トレイルカメラの記録をまとめてみた
はじめまして。まっちゃんです。僕は昨年からトレイルカメラを仕掛けて、野生動物の観察を行っています。哺乳類の観察の経験があまりなかったので当初は手探り状態でしたが、撮影して1年を過ぎた今では、生活のルーティーンに入るほど楽しんでやっています。
今回は撮影記録も貯まってきたので「記録をまとめてみよう!」と思い立ち記事を作成してみました。
扱う記録は、2019年4月から2020年3月末まで(総撮影日数227日間)の水辺で撮影した記録です。この撮影は、野生動物の水辺の利用を撮影したいと思い行いました。そのため、この記事では撮影記録を『どんな哺乳類が撮影されたか』と『水辺は利用しているのか』についてまとめます。今後の撮影の参考にしつつ、皆さんにトレイルカメラの面白さが伝わればと思っています。
では、早速いってみましょう!
※以下の内容は学術的調査の結果ではなく、趣味と興味本位のまとめです。今回の撮影では同じ水辺で行っていますが、カメラの位置は何度か変えています。そのため必ずしも定量的な記録ではありません。ご理解の上お楽しみください。
撮影地の紹介
まずは撮影地を紹介します。
撮影地は、針葉樹林に囲まれた沢が流れる雑木林。その中にある半人工の水たまりです。沢から染み出た水が、ゆるく流れていた場所の一部を浅く掘り、水が溜まるようにしました。基本的には放置していますが、2019年10月の台風後は泥が堆積して埋まってしまったので、再び浅く掘り水が溜まるようにしています。
周辺環境は、同様に水が染み出た環境が点在しており、約50m離れた場所に畑が、約300m離れた場所に集落があり民家と畑が広がっています。
どんな動物が撮影されたのか
撮影期間を通して8種類と3グループの哺乳類が撮影されました。イタチ類は主にテンなのですが、イタチと識別が困難な動画があったため、まとめています。撮影地の自治体で確認されている中型、大型哺乳類では、ホンドギツネとニホンザル、ニホンカモシカ、ムササビの4種以外は確認できました。
撮影数を見てみると、イノシシがダントツで多く撮影され、次にタヌキが多く、以下シカ、ノウサギ、イタチ類の順になりました。また、イノシシとタヌキは、2匹以上が同時に撮影された数も多かったです。イノシシは、親子での行動。タヌキはペアと思われる2匹での行動が確認されました。
意外だったのは、アライグマとハクビシンの外来種2種がほとんど撮影されなかった事です。周辺地域でも目撃例をたびたび聞いていたので、当初は在来種と同程度に撮影されると思っていました。
ただ、今回の記事では取り扱っていませんが、2020年4月以降の記録では、この外来種2種が撮影数上位5種と同程度に撮影されています。明確な理由は分かりませんが、2019年は知られていなかったこの場所に、彼らが気付いてしまった。という状況なのかもしれません。
続いての図は、先ほど撮影数上位5種がいつ撮影されたのかを比較したものです。
この図は、点一つがその種類の撮影された日を現しています。そのため点が集まっているところは、よく出現している時期ということになります。種類によって、よく出現している時期としていない時期があることが、ぱっと見で分かると思います。大雑把に5月~7月と1月~3月に出現が多くなっていました。
5月~7月は、各種の出現のピークは異なりますが、イノシシ、タヌキ、シカの出現が多くなりました。この期間、特に6月から7月上旬くらいまでは撮影地でクワの実が実る時期となり、3種ともクワの実を食べに来ている姿が確認されています。
1月から3月は、1月下旬もしくは2月からイタチ類、イノシシ、タヌキ、ノウサギの出現が多くなりました。この期間、撮影地ではヤマアカガエルとアズマヒキガエルの繁殖時期となり、多くのカエルが水たまりで産卵していました。イタチ類とタヌキは、そのカエルもしくは卵を狙う姿が確認されています。イノシシとノウサギは、撮影地を素通りしていく姿が多く撮影されたので、餌資源の少ない冬季に行動範囲を広げた結果、出現が多くなったのかもしれません。
水辺は利用しているのか
さて、ここからが本題です。早速、結果を見てみましょう!
撮影期間中この水辺を利用した行動は、あまり多くはありませんでした。全体の中では、タヌキとイタチ類が多く水辺を利用していたようです。最も多く撮影されたイノシシは、水辺の利用は少なかったです。周辺環境では多くのヌタ場を確認していて、泥まみれのイノシシの姿も確認しているのですが、この撮影地では1度しか泥浴びを確認できませんでした。
行動として多く観察されたのは、水たまりに生息する水生生物の探索・行動です。先述の通り、この水たまりには2種のカエルが繁殖地として利用しています。また水生昆虫ではヤゴとアメンボを確認しています。
餌資源の確認として、生息している水生昆虫を調べるのも面白そうですね。
面白かった行動としては、シカの排泄行動です。シカの糞は周辺にもよく落ちていますし、場所を選んで行っているとは思えないのですが、水たまりにわざわざ入って排泄していました。シカが水辺を利用したのはこの2回の排泄のためだけなので、何か意味のある行動なのかもしれません。
最後に、水辺を利用した時期の比較です。
タヌキとイタチ類は2月下旬から3月にかけて利用が集中していますが、これはカエルを狙った行動です。他の3種は水飲みや泥浴びなど、時期に関係のない行動が観察されていて、実際に観察時期もバラバラでした。
この撮影結果が一般的な哺乳類の水辺の利用と比べてどうなのかわかりません(もし情報・資料があったら教えてください)が、①撮影地は周辺にも水辺環境があり、わざわざここを利用する必要がない。②新しく作られた水たまりなので、周囲の生物たちに当初はこの場所が浸透していない。こんな理由から、撮影期間中に水辺の利用が少なかったのではないかと考えています。そのため、この理由が正しいのであれば、①は周辺に撮影地を増やすことで、②は今後も同じ場所で撮影を続けていくことで、水辺の利用の観察数が増えていくのではないかと考えています。
まとめと展望
撮影の目的である水辺を利用した行動は多く観察されませんでした。しかし、全体の撮影数はそれなりに多く、出現時期も種類によって違うなど、2020年4月以降の撮影に参考になる結果でした。
この撮影地では引き続き水辺の利用観察を目的に撮影を続けることで、2019年との違いを比較してみようと思っています。特に2019年は8月9月の真夏の時期に撮影が出来なかったので、今年はこの時期も撮影を行う予定です。
筆者が哺乳類に関して勉強不足なため、結果のまとめが中心になりました。読んでいただいた方の中で、何か気が付いた点等ありましたらぜひコメント欄で教えてください。また、この記事では必要な情報をかなり省いてまとめています。質問などもありましたら、答えられる範囲でお答えします。
さて、先ほども書いた通り、この場所での撮影は今後も続けていく予定です。この撮影を続けているのは、毎回ここには書ききれない小さな発見があり、本当に楽しいからです。2020年の記録も貯まったら整理してみたいと思っています。もし興味が出た人はトレイルカメラでの撮影に挑戦してみてください。
最後になりますが、拙い文章をここまで読んでいただき本当にありがとうございました。次回は、今回扱わなかった鳥類の撮影記録をまとめたいと思っています。