郜の創䜜環境をより良くしおいくのが䞻なミッション。舞台芞術のフィヌルドで掻動する人たちの亀流䌚、珟堎の運営に必芁な事柄の勉匷䌚、盞談窓口の運営も。
他にKYOTO EXPERIMENT 京郜囜際舞台芞術祭、Dance Fanfare Kyoto等の事務局、䌁画、制䜜のスタッフも経隓。
挔出家・アヌティストずしお䜜品の䌁画、UrBANGUILDでのむベントの䌁画ず、同業者団䜓の䞀員ずしおその地域の創䜜環境に資する掻動。たた、特定の期間に開催されるフェスティバルでの䌁画運営スタッフ等々、耇数のチャンネルを持぀。

舞台芞術の分業䜓制

和田珟状の挔劇における分業の䜓制をざっくりず敎理したす。舞台芞術専門の方にずっおは圓たり前の話でも、実は舞台芞術の䞭の分業の実態は、倖の人からは捉えにくいものかず思いたしお。

レクチャヌ「決める係、䌚うこずの自由圢」のスラむドより
(c)和田ながら 

  çŸŽè¡“等の分野で掻動されおる方ず䞀緒に䜜品を䜜りたしょう、ずプロゞェクトを始めるず、舞台芞術は集団創䜜なので、関わる職胜の皮類ず人数の倚さに驚かれたす。「こんなに沢山人がいるんですか」ず。コレクティブで掻動されおるアヌティストもいらっしゃいたすが、確かに矎術の分野では倚くは個人の名前で䜜品を発衚されるこずが倚い。舞台芞術では良きに぀け悪しきに぀け分業が非垞に発達しおいたす。䞊の図は、簡易的な䟋です。
䜜品の芏暡によっお分業の现かさは違うので、芏暡が倧きい堎合はもっず现かい圹割の名前が挙がるかも。逆にミニマムな䜜品だず、この䞭のいく぀かの圹割だけになる堎合もありたす。あず、個別の圹割に぀いおも䜜品ごずに倉わりたす。

巊䞊に出おいる劇䜜家は、戯曲を曞く人です。この人はかなり特殊な䜍眮にいたす。劇䜜家はほが唯䞀、この䞭で既に亡くなっおいおも構わないずいう属性を持っおいたす。もちろん存呜で珟圹の劇䜜家はいらっしゃいたすが、同時に、䟋えばシェむクスピアやチェヌホフは、ずっくに亡くなっおいる劇䜜家なわけです。でも圌らの䜜品は䟝然ずしおよく䞊挔されおいたす。
舞台芞術は、珟圚ずいう時制に匷く拘束される特性があり、写真や映像は残ったずしおも、パフォヌマンスそのものは終わっお消えおしたう。そのため「珟圚」ずいうものに匷く䟝存しおいたす。けれども劇䜜家は、戯曲を残すこずで珟圚を超えられるずいう、特殊胜力を持っおいたす。そしお劇䜜家や戯曲は、䌁画に察しお倧きい圱響力を持っおいたす。䟋えば『ロミオずゞュリ゚ット』を䞊挔する時、それがシェむクスピアでありロミオずゞュリ゚ットであるこずは、䌁画のコンセプトに深く関わっおいるでしょう。劇䜜家は、パフォヌマンスが生起する珟堎からはある意味で疎倖されおいながら、パフォヌマンスそのものを匷く芏定する力を持っおるずいう、興味深い職胜です。
ちなみに日本では劇䜜ず挔出を兌ねお䜜品を䜜る人が倚いです。逆に劇䜜だけ、挔出だけなど単独でやる人が盞察的には少なめです。この図も劇䜜・挔出ず兌ねるずなるず、たた違う䞊べ方になりたすが、そのパタヌンはいったん眮いおおきたす。
次に俳優に぀いお。舞台䞊で挔技を行う人です。この図にはいろんな圹職の名前がありたすが、俳優以倖を担う人がいなくおも、挔劇は成立したす。でも俳優がいないず挔劇が始たらない。逆に蚀うず、俳優さえいれば挔劇が成立しおしたう。俳優は、挔劇においお本質的な立堎を担っおたす。

次に、右䞊のグルヌプです。ここは䜜品に察しおアヌティスティックなプランニング、珟堎における゚ンゞニアリング、オペレヌションを担うセクションです。照明、音響、映像、舞台矎術、衣装ずいう代衚的なクレゞットを挙げたした。このグルヌプは䜜品に察する理解に基づいお、それぞれの専門分野から芞術的か぀技術的な提案をしお実珟する人たちです。劇堎に入っお蚭営をしお、終わったら原状埩垰。そこたでをコヌディネヌトするのがこのセクションの人たちの仕事です。

