私と彼のこと(714)-はらぺこあおむし-
今朝、朝食を摂っていると、兄・N君が絵本『はらぺこあおむし』を持ってきた。
当然、食事を中断して、恭しく読み聞かせを提供させていただく。
途中、「すもも」や「ペロペロキャンディ」などの、青・黒基調の絵を見る度に、N君は「パパ」と指さす。
おそらく、長男Aの好んで着る服や、愛車のカラーリングからの連想だろう。
オレンジ色を見ると「ママ」
これもRさんの服装などのイメージなのだろう。
黄色を見ると「ばーば」
これは、義母(彼らの曾祖母)の愛車の色。
N君は、街中で黄色い自動車を見るたびに「ばーば」と指さす。
そんなやりとりをアチコチに挟み込みながら、読み聞かせは続いていく。
あおむしがサナギになり、ついに羽化するシーンでは、N君も「ちょうちょ!」と目を輝かせたが、実のところまだストーリーを楽しむことには至っていないことも解かった。
でも、こうした体験そのものが彼を楽しませていることを期待して続けた。
読み終えて、絵本を閉じた直後、N君は私の膝の上で振り返り、私の胸をつつきながら「じいじ」と笑った。
一瞬遅れて、私も気づいた。
私が、はらぺこあおむしのTシャツを着ていることに。
彼が、その絵本を私に読んで欲しかった理由に。
何とも間の抜けた話だが、とっても幸せな瞬間でもあった。