「出稼ぎワーホリ」をしようと思っている方へ
10月、11月と連続で日本出張があり、久々に日本のテレビ番組を観る機会があった。
3年前と特に変わらない、ワイドショーやバラエティー番組が多い。
特に何も考えず、パッキングなどをしながら惰性で観るにはちょうどいい番組ばかり。
ストレス社会ニッポンでは、こうした娯楽番組がないと息抜きができる場が少ないのだろうと改めて思いつつ、お笑いは大好きなので、コロコロとチャンネルを替えながら色々な番組を観る。
ふとニュースを観ると、今「出稼ぎワーホリ」が流行っているとのこと。
お給料が上がらない上に円安なので、日本を出て海外で仕事をして高いお給料をもらい、稼いだ分を貯金したり、日本に仕送りをしたり、あわよくば海外で悠々自適に暮らそう、というものだ。
カナダでワーホリをしている方や、ワーホリから移民をした方、アメリカでお寿司屋さんを営んでいる方が取材されており、どの方も海外生活をエンジョイしているとのこと。
ワーホリビザが申請できる若い世代の方がこの放送を観たら、海外に行きたい!となること間違いなしの内容だ。
「時給は日本の倍」とか、「勤務時間後は趣味に没頭」とか、「日本ではできなかったことが海外でできた」とか、充実と成功でキラキラしていた。
確かに、そういう人もいる。
私もカナダに住んで13年。
ありがたいことに、日々食べるのに困ったことはない。
日本では女性の社会進出や家庭との両立など、様々な問題と向き合って自分のキャリアを選択しなくてはいけないだろうが、ここに辿り着くまで、ある程度は自分の希望通りに進んだと思う。
だが、決して楽ではなかった。
賃金が高ければ物価も高い、家賃も日本の比ではないし、頭金や住宅ローンの問題も頭が痛い。
本人に非がなくても、「明日から会社に来なくてもいいよ」というリスクと常に隣り合わせで仕事をしている。
だから、まるで夢物語のような報道をして、その裏にある現実を見せないのは、これからワーホリを考えている方に失礼だし無責任だ。
今、確かに仕事はたくさんある。
コロナ期間中に従業員を減らしたお店や会社が採用をしているからだ。
最低時給は日本円で1500円ほどなので、日本の地方都市と比べたら倍ほどだろう。
ただし、英語力やスキル、経験がなければ仕事は見つからない。
出稼ぎどころか、日本から持ってきた貯金が日々目減りしていくのを、不安と焦りに押しつぶされながら生活しなくてはいけない。
日本というホームグラウンドを離れて、アウェイで戦うのだから、戦術も違えば、今までのスキルが通用するとも限らない。
貯金が底を尽きて、日本に帰国する可能性も考えておかなくてはいけない。
日本ではやりたくない、と思っていた職業に就く可能性も考えておかなくてはいけない。
一時的に海外で稼げたとしても、それが将来のキャリアには結びつかない可能性も理解しておいた方がいい。
その上で、本当に「出稼ぎワーホリ」で1年、2年を海外で過ごすのか検討した方がいい。
日本の報道番組は、キャッチーなタイトルでテレビ離れした若者たちを取り戻そうとしているのかもしれないが、成功例ばかり報道をして、失敗例を見せないのは残念でならない。
そもそも、「日本にいても稼げないから海外に行こう!」と言ってしまっている日本はヤバいと思う。
かつて外国人は日本で仕事をしたいと言っていたのに、今や日本に来たがる外国人は少ない。
安い賃金で長時間労働の日本に魅力を感じないからだ。
過去30年で諸外国にどんどんと追いつかれ、日本に行くよりも待遇面で魅力的な国が増えた。
日本の若者を海外に出すばかりでなく、海外の若者に来てもらえるような魅力的な日本にしなくては、日本の素晴らしい人材を海外にあげているだけになってしまう。
これで、海外に出た日本の若者が成功して、日本に戻らないことにした場合、日本から優秀な若者はどんどんと消え、海外の優秀な若者は日本に来ない。
考えるだけで恐ろしい。
私が日本には戻らない海外在住者の一人であり、また、留学の仕事をしているのは皮肉なものだが、日本人に海外で経験を積んでもらいたいとは思っているものの、学んだスキルや経験は日本で活かしてもらえたらなと思う。
続きは次回。ちょっとアピール。こんなことやっています。👆
スタエフもやってます🎵
最近みなさんの記事が読めず、本当に申し訳ありません。
気にしてます!とっても気になってます!
早く追いつきます!!