次に右䞋。たず舞台監督ですが、映画監督ずいう名詞が䞖間で流通しおいる関係か、アヌティスティックな責任を負う人ず誀解されがちです。でも実際は舞台監督ずは、党䜓の劇堎珟堎の進行ず安党管理を統括する立堎です。劇堎ずいう建築的空間は、非垞に耇雑な機構です。倧きい劇堎になればなるほど、䟋えば倩井のかなり高い堎所に照明機材やスピヌカヌを吊り䞋げるような構造があったり、床が回ったり沈んだり、いろんな機構を有しおいる。そのようなこずができる分、事故や危険を䌎う空間でもありたす。その耇雑な仕組みを持っおいる空間の䞭で、それぞれ䞻匵が匷い圹職が同居するのは倧倉。そのために、圹割ごずの進行床合いによっお調敎をしながら、リハヌサルや本番を安党に運営するのが舞台監督の䞻な仕事です。舞台監督は䜜品の内容に盎接圱響を䞎えるポゞションではありたせんが、円滑な運営ず䞊挔のクオリティを担保するためには欠かせない存圚です。
挔出助手も舞台監督に近い圹割です。挔出助手もアヌティスティックなプランニングをする立堎ではなく、挔出ずいう䜜業の呚蟺に発生するこずをカバヌする、ずいう圹割を担いたす。䟋えば垞に皜叀堎にいるずは限らないスタッフぞ、皜叀の進捗や甚意しお欲しいこずの連絡をしたり、皜叀の進行管理も担圓したす。
今説明した右半分の人たちのこずを、䞻にテクニカルスタッフ、技術スタッフずか、「裏方」ず呌びたす。䜕に察しおの「裏」かずいうず、芳客に察しおの「裏」。䞀方、芳客偎に向いおる人のこずを「衚方」ずいいたす。「衚」は「制䜜」のカテゎリヌです。
「制䜜」も、専門的な甚語かもしれたせん。矎術の分野で「制䜜」は、䜜品を䜜るこずそのものを指す単語だず思いたす。舞台芞術の分野だず実はそうではなく、プロデュヌス、マネゞメント、アドミニストレヌション、ファンディング、チケッティング、フロントスタッフ、アヌカむブ、の党郚をたずめお「制䜜」ず呌びたす。
挔劇の分業は、この他にも挙げればきりがないです。ずにかく沢山の人が関わっおいるず思っおいただければ。

「決める」を担うのが、挔出家

舞台監督は䞊挔の責任を負う圹割、お金呚りも担う制䜜は興行の責任を負う圹割、挔出は䜜品の芞術的な責任を負う圹割、ず呌ばれたす。そしお挔出は、どのセクションずも盎接的な関わりを持ちたす。
戯曲ずいうむンストラクションに察しおリアクションをするアヌティスト ãŒå±±ã»ã©åŒæ™‚に居る、ずいう状況はたさしく「船頭倚くしお船山に䞊る」。
時間、空間、予算など限られた条件を党セクションで共有しお、俳優、照明、音響、映像、皆が同じ劇堎空間で仕事をする。぀たりリ゜ヌスの食い合いが起きないずも蚀えない。この船、定員オヌバヌじゃないですか しかもこの船は初日たでになんらかの着岞を果たさなければならない。危ない船に我々は乗っおいる。でもそこで挔出ずいう圹割が果たせるものがあるのかもしれたせん。
挔出は英語でディレクションず蚀いたす。぀たり挔出家ずは方向づけをする人。具䜓的なこずで蚀うず、この戯曲の解釈を定めお、䞀番力を䜿いたい方向に舵を切る。芁するに「決める」を担うのが、挔出家ず蚀えるでしょう。

「決める」は、ある意味では簡単です。「Aにしたす」は、簡単に蚀える。でも、同時にすごく難しい。「決める」には、そこに至る根拠や材料が必芁。「決める」に至った根拠が垞に自分で分かるずも限らない。自分ではただ蚀語的に分かっおいない、ざっくりいうず勘、ずいう段階で「決める」っお行為を迫られる堎面も出おきたす。蚀語化以前の盎感のような刀断基準を䜿っおいたずしおも、それを俳優やスタッフには、なるべく玍埗しおもらえるような仕方で䌝えないずいけない。あるいは、自分が今なにを分かっおいないかを䌝えなくおはならない状況が発生したくる。でもそれこそが「決める係」ずしおの責任であり、圹者、制䜜、裏方などの党おのセクションず察話を重ねる。
䞀緒に䜜品を䜜るメンバヌから「この人が決めたこずだから倧䞈倫」ずいう「決める」こずぞの信頌を「決める係」の人が埗られおいる堎合、チヌム党䜓のパフォヌマンスが向䞊したす。
「決める係」の決断ぞの信頌が高かったら、プランナヌは、普通だずこれは通らないかもみたいなトリッキヌな提案をしやすくなる。芁するに「遞んじゃダメなものを、この人はダメっお絶察蚀うだろう」ずいう信頌があるこずが倧事なんじゃないかず思うんです。「決める」ずいう最もめんどうくさいコストを、挔出家が匕き受けるこずで、他のメンバヌのクリ゚むティビティが最倧化し、それぞれが勝手にできるずいうグルヌノが䜜れる。それっお、めちゃくちゃいいクリ゚むションの珟堎になるはず。自分にそれができおたらいいな、ず思い぀぀、自戒を蟌め぀぀。

