ベンジル保護基とり爺さん
顔に大きなベンジル保護基のある、IFの高い研究をするお爺さんと研究しないタイプの研究者のお爺さんがいた。
IFの高い研究をするお爺さんが森に木を切りに行くと、突然雨が降ってきたので木のうろで雨宿りをすることにした。いつのまにか眠ってしまい、目が覚めると有機化学者たちが楽しそうに学会をしていた。
お爺さんもついつい有機化学者たちの輪の中に入っていってしまった。お爺さんの研究発表を気に入った有機化学者が、また明日も来るように、それまでこれを預かっておくと言って酸化白金を用いて高圧水素下で顔のベンジル保護基をとってくれた。
あくる日そのことをもう一人のお爺さんに話すと、その爺さんも、さっそくその夜に有機化学者の学会の輪の中に飛び込んでいった。しかしIFの高い研究をするお爺さんと違って、研究が大嫌いでいやいや研究していたものだから、有機化学者たちはすっかりしらけてしまった。
お爺さんはベンジル保護基をとってくれと嘆願するが、逆に昨日預かっていたベンジル保護基を顔につけられてしまい、両方の頬にベンジル保護基をつけて一生を送らなければならなくなってしまった。
元文献
http://nihon.syoukoukai.com/modules/stories/index.php?lid=1&cid=3