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「日本人が少ないところ」に留学したい方へ

「学校に日本人はどのくらいいますか?」

留学するにあたり、日本人が少ない学校を選ぶのは定説であるかのように、挙って質問がある。

日本人が多い学校に行くと、英語学習の妨げになるので避けたいというのが理由のようだ。

逆に日本人が少ない学校に行けば、否が応でも英語でコミュニケーションを取るしかないので、自然と英語力が身に付くというロジックなのであろう。

しかし、日本人の平均英語力は中級前後なので、全く日本語が通じないのも心配であるから、日本人スタッフがいる学校を選んだり、食事が口に合わないと死活問題なので、日本の物資が手に入りやすい、比較的都会を選ぶ日本の留学生が多い。

日本人が住みやすい国や都市は、日本人留学生も多いので、そのような土地で日本人が少ない学校を見つけるのは至難の業だ。

日本人の留学生が一番多い時期は、日本の春休みと夏休みにあたる期間なので、そこを避ければ日本人の割合が少ない場合もあるが、だからと言って、日本人留学生の多い国や都市を選びつつ、全く日本人のいない環境を求めるのは難しい。

  • 日本人が多い少ないにこだわらず、行きたい国や都市に行く。

  • 日本人を避けるために、あえて情報の少ない国や都市に行く。

この二択にするしかないのが現実だ。

YouTubeなどで留学に行った感想をよく見かけるが、それはあくまでも個人の感想であり、まったく同じ時期に同じ英語力で同じ期間留学する、同じ性格の学生はいないことを、ここでお伝えしたい。

少し話は逸れるが、ヨーロッパやラテンの生徒さんは、複数の国籍を持っていたり、ミックス(日本語で言うハーフやクオーター)の人が多い。
そのため、自分のアイデンティティは、どこで生まれたかと、どのように育ったかの両方で決めている。

ポルトガル系のお母さんと(しかもお母さんもミックス)、ブラジル人だけどイタリアの国籍も持っているお父さんの子供で、パスポートはポルトガルとイタリアとブラジルの3つ持っています、なんてことがよくある。

このようなバックグラウンドを持った人を「ナニジン」とひとくくりにするのは無理があるが、学校としては、学校に申し込む際に、どの国のパスポートを使ったかで国籍を判断している。

それに比べ、日本人は日本生まれ日本育ちの人が多く、他国にルーツを持つ方や、ミックスの方たちが増えたとは言え、数で言えば圧倒的に日本生まれ日本育ちの日本人が多い。

その状況から考えると、日本人以外の留学生も「ナニジン」とくくりたいところであろうが、上記の理由から、学校側は国籍の比率はあくまでも参考程度であり、一喜一憂したり、鵜呑みにしたりするものではないと考えている。

私だってそうだ。

私はカナダに14年住んでいるので、その気になれば、日本国籍を捨ててカナダ国籍を取得することができる。

だが、私が「カナダ人だ」と日本に住む日本人に伝えても、ピンとこないであろう。

そもそも古代では「国」や「国籍」という考え方がなかったように、ここまでグローバル化や多様性が広がれば、「ナニジン」であるかは、あまり意味をなさなくなる。

あるのは「個人」であり、その「個人」がどのような人間であるかなのだ。

言語も文化も慣習も同じ日本人からは何も学べず、下手をすると日本語でばかり会話をして英語の学習にならないから、日本人を避けたいと留学生は考えているかもしれないが、日本人同士であっても、学べることはたくさんある。

なぜなら、日本人だからといって、全員が同じバックグラウンド、文化、常識、慣習、価値観を持っているとは限らないからだ。

異業種交流会というものがある。

様々な業種の方たちが集まり、情報交換したり、コラボレーションすることで、より自分の見聞を深め、周りから吸収し、仕事を円滑にするための会だ。

日本での異業種交流会であれば、日本語を話す方たちが主に参加するだろうが、それでは情報が得られないと考える人はいない。

だが、こと留学となると、日本人がいると情報が得られないどころか、自身の学習の妨げとなると考えてしまう。

日本人のことは既に分かっているから、留学先で日本人と話してもためにならない、と。

本当にそうだろうか。

今の時代、ハードスキルにあたる「言語」を学ぶこと自体は、それほど重要ではない。代わってAIがやってくれるからだ。

ただし、言語をどのくらい「使える」かは、これまで以上に必要になる。

従来のスコア稼ぎの英語ではなく、相手に気持ちや考えを伝えられるか、相手の話を理解して総括することができるか、全く意見の異なるグループとプロジェクトを進められるか、意図や、裏側にある真意が読み取れるか、人の心を動かす文章が書けるか、などのソフトスキルが重要になる。

留学に行くと、自分が生まれ育った土地とは異なる場所で、自分の常識がぶち壊され、人とのコミュニケーションとは、これほど難しいものなのかと体感しながら、様々なバックグラウンドや思考を持つ人たちと繋がりを持つことができる。

しかし、留学に行かなくても、国内旅行や異業種交流会でも、様々なバックグラウンドや思考を持つ人たちと繋がりを持つことができる。

大切なのは、自分以外の人を知ることで、自分自身を知ることだ。

それができれば、日本人が多いとか少ないとか、そんなことは取るに足らないことなのだ。

海外に出ることの素晴らしさは、出会いにある。

自分とは異なるバックグラウンド、文化、常識、慣習の人たちと出会い、見たこともない建造物や歴史、アートに触れ、それを自分の生き方に活かせるところに醍醐味がある。

学校に日本人以外の学生がいることがプラスになることは間違いない。

ただ、日本人がいることがマイナスになるとも思わない。

人の数だけ価値観がある。

様々な価値観を知ることにより、流行や時代が移り変わっても、ブレない自分を手に入れることができるのだ。

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絵画は「歌川広重 / メトロポリタン美術館」さんからお借りしました~。

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