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『霞ヶ浦を徒歩で一周』2017年11月8日(水)5日目、最終日

 《稲敷市浮島~稲敷郡阿見町大室最終エリア》

 朝五時、辺りはまだ真っ暗で静まり返っていた。結露で濡れたテントから外に出て、僕はヘッドセット・ライトをつけた。昨日くぅママさんから頂いたキーマカーレーで朝食すませたあと、テント内の荷物を出して濡れたテントは乾かさずに、そのまま撤収することにした。

 荷物の整理をしていると、少し離れた茂みの暗闇から、小さな明かりが近ついてきた。

 「おはようございます」

 初日、雨の中サポートしてくれた斉藤憲治さんだった。昨夜、彼からこの数日間の僕を見て今日の最終ルートを一緒に歩きたいと、申し出があったのだ。

 しばらくすると、昨日同行してくれた古田さんもやってきた。テントを撤収した僕は三人で和田公園の駐車場に向かった。

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 駐車場に着くとキャンプ仲間の勝目さんが僕らに温かいスープを用意してくれていた。さらに、初日一番に駆けつけてくれた美代ちゃんや、斉藤さんの奥様の夕夏さんも見送りに来てくれていた。

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 初日を除いて、当初の予定距離を歩けていない僕は、最終日の今日がこの五日間で一番長い距離になることを覚悟していた。濡れたテントとシュラフを古田さんに預け、来てくれたみんなに見送られながら、斉藤さんと和田公園の駐車場から歩き出したのは午前6時27分だった。

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 和田公園の前の湾曲した土手をすこし歩いて空を見上げると、霞ヶ浦の上空には灰色の雲が立ち込めていた。すぐ雨が降り出すような空ではないが、朝陽を見ることことはできなかった。気温も思ったほど低くなく、ただ、湿度の高い空気が立ち込めていた。

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 僕らが和田公園の裏の湖岸道路を歩いていると、公園の茂みの奥から一匹の白い猫が現れた。その猫はとても綺麗な雄の白猫で、一昨日の夜に葦原の茂みの中で見た猫達のような警戒心はなく、小さな声で鳴きながら僕の足元に近づいてきた。とても人に慣れている様子だったが、首輪はしていなかった。

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