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パタニティーのパ

新聞を読んでいたら、「子育てをしながら働くパパ・ママが増える中、『パタニティーハラスメント(パタハラ)』に注目が集まっている」という旨の記事が目に留まった。

パタニティー(paternity)とは父性のことで、育休取得を検討する男性に対して取得を控えさせる、不利益な取扱いをするなど、男性の育休取得への嫌がらせをパタハラと言うらしく、世間知らずながら聞き覚えはなかったのだが、数年前から普及し始めている言葉らしい。
「また『〇〇ハラ』という名のハラスメントが量産されているな…」と素朴に思った一方、ふと、自分の上司の顔が頭に浮かんだ。

先日、夏に出産を控える妻と話し合いの結果、
・産後の体力面・精神面の不安、
・両親が近くにおらずサポートを受けられないこと、
・これらも踏まえ、自分も育児のルーティンを一通りマスターしておきたいこと
を理由に、2ヶ月程度の育休を取得できると理想だね、という結論に至った。

折をみて職場で上司に相談したところ、反応は芳しくなかった。
曰く、
・2ヶ月も休むとなると業務引継ぎも難しくなるので、そもそもプロジェクトから外れてもらわざるを得ないが、それは君とっても勿体ないのでは(※夏から年明けにかけて業務が本格化するプロジェクトを担当することになっている。)、
・自分も育児は経験しているが、本気でやれば1週間もあれば一通りのルーティンは身に付く。もし2ヶ月やって慣れなければ、やる気に問題がある、
・奥さんの職場の先輩にも聞いてみてもらってはどうか
ということであり、2ヶ月まとめて休むのではなく、まずは2週間程度休暇を取って、その後数回に分けて休暇取得してはどうか(その方が育児負担も分散されるのでは)との提案を受けた。

最終的な提案については、なるほどその方がメリットが大きいかなとも思ったのだが、なんというか、デリカシーのなさのようなものを感じた。
その場では正直呆然としてしまって、淡々と持ち帰ったのだが、よくよく考えると敢えて僕の業務経験を引き合いに出す必要性が分からないし、やる気がどうのは余計なお世話だし、家庭のことはその家庭にしか分からないのであって人に聞いてどうこうする問題ではないのでは、と思う。
丁度最も忙しい時期に育休予定時期が重なっていることはこちらも理解しており、業務都合や同僚の業務負荷を理由に予定の調整を打診されるなら仕方がないかと思えるのだが、なぜこのような言い方をしなければならないのだろうかと思った。

パタハラの記事を見て、(自分の経験がパタハラだというつもりは一切ないが、)なんとなく、この一連のやり取りを思い出してしまった。
なお、結局のところ、妻とも改めて話し合いの結果、育児負担が分散できる点や、職場にかける負担のことも考え、提案に沿う形で育休を取得することを考えている。(上司や職場へのそこはかとない失望を胸に、)再度相談を行う予定だ。

と、つい盛り上がってしまい、愚痴っぽくなってしまったが、今日noteに書きたかったのは愚痴ではない。

上記の記事について妻に紹介したとき、自分たちにmaternity=母性、paternity=父性が既にあるのかなという話に及んだ。
妻は既に母性が芽生え始めていると思うけど自分はまだかな、と僕が言ったとき、妻が、(最近僕がお腹の赤ちゃんに話しかけたりする様子から、)「パタニティの『パ』くらいは芽生えているんじゃない?」と言った。

それがちょっと嬉しかった。

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