【高校生・学部生向け】いいレポート、文章を書くには?
私は現在大学の教員をしていますので、職業柄、というかこれまでの研究期間、論文や記事の類を書き続けてきました。noteでは思ったことをそのまま書き殴っているので「美しい文章」とは思いません。ただ、研究関連での文章執筆能力は通常より長けていると自負しています。
丁度先日原稿を脱稿し、「産みの苦しみ」を味わったところです。いい文章を目指すのは大変な作業です。以下では、私なりに、文章を書くときに心がけていることを綴ります。特に、高校生や大学生でレポートや作文のレベルを引き上げたい方、参考にしてください。
私の場合、論文を書くときには以下の流れが常となっています。
①制限or目安字数の最低1,5倍、自由に書く
②文章の体裁を整える
③ひたすら推敲、制限or目安の字数になるよう文章をひたすら削る
④文章の体裁を整える(確認作業)、完
それぞれ解説していきます。
①制限or目安字数の最低1,5倍、自由に書く
「いい文章」の肝心要の部分と言えます。直近では、30000字の論文を脱稿しましたが、最初に書いた粗文は48000字に達していました。
学生の9割は、2000字でレポートを書けといわれれば、頑張って2000字「埋める」ことに心血を注ぐことでしょう。しかし、頑張る方向性が全く違います。埋めることではなく、「削る」ことを頑張りましょう。
1000字あれば十分に書ける内容を2000字にブクブクに太らせた文章は、正直みっともない。読めばすぐに分かります。一方、3000字分の情報量が凝縮され、ムダな表現が落とされて2000字になった文章にはキレがあります。読み応えが違います。贅肉だらけの文章はダメです。細マッチョな文章を目指しましょう。
もちろん、3000字に足る情報を得ておくことが前提です。
②文章の体裁を整える
①では自由に書いているので、文章の体裁はかなり荒れていることでしょう。論理もめちゃくちゃかもしれません。まずはこの部分を正しましょう。字になった情報を、論理立てて再構築すること。誤植を正すこと。一応これで人が読める文章ができあがったことになります。
③ひたすら推敲、制限or目安の字数になるよう文章をひたすら削る
最大の山場です。ここが辛いんです。文章をスリムにしていきます。まずは余分な形容詞・副詞を削っていきます。非常に、大変、この上なく…不要です。接続詞も削っていきます。文章と文章のつながりは、いい文であれば接続詞がなくともスムーズにいきます。もちろん最低限は必要ですが。そして、長ったらしい表現を修正します。少しでも削ります。「××があったように思われる。」鬱陶しいです。「××が生じた」、あるいは適した用言があれば「××た。」で十分です。受け身形はやめましょう。あやふやな印象を与えます。怪しい情報なら削る、エビデンスがあるなら断定調で構いません。
文章や段落そのものを削ることも、時には必要です。「折角書いたのに…」と思うでしょう。ところが不思議で、キレッキレの文章からは、おそらく削ったであろう部分の「残り香」を感じることができます。
削る作業は産みの苦しみです。
④最後、目安の字数に届いたら、再度文章の体裁を確認します。同語反復などもここで正します。意外と、類語辞典は必須です。
字数以上の情報量が詰め込まれた文章には圧倒されます。読み応えがあります。とにかく、まずは「頑張る」ポイントを変えることを意識してください。いい文章を書くには、削る作業に注力することが大切です。