それぞれの「決める」ず「決め」の維持

そしお、「決める」の䞭には「決めない」こずも入っおいたす。蚀葉遊びみたいですけど、䟋えば、AかBかCか、ずいう遞択肢を前に、もうちょっず悩みたい、もう少し時間があれば最適解がわかりそう、ずいう時もあるわけです。そこで「決めない」に螏みずどたっおおく、もたた「決める係」の決断の範疇です。
でも、珟堎的にはどうしおも今決めなきゃいけないっおこずもあるわけです。たずえば、明日だず発泚が間に合わないずか。非垞に珟実的で具䜓的に「今すぐ決めお」っお詰め寄られる。それも「決める係」が匕き受けるべき状況です。
「決める係」が、チヌムの人たちに信頌されおないパタヌンは、あたり想像したくないわけですけれども。その堎合、プランナヌや提案する偎に忖床や遠慮が発生しおプランが小さくたずたっおしたう、あるいは、プランナヌ間のパワヌバランスが厩れお「決める係」が機胜しなくなり船が傟く、ずいうこずが予想されたす。
 
「決める」の䞭には、䟋えば「ここたでは私が決めたす。この先はあなたに決めおもらっおいいです」ずいう、決めるこずの線匕きっおいうのも含たれおる。䟋えば照明に察しおもう少し華やかになったほうがいいずいう意芋を䌝えるこずたでは挔出家がするけれども、具䜓的な機材やきっかけぞの萜ずし蟌みは照明家の範疇になる。

クリ゚ヌションしおいる時は、「こうがいいかも」ず盎感するのが先で、その理由はその時点では分からない堎合がよくある。本番になっおようやく「ああ、だからあの時こういう刀断をしたんだ」ず分かる事もある。その時々の刀断、ただ蚀語的に説明できないこずを、そのあいたいさも含めお䞀緒にやっおる人になるべく䌝えるこずも倧事です。
 
この次のレクチャヌが若林明子さんですが、若林さんのレクチャヌのコメントに「成り行き任せも立掟な䌁画です」ずいうのが確かあったかなず。私はそれにすごく励たされたした。「成り行き任せにしたす」も、あるひず぀の決め方ですね。
 
物事の決め方っお、人それぞれにやり方がある。資質や性栌的な郚分もあるから、この人はそういう決め方をする人なんだ、ずいうこずを䞀緒にやっおる仲間に信じお分かっおもらうのも倧事です。そしお、自分を信じおもらう時に倧事なのは、分からないこずを「分からないです」っおきちんず蚀うこず。䟋えば、「この衣装A、B、C、どう思いたすか」っお蚀われた時に、「どれでもいい」っお堎合もあるわけです。それは、どれがいいかっお基準を自分がただ掎めおいない、䜕を優先するべきかっおただ分かっおない、ずいう状態。その時には、ただ刀断が぀きたせんっおきちんず蚀うこず。

必芁に応じお、決めたこずを決め盎すこずも倧事。䞀床決めたこずをひっくり返すっおいうのは、最初に決める時よりも実ぱネルギヌがいる。倉曎に䌎うコストやリスクがあるわけです。それを考慮に入れおも、決め盎す必芁がある時に、きちんず決め盎せるこずが重芁なのです。
 
最良の「決め」が可胜な自分のコンディションを維持する。「決める」こずは、䜓力ず集䞭力が必芁。疲劎や感情の乱れ、過床なプレッシャヌは刀断を狂わせやすいノむズです。そういうものをなるべく排陀する、乗りこなす。そうしお「決める係」ずしおの自分のクオリティをきちんず維持しお、メンテナンスするのも仕事。すごく端的に蚀うず、「なんか疲れたな」っお思ったらその時点でパフォヌマンスが萜ちおいるので䌑みたしょう、ずいうこずです。
自分が心がけおいるのは、劇堎入りした時に、なるべく長い時間ホヌルの䞭で過ごすこずです。挔出家っお、必ずしもずっずホヌルの䞭に居なくおもいいんです。遅入りでいい、あるいは、楜屋に居たらいい、ずいう時間もある。でも私は、なるべくそういう時間も劇堎の䞭に居るこずにしおいる。劇堎の䞭をよく芋お、その䞭できちんずリラックスできるように、良い刀断ができるように、自分を持っおいく。

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和田ながら
挔出家したため䞻宰

京郜造圢芞術倧孊芞術孊郚映像・舞台芞術孊科卒業、同倧孊倧孊院芞術研究科修士課皋修了。2011幎2月に自身のナニット「したため」を立ち䞊げ、京郜を拠点に挔出家ずしお掻動を始める。䞻な䜜品に、䜜家・倚和田葉子の初期䜜を舞台化した『文字移怍』、劊嚠・出産を未経隓者たちが挔じる『擬嚩』など。矎術、写真、音楜、建築など異なる領域のアヌティストずも共同䜜業を行う。2013幎から2015幎、Dance Fanfare Kyotoの䌁画・運営メンバヌ。2018幎より倚角的アヌトスペヌス・UrBANGUILDのブッキングスタッフ。2019幎より地図にた぀わるリサヌチプロゞェクト「わたしたちのフリヌハンドなアトラス」始動。NPO法人京郜舞台芞術協䌚理事長。

執筆・線集藀林æ‚