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フルデジタルで際立った「CES」の特徴~CES 2021を終えて

Withコロナ時代の産業の変化を大きく印象付けた年始のテックイベント「CES 2021」。例年アメリカ・ラスベガスに世界中から家電や自動車メーカー、近年では食品メーカーなども含めた「テック部門」の関係者が大挙して集まり、世の中を賑わせてきたCESも、今年はコロナ拡大の影響で「フルデジタル」での開催となった。すべてオンライン開催となったため、年頭のビジョン発信や商品発売発表もすべてネット上での出来事に切り替わった。

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日本からの参加者は、昼間は日本の仕事をしながら、夜は決して使いやすいとは言えないCES公式サイトからイベントを探し出し、生中継の映像を見たり、カンファレンスや会議に参加したり、「ブース」と言われるウェブ上でのプレゼンを訪問して回るという体験となった。

日本の自動車メーカーでは不参加とした企業も多かったが、参加企業はCGをふんだんに活用した映像を準備したり、オンライン(無観客)ライブプレゼンを行ったり、各社趣向を凝らした参加スタイルだった。様々な新製品やサービスについてのニュースはすでに報道されているのでここでは割愛するが、私が今年感じたCES2021での印象は主に、下記の3点であった。

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良くも悪くもテック部門の世界規模のお祭り

CESではこれまで、世界中の企業の社員や起業家が一堂に会し、昼はブースや会議室、夜はうるさいバーやレストランなどあちこちで夜な夜な議論が交わされていた。今回はそれがSNSやZOOMなどの場になったとはいえ、我々はグローバルビレッジの住民である実感が感じられる。お祭りはお祭りとして、飲み食い踊り楽しむのが流儀であり、そしてお祭りの晩には様々なこと(イノベーション?)が起こる気配があるものだ。それを機会と見るか、単なる浪費と見るか。それはここから何を学べるか、で評価は変わってくるのではないだろうか。

大予算のビデオプレゼンの空虚さに辟易

とはいえ、リアルで動くデモを見たり、存在感を感じるモックアップを等身大で見られるわけではないビデオプレゼンの連続には、正直言って食傷気味になった。キッチンに現れるロボットや、ドローンが空を飛び交う。AIがあなたの嗜好を予測し、最適なソリューションを提供する。でもそれって、2000年前後にも同じような映像を見たように思うのは、15回以上CESに参加したベテラン社員の幻想か?いや、この会社去年も同じこと言ってたはず。

Withコロナでさまざまな社会課題が表面化し、課題が加速した現在、本当にこういうことが世の中で求められているのだろうか?と感じざるを得ない。ロックダウンや医療危機はもとより、外食や娯楽産業など事業継続もままならず、また家庭ではシニアや次世代教育の課題、在宅勤務や食事などの課題がクローズアップ。それに輪をかけて、政治不信や温暖化による災害などのリスクが重なっている。ロボットとドローンを導入すれば未来は明るい、という論調にも少し飽きてきた。こういう映像に多額の予算をかけるのではなく、社会課題解決のための新規事業創出や現場を巻き込んだ実証事業に費用をつぎ込み、新しい考え方での社会課題解決に取り組むことが求められる時代になっていると感じている。

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それでも印象深い、ダイバーシティ&インクルージョン加速

昨年は政治不信から差別や人権の課題が噴出した国も多かったが、それでも今年のCESでは、非白人、非ネイティブのスピーカーが当たり前のように登場し、説得力を持って活躍していたのが印象的であった。10年前では、公式映像にアジア系のアクセントのあるスピーカーを登壇させるは躊躇されたものだが、今や堂々と韓国系、中国系、日系のアクセントのある英語を話す組織のトップやプレゼンターが受け入れられている。BLM運動のある種の貢献とも言える。逆に相変わらず「ダイバーシティー&インクルージョン」の進んでいない日本企業の異質さが大いに気になった。一目で少数派とわかるスピーカーに登壇させるのは、ある意味では企業防衛のひとつではあるが、それでも説得力のある活躍をしている人材の多様さには、学ぶべきことはたくさんあると感じた。そういう「世界の当たり前」を感じられるのも、オンラインとはいえCESの良さでもある。

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日本で連動企画を行ったパナソニック及びGame Changer Catapult

フルデジタルならいっそのこと、日本からもCESに参加できるじゃないかとパナソニックが開催したのが「CES 2021 Panasonic in Tokyo」というミニ・セッションシリーズ。非常事態宣言が発出されたため東京会場は招待客のみとなったが、4日間に亘って18のトーク・セッション、ブース展示を実施した。私もインフォバーン代表取締役CVO、小林弘人さんと「毎日を再発明する“未来のカデン”とは~新しい生活様式への挑戦~というテーマで対談セッションをさせて頂いた。小林さん独自の視点による2021年以降の「日常の再発明」トレンド5つについては、とても示唆に富み、欧州的複眼思考だからこそのユニークな内容だった。これは別の機会で紹介させて頂こうと思う。

私が代表を務めるパナソニック社内の新規事業創出アクセラレーター「Game Changer Catapult」でも、「未来のカデン」事業づくりを目指す5期目のチームが爆速で活動中である。今年は3月のSXSW(サウスバイ・サウスウェスト)もリアルでは開催されないので、2月15日・16日にオンライン開催予定の「TOA World Showcase in Tokyo 2021」(ドイツ・ベルリンで開催されている欧州最大級のテックイベントのスピンオフ版)に5期メンバーが参加し新規事業を社外向けに発表し、参加者と議論する場とすることにした。是非、下記リンクからたどり申し込んで頂ければありがたいと思います。

Withコロナ時代でも、いや、だからこそ、活動の動きを止めず、果敢に社会に働きかけながら、社会課題起点の新規事業を生み出す・加速して参ります。今年も、引き続き応援よろしくお願い致します。

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