そういえば昔スペインで体験したミラクルな話
こんばんは。
もう7年くらい前の話なんですが、スペインマドリードの地下鉄で私、パスポートを盗まれました。
ちょっとその時の話とそこで起きたミラクルとスペイン人も捨てたもんじゃないなって話を書き連ねようと思います。
そして、海外渡航をされる方の参考に多少でもなればと思います(今は自主規制される方が多いと思いますが)。
海外でパスポートを盗まれるってもうアレですよ。
絶望
この時私はスペインでの任期を終えて、帰国までの数週間サンセバスチャンに行く予定でした。
その移動中。前日私のお別れパーティーでちょっと(いやかなり)ふらふらなまま移動していたら、何か若いお姉さんがこっちに寄ってきてゴソゴソしている…
あっ!
時すでに遅し。次の駅でお姉さんは降りていき、確認すると…ない。ない。
パスポートがなーーーーーーーーい!😱😱
即次の駅で降りて折り返しましたが、いるわけないよね〜〜。面倒くさがりと貧乏が幸いしたのか災いしたのか、パスポートと財布と航空券とパスポートのコピーは全て別にしていました。そしてその中で一番分厚かったのがパスポート(と保険の小さい冊子)。笑
とられたのは本当にパスポートだけでした。スマホもあり。現地のケータイもあり。
でも、こっから若干パニックですよ。というか絶望。え、やっべ、これからどうすっかなー…っつーか身分証ないようなもんだし、帰れないし…
その後、ちょっと落ち着くためにぼーっとして、その時何かが舞い降りました。
私のパスポートが必要なのってこの世で私1人じゃね?お金ならともかく、パスポートだけっている?
確信はなかったですが、パスポートケースにはパスポートしかない。日本のパスポートは高く売れるって聞いたことあるけど、向こうは私が日本人かなんて分からない。「金目のものないじゃん」って思うかもと思ったのです。
そこからの私の行動は人生最大のグッジョブなんですが、
清掃員のおばちゃんに話しかけました。
私「すみません!Perdona, señora! 」
🧑🦳「はい?Sí? 」
血相変えたアジア人に話しかけられたおばちゃんはびっくりしていましたが、何かただならぬものを感じたのでしょう。相手にしてくれました。(たまに無視されるので)
「今地下鉄の中でパスポートを取られて、犯人はここで降りたのを見たんだけど、私のパスポート、本当にパスポートしかなくて、お金とか入れてなくて…多分犯人には必要ないから…
もしかしたら捨てるかもしれないから
そのゴミの中にそれらしいものがあるかもしれないから注意して見ていてもらえませんか!?」
焦っていたのでスペイン語もたどたどしくなりましたが、それでも一生懸命伝えました。
おばちゃんも
「まぁ!わかったわ!仲間にもそう伝えるわね!任せて!そして元気出してね!」
とすぐに応じてくれました。
そこから、よろしくお願いします、と伝え、おばちゃんに話しかける前にパニックに陥りながら連絡していた元上司の指示通り鉄道警察に行きました。
👮♀️「うーん。まぁ、受け付けるけど。。不運だったね。気をつけてね。」
うん、そうだね。気を抜いた私が悪いよね😢だってここはスペイン。。
その後おばちゃんにもう一回すれ違ったんですが「まだ無いわね〜。でも見とくわね!」って言われました。
とりあえず絶望と共に目的地へ。
その後大使館に連絡し(日本スペイン間はパスポートがなくても大使館でコピーを見せて、日本から戸籍謄本だったか抄本だったかを取り寄せて手続きすればとりあえず特別許可書を発行して帰国できるそうです)、国家警察にも行きました。
全員「あーやられちゃったね」って感じ。
この時、私も含めだーれも期待していませんでした。必要な手続きを踏んでいるだけ。
とりあえず帰国後、両親にこっぴどく叱られること、おそらく今後一切の海外渡航禁止令が下されることだけは間違い無いと腹を括っていました。(正直、パスポートがないよりこっちの方が怖かったです。笑)
が、それから2週間後くらいして一本の電話が。
マドリードの鉄道警察から。
「ありましたよ。見つかりました!」
え、あった?あった?
あったーーーーーーーー!!!!🙌
その後のことはよく覚えてないんですが(笑)、なんかあと10日くらいマドリードには行けないことを伝えてとりあえず「絶対!!!!!!!取りに行くから」と言って電話を切ったのだけは覚えています。笑
その直後、今度は大使館から連絡が来ました。
「その後どうですか?書類とかご用意できそうですか?」と。
「はい!見つかったそうです!今警察から連絡ありました!😊」と伝えると
「え、あった?え、あったんですか!?え?」
あっちが驚いていました。笑 そりゃそうだ。
私は自分だけでは電話の内容が聞き取れるか不安があったので、ちゃんと信頼のおける現地の人に一緒に確認してもらって間違いなかったので大丈夫と話しました。
これは激レア中の激レアなので、大使館の方も、
「大使館のスリ対策のページに記載したいので詳しく教えていただけますか?」と。
私は快く上記に書いたことをお話ししました。
私は運良く自分がスペイン語がある程度話せたこと、とっさに「パスポート、捨てられるかも!?」と思って清掃員のおばちゃんにお願いしたことが一番よかったと思っています。そしてそのおばちゃんがいい人だったことも奇跡。
マドリードに戻り、留め置きしてもらっていた警察に行った時も
👮♀️「落ちていたって届けてくれたんだよ」
👮♂️「君は本当にすごい。スペインでこんなことは滅多にないんだよ。奇跡だ!」
と言われました。
あのおばちゃん、焦りと絶望で顔もあまり覚えていないけど、そしてまた会うことはないけど、心からお礼を言いたい。
楽しかったスペイン生活が嫌な思い出に変わらなくて本当によかった。
以降、海外に行く際はパスポートはどうあっても人が取れない所に入れるようになりました。笑
最後に。
今、新型肺炎の影響が世界中に広がっています。中国、大きく言えばアジアで発生が確認されたこともあり、アジア人差別を受けることもあるかもしれません。
でも、本当に困っている人には無条件で手を差し伸べてくれる人がいるとも信じたい。不要な外出、出国は避けるべきだという意見は私も納得していますし、今はそうすべきだと思います。しかし、そうもいかない人も少なからずいるはず。だからこそ、信じたい。
その思いも込めて今日はこの記事を書きました。