
たんぽぽの家 播磨靖夫さん
「おてらおやつクラブ」の活動をNPO法人化した理由は2つある。
ひとつは、「まだまだ足りません」にお応えするため、個人的な活動ではなく、多くのお寺(おそなえ・おさがり・おすそわけという習慣)が参加する仕組みを作っていく必要があると思ったこと。もっといえば一人では小さな力ではあるけれども、小さな力がたくさん集まることで大きな力になる、そのためには市民活動として培われてきたNPOの仕組みがフィットするだろうと考えたからだ。
もうひとつが、このままでは命に支障があるとドクターストップがかかったこと。仲間集めのために全国行脚していたが、知らぬ間に体が悲鳴をあげていた。メメント・モリ、死を想え。という言葉があるが、たとえ自分が明日いなくなってもこの活動が続くように、活動に法人格を与えることが有効だと考えたからだ。
どちらも、私という個人の限界が、おすそわけ活動の限界にならないように、そんな問題意識からだ。
ときに、NPO法人にすることで、お寺、宗教法人の活動では考えられないよな広がりを感じることもあり、多くの目に触れるための仕組み、公益性を担保する仕組みがあることが、事務手続き負荷というよりは、それ以上に見えないものを見えるようにしていく環境になっている。この道を選んだことは良い判断だったと感じている。
それにしても、NPO法人の運営は大変だ。0→1フェーズは自分の特性からも問題なかったが、関係者が増えてくる(市民活動としてはありがたいことだ)につれ、コミュニケーション設計や事務局のチームビルディングなど胃がいたくなる。なんかしらんけど、めちゃくちゃお金もいるし、ずっとお金の心配しているぞ(汗)この流れってまた倒れちゃうあれ!?(笑)
自分には到底できない課題があふれでてくる。仲間たちと奮闘し、認定NPO法人となって(全国に50,000社ほどのNPO法人があり、そのうちの1,000社が認定NPO法人である。NPO業界におけるIPOとも言える制度がある)、より公益性の高い法人格を取得したが、よりいっそう運営難易度が高まっている。
認定NPO法人の代表(お寺の住職と兼業)ってなかなかレアキャラで、こういうとき相談できる人がいると心強い。1年ほど前、シビックフォーラムに鼎談企画、チロル堂の石田さんやたんぽぽの家の播磨さんとご一緒する機会をいただいた。至極のアドバイスを記しておきたい。
あなたはなまえがいいね。ぼくとおなじ、やすお、だね。
※僧侶になって靖朗(やすお)から靖朗(せいろう)になったが。
後継者をどうしようとか、まだいいんじゃないか。まだはじまったばかりじゃないか。アジアはこれからだよ。
※そろそろ活動も10年、次の世代に経営を引き継いでいきたいとアドバイスを求めたら(笑)
あなたも石を集めているのか。石はいいよね。
※人前に出るときに緊張するのでいつも持ち歩いている丸石に気づかれて
2024年10月3日、満82歳にて永眠。お元気だった晩年にご一緒させてもらえたこと、いただいた言葉が支えになっています。
アートセンターHANAギャラリー特別展 「Good Job! 播磨さん」
1月25日(土)〜2月8日(土)11:00〜17:00
(休館:日・月・祝)
1月25日(土)に、たんぽぽの家の代表をつとめていた播磨靖夫の書籍『人と人のあいだを生きるーー最終講義 エイブル・アート・ムーブメント』がどく社より出版となります。
この出版を記念し、アートセンターHANAギャラリーで「Good Job! 播磨さん」を開催します。
播磨のこれまでの仕事や活動の軌跡、蔵書、生活のなかで愛でてきた小芸術、国内外からの播磨へのメッセージなどを展示させていただきます。
「Good Job! 播磨さん」終了間近、たまたま会場近くの六条公民館で講演の機会を頂き、このタイミングでなんだか播磨さんから呼ばれたような気がして、その足で参加。愛用の品を眺めながら、静かにお別れを偲んだ。愛蔵書の「おすそわけ」をいただく。
播磨さん、ありがとうございました。自分にできることを奈良の地で続けてまいります。僕たちもアジアを目指します。
現在、認定NPO法人おてらおやつクラブでは春から始まる新年度に向けて、クラウドファンディングを企画しています。どうぞお力添えください!
