私と彼のこと(2)-コロナ禍の中で生まれるということ-
面会
一つ勘違いしていた。
彼(孫)と、母親になったばかりのRさんが入院している産院には、家族といえども誰も面会には行けなかった。
出産時には院内で立ち会えた長男A(彼の父親)も、一度退出してしまうと、再び足を踏み入れることはできないのだそうだ。
退院までずっと泊まり込んで一緒に過ごすという選択肢もあるが、AとRさんは選ばなかった。
母子ともに体調が良いので、退院の日に合わせて仕事を休ませてもらえばよい、と判断したようだ。
コロナ
これも、新型コロナウイルス感染症の流行で変わってしまったものの一つといっていいだろう。
地元では、過去2ヶ月以上、新規感染者は確認されていないが、県外在住の親族をお持ちの方も多いだろうから、仕方のない措置だと思う。
すぐにでも直接対面して、「愛しているよ」「君はこんなにたくさんの人に望まれて生まれてきたんだよ」と伝えたい気持ちは、もちろんある。
母親になったRさんにも感謝を伝えたい。
新たに生じたのか、見過ごされていただけなのか
しかし、新生児や出産直後の母親のストレスは、どう捉えたらよいのだろうか。
一人でいること、二人きりでいることで生じる不安と、ひっきりなしに大勢の訪問を受けて自分たちの生活のペースを乱されることの、どちらが大きなストレスを生じせしめるのか。
無論、そんな二極化して白黒をつけるような問題ではないのだろう。
だけど、このところ「コロナ禍がもたらしたように見えているけれど、実は以前から潜在していて、今回、顕在化されただけの問題」と出会うことが多いので、どうしても考えてしまう。
収束(終息?)したとしても、元に戻したくないことはたくさん思い浮かぶ。
菩薩の拳
ともあれ、数日間はRさんが送ってくれる写真を眺めて幸せに浸る以外にはない。
上の写真は、昨日、最初に送ってもらった一枚。
今日、改めて眺めていて、「赤ちゃんって、本当に『菩薩の拳』を作るんだな」と感心した。
実際の仏像の手印に、こういう赤ちゃんの手と同じものがあるかどうかは別にして(多分なさそう)、「究極のリラックス状態」「気配を感じさせない」という説明が納得できてしまった。
直接会える日が来たら、この小さな手に私の指を握ってほしい。
そのとき、私にどんな変化が起きるのか、今から興味深い。
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