乃木坂46に灯る4番目の光

人気や好調を維持するのは容易ではない。「人気に火がつく」という言葉があるが、何もしなければ人気の「」は消えてしまうだろう。とはいえ実際の火を維持するために行うことはシンプルだ。それは小さな種火に薪木をくべ、火の長く続く炭火を作ることだ。炭火があれば火はしばらく消えない。

そんな人気の「火」を保つべく奮闘しているのが10年目の節目を迎える乃木坂46だ。グループはここ数年人気の火付け役とも言えるメンバー達の卒業に揺れた。とはいえ大きな炭火を失ってなお次の火種を確かに成長させている。「未来」を銘打って迎えた26thシングルの活動は現エースの齋藤飛鳥ではなく、山下美月を中心に据え、同じく3期生の梅澤美波、久保史緒里に託した。プロモーションは功を奏し、雑誌、バラエティ、ドラマへの出演も着実に増えるなど新たなグループの広告塔としてそれぞれが役割を十二分に果たしている。

そして乃木坂46の未来を担うもうひとつの火種が16名からなる4期生の存在だ。今まさに彼女たちに人気の火が付こうとしている。

4番目の火種

思わぬ形で彼女たちにスポットライトが当たった。それが25thシングル「しあわせの保護色」のカップリングとなった4期生楽曲「I see...」の存在だ。

YoutubeでMVが発表されると、SMAPのような曲調と話題になり、乃木坂ファンだけならず他ファンからも注目された。また奇しくもコロナウイルスの影響で25thシングルのイベントが延期されたことに伴い、運営はこれまで期間限定としていたMVの公開期間を延長した。結果として動画の再生回数はリセットされることなく、現在1900万回を超えることとなった。カップリング曲で再生回数が表題曲を超えてここまで伸びるのは異例のことだ。

この曲をきっかけに火がついた彼女たちの勢いはとどまることを知らない。乃木坂10年の歴史で初となる4期生のみによる音楽番組への出演が決まり、テレビ東京の「プレミアMelodiX!」、TBSのCDTVライブ!ライブ!といった音楽番組への出演を果たした。

もちろんこれはタイミングを逃さずプロモーションをかけた運営の策が講じたとも言えるだろう。可能性に満ちたこの火種を消すわけにはいかない。

2020年12月6日には4期生単独ライブを無観客配信で行い、「I see...」と同じくyouth caseさん作曲の期別楽曲「Out of the blue」を初披露。チケットの券売は約6万枚、同時視聴者数、約18万を記録した。さらにTikTokや、中国へ向けたプラットフォームの活用も積極的に行い、アピールを続けている。

乃木坂の光へ

とはいえ4期生の起用は単にビジネスだけの話ではない。10年かけて運営が出した答えは早いうちからメンバーの個性を見極め開花させることだ。2期生の山崎玲奈鈴木絢音、3期生の佐藤楓など自分の得意分野や趣味から仕事の裾を広げているメンバーは多い。それは乃木坂としての活動だけでなくその後の活動をさえ見据えた、いわば個々の人気の炭火作りだ。

4期生はデビューから2年が経つ。選抜経験を着実に積む4期のエース遠藤さくらや「I see...」でセンターを務め、MBSのプレバトにも出演するなど才能を発揮する賀喜遥香に加え、いち早くラジオのレギュラーを得て4期のまとめ役となっている田村真佑、Out of the blueでセンターを務め、演技でもバラエティでも存在感を示す早川聖来などすでに何人もが個々に活躍の場を広げている。しかしながら16人という人数はやはり多い。願ってはいても全員が選抜で活躍することはなかなか難しいのが現状だ。加えてコロナ下でライブが思うようにできなかったり、舞台が中止になったり、番組の構成そのものが見直されているのは彼女たちにとっては痛いマイナスだ。

だからこそ4期生に与えられた活動の場の多さは運営の期待を裏付けている。いわば火の付きやすい薪作りといったところかもしれない。そのひとつはラジオのパーソナリティだ。先輩たちから引き継いだものも含め、16人中10人がレギュラーを持っているのは驚きだ。話す能力は芸能界においては必須であり、ひいては今後の活動の場を広げるパイプともなるだろう。それぞれのメンバーがこの難しい状況下でもスキルアップを図り、チャンスがあればいつでも火付け役としてグループを盛り上げていける、そんな層の厚いグループとなれば黄金期と呼ばれる時代もそう遠くないのかもしれない。

2021年6月9日発売の27thシングル「ごめんねFingers crossed」は4期生の遠藤さくらがセンターを務めることが発表された。遠藤は24thシングル「夜明けまで強がらなくていい」以来2度目のセンターとなる。表題曲のセンターを2度以上務めたのは現役では齋藤飛鳥だけで、OGを遡っても生駒里奈、西野七瀬、白石麻衣だけであることを考えると彼女への期待の高さが伺える。過去曲をさえ自分の世界に引き込める彼女の表現力は貴重であり、これからさらに多くの活躍を楽しみにしたい。そして初選抜には同じく4期生から早川聖来が選ばれた。持ち前の積極性と責任感は単なるお笑い担当でないことを早々に示してきた。前作から引き続き選抜入りしている賀喜遥香、筒井あやめ、清宮レイ、田村真佑を加えると20人中6人が4期生だ。将来の人気の火を保つ炭火のようになってほしい。

2021年5月8日には「9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~4期生ライブ~」を控えている。GWの週末という破格の待遇だ。それに合わせるかのように5月7日にはついに4期生のみでミュージックステーションに初出演し、「I see...」を披露する。運営がYouTubeに「I see...」のメイキング動画を公開したことからもこのライブへの期待の高さが伺える。このライブはこれまでのプロモーションの成果を知るひとつの試金石となるだろう。

アイドルグループとは成長を見せるコンテンツだ。かつてそう言ったアイドルがいた。そのためには成長前、そして今の過程を多くの人に知ってもらうことが必要かもしれない。だが注目されるかどうかは時の運にもよる。突然の突風に今まさに紅く燃え光る彼女たちの未来を見届けたい。


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あとがき

やっぱnoteは酒飲みながらちょっとずつ書くに限ると思う今日この頃。僕は基本は箱推しだけど、4期の個性が光ってるところ凄く好きです。やや4期好きが偏ってますけど、どの期も好きですしみんなにスポットライトが当たってほしいと思ってますので4カスって呼ばないでくださいね。ちな4期だと、かきまゆせーらのトリオが好きですが、ひそかにみっちゃんの台頭に期待してるマンです。

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