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🍁スタッフ䞍定期コラム🍁 展芧䌚レビュヌ「Nerhol 氎平線を捲る」

BUGのスタッフたちが仕事をするなかで気になった本や、日頃思っおいるこず、仲間が぀くった展芧䌚のピアレビュヌやレポヌトなど、぀ら぀らず曞き連ねる䞍定期連茉シリヌズ。今回は石井貎子さんの執筆した展芧䌚レビュヌ「Nerhol 氎平線を捲る」です

千葉垂矎術通で2024幎9月6日金〜11月4日月たで開催䞭の「Nerhol 氎平線を捲る」。本展芧䌚は、Nerholにずっお初ずなる矎術通での個展である。

Nerholは今幎で結成17幎目。グラフィックデザむンを行う田䞭矩久ず、玙や文字を玠材に圫刻をする飯田竜倪によるアヌティストデュオである。近幎では「Beyond the Way」(レオノヌラ・キャリントン矎術通、メキシコ、2024 幎)、「Tenjin, Mume, Nusa」(倪宰府倩満宮宝物殿、犏岡、2024幎)など、囜内倖で掻躍し続けおいる。
圌らはこれたでに玙の積局を圫刻し、写真ず圫刻の狭間であるかのような独自の䜜品を展開しおきた。 本展で圌らの䜜品に觊れ、この制䜜アプロヌチには飯田・田䞭が持぀それぞれの背景が反映されおいるず芋受けられた。

圫刻家である飯田は、曞物を媒介に蚀葉や時間を圫刻ずしお衚す詊みを起点に制䜜をおこなっおきた。曞物や写真には、その時代瞬間が閉じ蟌められおいる。それらを玠材ずした「時間を圫刻する」ずいうアプロヌチは、Nerholの䜜品コンセプトにも投圱されおいる。
グラフィックデザむナヌである田䞭は、写真集制䜜の仕事をベヌスに掻動しおきた。写真集は1冊党䜓を通じおテヌマやストヌリヌを䌝えるこずを意識し、構成される。぀たり「ペヌゞを捲る」ずいう行為に沿った流れを敎えるこずが非垞に重芁だ。読み手はペヌゞを远うごずにストヌリヌや展開を自らに取り蟌んでいく。これらの思想 はNerholの䜜品にも投圱されおいるのではないだろうか。積局される数癟枚の写真は耇補ではなく、埮劙な動きや時間のズレが連なった写真が連続的に重ねられおおり、その䞋に朜む蚘憶や身䜓的動䜜を想起させるこずに成功しおいる。

本展では、圌らのタヌニングポむントずなる䜜品から新䜜たで、圌らの倉遷を蟿るこずができた。ポヌトレヌトシリヌズに始たり、自然、怍物、歎史など思考の察象を抌し広げおいった軌跡が䌺える䌚堎構成であった。
初期のポヌトレヌトシリヌズでは、あたかも蚌明写真を撮圱するようなセットで被写䜓を3分間連続撮圱し、出力した写真が200枚䜿甚されおいる。静止しおいる぀もりでも、぀い生じおしたう僅かな揺れや瞬きを蚘録し、積み重ね、圫刻を斜した䜜品である。䞀瞬を切り取った1枚の写真を自らの蚌明アむデンティティずしお認識される瀟䌚に察しお問題を呈しおいる。
2018幎に倧分県別府垂でのアヌティスト・むン・レゞデンス「KASHIMA」で滞圚制䜜された䜜品矀も印象的だ。同地の自然や文化的背景のリサヌチが、䜜品に色濃く投圱されおいる。たずえば、《ワむルドグッピヌ》(2018)は、別府垂で熱垯魚が川に生息しおいるずいう話を聞いた圌らが、境川の䞋流で捕たえたグッピヌをモチヌフずしおいる。氎䞭を泳ぐ”野生”熱垯魚の揺らぐような動きが、圫る行為によっお際立ち、自然の川で亀雑するこずで倉化した生態系ぞの泚芖が芋受けられる。
《別府倧仏》(2018)では、1926〜1989幎に存圚した「別府倧仏」をリサヌチした。今はそこに無いものか぀おあった颚景を圫刻し、”䞍圚”や”忘华”ずいったテヌマにも目を向けおいる。

たた、本展のために制䜜されたむンスタレヌション䜜品《Conseal with Oga lotus》(2024)は圧倒的なスケヌル感だ。圌らは千葉垂矎術通が持぀歎史に着県した。1階の「さや堂ホヌル」は、旧川厎銀行 千葉支店ずしお1927幎に建蚭され、第二次䞖界倧戊時の千葉倧空襲䞋で焌倱を免れ、珟圚は歎史的建造物ずしお垂の有圢文化財に指定されおいる。圓時、この跡地に矎術通を新蚭する案が持ち䞊がった際、建築家の倧谷幞倫は、叀い建物を取り壊し刷新する郜垂開発に察し、歎史や地域の個性の喪倱に譊鐘を鳎らした。旧川厎銀行を解䜓せず、芆うようにしお新しい建物を建おる「鞘堂方匏」ずいう手法を提案し、建物の䞭心栞ずなった空間を「さや堂ホヌル」ず名付けた。
Nerholはこの空間を、千葉垂の花であるオオガハスを原料ずした倧量の和玙の玙粉で芆い尜くした。このオオガハスもたた、千葉垂の地局で発掘された2000幎以䞊前の皮子を発芜させ、時代を超えお再生し、受け継がれおきた叀代花である。
守り、継承されおきた歎史的な空間に、時間を圫り刻み続けおきたNerholの想いが融合し、埮かな蓮の銙りずずもに広がる光景は、䜕ずも幻想的であった。

飯田ず田䞭は、日垞で経隓した䌚話や小さな出来事を、毎日のように共有し合う䞭で題材を芋぀けるこずが倚いずいう。本展の鑑賞を通じお、私たちが芋過ごしおしたうような些现な倉化に目を凝らし、䞖界の倚様性や倚局性に目を向け続ける圌らの芖点が感じられた。
我々が芋えおいる䞖界はほんの䞀郚で、その裏偎には幟重もの䟡倀芳や歎史の連なりが局をなしおいるこずヌヌ重なり、閉じられた䞋に朜んでいるはずのむメヌゞにも想いを銳せながら、ぜひ鑑賞しおほしい。


このコラムを執筆したのは・・・・

石井貎子いしい たかこ
1994幎神奈川生たれ倧阪育ち。営業職の経隓を経お、2023幎4月からリクルヌトアヌトセンタヌに配属、䌁画・運営を担圓。
アヌトセンタヌBUGでは、吉田志穂個展「印刷ず幜霊」の䌁画、「Summer Studio 2024」の䌁画運営、WEBサむト運営などを担圓。写真を撮るこず/芋るこず、怍物園巡りが奜きです🌱