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グッドデザイン賞ファイナリストプレゼン(2018年10月31日)

みなさん、こんにちは。

特定非営利活動法人おてらおやつクラブの松島靖朗です。

念の為ですが、今日はハロウィンでこんな格好をしているわけではありません。奈良のお寺で住職をしています。

僕たちの取り組みについてご紹介します。

お寺には野菜や果物、お菓子が「おそなえ」として届きます。

お盆・お彼岸など、お参りが多い時期には集まりすぎてダメにしてしまうこともあります。もったいない。

大阪で、28歳のお母さんと3歳の男の子が餓死状態で発見されるという事件が起こりました。

マンションの一室から「最後におなかいっぱい、たべさせてあげたかった。ごめんね」と書かれた一枚のメモが見つかりました。

この飽食の時代に、餓死事件が起こる。

言葉を失う、大きな問いが突きつけられました。

無駄にしてしまって心苦しく思っていたお供え物を、必要とする人々におすそ分けすることで「もったいない」は「ありがとう」に変えられるかもしれない。

仲間たちと動き始めました。

お寺にあって、社会にないものはお供え物だけではありません。お寺の「ある」と、社会の「ない」をつなぐことで、社会の課題を解決するアイデアが「おてらおやつクラブ」です。

おてらおやつクラブは、日本全国のお寺の「おそなえ」を「おさがり」として、地域の支援団体を通じて経済的に困窮する世帯へ「おすそわけ」する活動です。

賛同する寺院は全国975ヶ寺。宗派は様々です。内緒ですが神社や教会も応援してくれています。

392の団体を通じて、毎月約9千人、年間のべ約10万人の子どもたちが「おやつ」を楽しみに待っています。

その一方で「娘が夢を諦めることのないように、私が頑張るしかない」「久しぶりに炊いたコメを食べられました」と

お母さんたちの切実な声が、たくさん寄せられます。

「子どもの貧困」は見えにくいですが日本全国に存在します。

将来の社会の担い手である子供たちの成長に、悪影響を及ぼします。

「最後におなかいっぱい、たべさせてあげたかった。ごめんね」二度と悲劇を繰り返さないために、活動を続けていきます。

「おそなえを、おさがりとして、おすそわけ」全国のお寺や地域で昔からある習慣です。

全国のお寺7万7千のうち、「おてらおやつクラブ」に参加しているお寺はたった1.2%。おやつを受け取る子供も、貧困児童のうち3.6%にすぎません。

より多くの方に参加してもらうことで、お寺が「社会インフラ」として、大きな役割を果たせると考えています。

ある男の子が手紙をくれました。

お坊さんへ。
和菓子はもういいので、
ポテトチップスをください。

いろいろなことを我慢していた男の子がようやく子どもらしい姿を見せてくれたことがとても嬉しかったです。

今回、僕たちの方の活動がこのような形で注目されたことで、もっと多くの人々が貧困問題を考えるきっかけになりますように。

子どもたちの笑顔を一緒に増やしていきましょう。

ありがとうございました。

2018年10月31日 グッドデザインアワード2018 @グランドハイアット東京

現在、認定NPO法人おてらおやつクラブでは春から始まる新年度に向けて、クラウドファンディングを企画しています。ぜひお力添えください。

年間15,000世帯以上のひとり親家庭から支援要請。子どもたちにおすそわけを届けたい。

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