虫の持ち込み禁止令
学童保育で働いていた。人手不足。理由はあるがそれは別の機会に無難な言葉で述べるとして、とにかく人が足りない!
最近はあちこちの現場に応援に行くのだが、カルチャーショックを受ける事が多い。多すぎる。
ルールの違いはわかるが、そのルールをはみ出た場合の許容範囲の大小。これは各学童保育室の各クラスごとにも大きく異なるので、応援の人間はとにかく慣れるしかない。感心はしていいが不満は言わない。
保育室内への虫の持ち込みは基本的に禁止だ。持ち込みたいと駄々をこねて暴れる子供の対応に30分もかかることがある。
結果、ポケットからダンゴムシ、筆箱からカマキリが出てくることもある。
なのに別の学童に行くと、堂々と飼育箱が置いてあり、腰を抜かす。中にはバッタ、カマキリ、コガネムシ、蜘蛛、幼虫、トカゲがいっぱいでカサカサ音を立てている。水槽で川遊びで捕まえた大きな魚を飼っていたこともある。
ぴょんぴょん。なに!?クラス内の足元で何かが飛んだ。見ると殿様バッタじゃないか。
先生!!子供たちが虫を出して遊んでますよ!と訴えると、いいのいいのよと先生はニコニコ。
あっちもこっちも色んな虫がぴょんぴょん。そのうち踏んだり、掃除機で吸いそうになる。男の子たちがバッタを投げて羽ばたくのを見て喜んでる。私が口を開けた瞬間に顔めがけて飛んできて、うっかり食べそうになる。
驚いてると、後頭部からコガネムシが落ちた。
カーテンには小さなカマキリが数匹。
すると先生曰く、虫のお散歩は良いが、無理して飛ばさせるのは虐待だし、他の子供が嫌がるからダメだと今さら急に真面目な顔しておっしゃる。はい!すみません、そこのところの許容範囲、わからずバッタが飛びまくってましたゴメンナサイ。
カマキリの共食い遊びを敢えて黙認する先生もいる。カマキリのお尻を水溜まりにつけてハリガネムシが出てくるのを待つ子供もいる。体の5倍もあるバッタの上に「餌だよ」と子供に乗せられたカマキリは、一緒に飛んで行った。
もう、どこまで許すのかわからない。
しかし部屋の中で虫だらけは困る。そもそもオモチャはちゃんとしまわないといけない。このバッタを出したの誰ですか!?しまいなさいと諭すと、「これはシロでもクロでもないから僕のと違う」などとなんとなくもっともらしいことを言われるので、納得しそうになる。
しかしあのね!バッタの名前にシロもクロもない。緑です。
もうお迎えの時間なので、一緒に虫を捕まえないといけない。元システムエンジニアの私が素手でバッタやカマキリを捕まえてる間に今度はアシナガバチとカメムシのお客様が現れ、クラス内は騒然とする(バッタとカマキリはお散歩中)。
こっちは虫取り網でえいやと捕獲。拍手喝采の中、外までそーっとひきずってたら、宿題中の鉛筆片手の子供たちが大勢固まりになってついてくるので、コラー、はよ宿題しなさいと蹴散らす。
この前は、部屋の中で子供たちがカエル釣りしてたら一匹飛び出して皆で捜索していた。散々探したが見つからず、「ま、ええか。干からびてしまうけど」と先生。
もう、カルチャーショックではなく、カエルチャーショックである。
そしてまた別の学童では、虫を持ち込みたい子供が30分以上泣いて暴れてる。
なんてカオスな保育現場。