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レストランのお会計は札束?!

ブエノスアイレスを訪問予定の方から「現地レストランの価格はどんな感じですか?」とご質問をいただくことがあります。結論から言うと特に今年に入ってから外食代が急激に高くなったなと感じています。

アルゼンチンは南米屈指のグルメ大国ですが、世界最悪のインフレ国の一つでもあります。昨年末に政権が代わり、新政府の緊縮政策により公共交通機関、生活必需品、サービスの価格が上昇したことで、消費者の支出の優先順位は変わってきました。

特に今年に入ってからはレストランなどの外食産業への打撃が一層深刻化しています。これはパンデミックの最も厳しい時期と比較しても深刻で、これにより多くのレストランが経営難に陥り、閉店を余儀なくされていると現地では報道されています。ペソの下落が外食産業の躍進を後押した昨年の外食ブームは、残念ながら過去の話になってしまったのです。

今回はこれからブエノスアイレスを訪れる方向けに、実例を挙げて価格の移り変わりをご説明できればと思います。わかりやすいようにドル表記しています。(レートはブルーレート換算で、昨年8月当時を1ドル720ペソ、今年8月現在を1ドル1,300ペソとして計算しています。)

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一年前の価格と比較

まずカサ・ロサーダ近くの某人気イタリアンレストランでは、2023年8月時点で一人当たり11ドルで食べることができたパスタメニュー(アペタイザー、パンとドリンク込み)が、一年後の2024年8月現在で22ドルと一人当たり11ドル値上がりしました。これは実際のペソ換算にすると前年同月比388%の値上げです。

フランス建築の壮麗な某宮殿内にあるレストランでは、昨年8月時点で一人当たり12ドルで食べることができたランチメニュー(アペタイザーとドリンク込み)が、今年8月時点で22ドルと一人当たり10ドル値上がりしています。実際のペソ換算では前年同月比288%の値上げです。

プエルトマデーロで外国人団体客がよく利用する食べ放題レストランでは、昨年8月時点で一人当たり12ドルで食べることができたビュッフェスタイルのディナーが、今年8月現在で17ドルと一人当たり5ドル値上がりしています。実際のペソ換算では前年同月比191%の値上げです。

また某人気韓国料理店では昨年8月時点で一人当たり10ドルで食べることができたプルコギ(ドリンク込み)が、今年8月現在で17ドルとこちらも一人当たり7ドル値上がりしています。実際のペソ換算では前年同月比233%の値上げです。

最後にアルゼンチンに来たら必ず食べるべきステーキの価格はどのように変わったでしょうか。プエルトマデーロの某ステーキハウスでは、昨年8月時点で一人当たり10ドルと激安で食べられたリブアイステーキ(400g)が、今年8月時点で19ドルと9ドル値上がりしています。実際のペソ換算では前年同月比265%の値上げです。

もちろん、もっと高いレストランもあれば安いレストランもありますが、どのレストランも前年同月比でかなり値上がりしていることがお分かりいただけると思います。

まとめ

現地ではホームページに値段を出さないレストランが増えていますし、Googleマップにアップされているメニュー写真の価格帯は、数週間もすれば変わるのでほぼ参考になりません。

日本は他の国に比べて値上げを極端に嫌うようですが、アルゼンチンは正反対で、慢性的なインフレとお国柄の影響で「お客様ファースト」という考え方はありません。自分たちのビジネスを守ることが優先されるからです。

最近は新しい最高額紙幣10,000ペソ札の流通が始まりましたが、実際7ドルほどの価値しかありません。現地で換金するとほとんどの場合オレンジ色の1,000ペソ札を手にするので、現金払いする場合は大量の札束を置いていくことになります。

もちろん私のように現地暮らしともなると、日本に比べてまだまだ安くて美味しいステーキ肉とワインを買ってきて、家で友人たちとワイワイする方が断然経済的です。

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