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理研が新しいブラックホール理論を発表! 「事象の地平面」も「特異点」もない「ブラックホール」でタイムトラベルするには?
「ブラックホール」には「事象の地平面」も「特異点」もなかった、という驚くべき理論が話題になっています。
この新しいブラックホールモデルを発表したのは、理化学研究所の上級研究員である横倉祐貴氏らの研究チームです。
●蒸発するブラックホールの内部を理論的に記述
-ブラックホールは未来の大容量情報ストレージ?-
2020/7/8 理化学研究所より
ブラックホールとは?
ブラックホールは、太陽よりもずっと質量の大きい星が寿命を迎えた後、自らの強大な質量に耐え切れずつぶれてしまい誕生するとされる天体です。
昨年、地球上の8つの電波望遠鏡を連結したEHT(イベント・ホライズン・テレスコープ)という壮大なプロジェクトで、その姿の撮影にはじめて成功しました。
はじめて撮影されたブラックホールの姿(EHT Collaborationより)
ブラックホールの中心には、密度も重力も無限の「特異点」があり、その周囲を「事象の地平面」という、光でもさえも一度入ると抜け出せない境界に囲まれていると考えられてきました。
ちなみに特異点から事象の地平面までの距離を「シュワルツシルト半径」と呼び、ブラックホールの大きさはその質量に比例します。
ところが理研の発表した新理論では、今まで「ある」と考えられていた事象の地平面も特異点も、「存在しない」というのです。
理研のブラックホール新理論のポイント
ブラックホールの存在は、アインシュタイン博士が1915年に発表した、重力を時空の歪みによって説明する「一般相対性理論」の解から予言されました。
一般相対性理論は宇宙のような大きなマクロの世界の法則を説明するときに使われます。
横倉氏らのチームは、この一般相対性理論に、素粒子のような小さなミクロの世界を説明する量子力学を用いて研究しました。
すると、ブラックホールは、事象の地平面や特異点を持たず、内部のつまった高密度な物体であることがわかったというのです。
ブラックホールは20世紀にその存在が予言されてから100年以上もずっと、「謎の天体」とされてきました。
その最大の理由は「内部が観測できないこと」です。
なぜなら事象の地平面の中に入ってしまった物質は、二度と抜け出すことができません。
だからわれわれが観測に使っている光や電波などで調べることができず、その内側がどうなっているのかわからないのです。
ただし今回の理研チームが提示した「新しいブラックホールモデル」では、地球のように固い表面が存在し、その中の様子も観測できる可能性があります。
理研のプレスリリースには、将来、情報を蓄える大容量のストレージとしてブラックホールを利用できるかもしれないという、SFのような壮大な夢が語られています。
でも、私の最大の関心は「タイムトラベル」です。
この理研の新しいブラックホールモデルが「タイムトラベルにどう利用できるか?」を考察してみました。
理研のブラックホールモデルを使った「未来へのタイムトラベル」
未来へのタイムトラベルに関しては、理研の「事象の地平面のないブラックホール」はとても有効活用できます。
アインシュタイン博士の一般相対性理論では、ブラックホールのような強大な重力をもつ物質に近づくと、時間はゆっくりと進みます。
これを利用して、地球からロケットで出発し、理研モデルに基づくブラックホールに接近してそこでしばらく過ごし、再び地球に戻ってくれば、ロケットは未来の地球に到着します。
事象の地平面や特異点がない分、ブラックホールに近づきさえしなければ、ロケットは安全にブラックホールから離れることができます。
次は「過去へのタイムトラベル」です。
理研のブラックホールモデルを使った「過去へのタイムトラベル」
私が理研の発表で気になっているのは、今回の新しいブラックホールが「回転していたらどうなるか?」です。
回転するブラックホールは「カー・ブラックホール」と呼ばれ、通常のブラックホールにくらべてエルゴ領域とよばれる空間をもち、つぶれた形をしています。
さらに事象の地平面も外側と内側に分かれ、中心にある特異点はリング状になっていると考えられています。
SF映画「インターステラー」に登場した巨大なブラックホール「ガルガンチュア」は、この回転するカー・ブラックホールです。
インターステラーでは、主人公の宇宙飛行士クーパーは宇宙船ごとブラックホール内に落下してしまいますが、その中は過去・現在・未来の時間が同時に存在し、空間と同じように扱うことのできる5次元時空でした。
クーパーはこの時空内で、過去の地球にいる娘に合図を送ります。
でもそれはSFの中だけの世界で、事象の地平面に飲み込まれた物体がどうなるのかはまったくわかっていません。
その強大な重力によってスパゲッティのように引き延ばされ、バラバラに割かれてしまうという説もあります。
しかし今回の理研モデルのブラックホールが回転していたとして、その角運動量(回転のエネルギー)が強大であれば、カー・ブラックホールの特異点のようなリング状になるかもしれません。
そのリング状の中央、ドーナツに例えると穴の部分は、高密度の物質が高速回転することで時空が歪み、CTC(closed timelike curve)が形成されるかもしれません。
CTCとは、時間軸が歪んだ空間のせいで傾き、過去と未来が輪のようにつながった「閉じた時間曲線」です。
このCTCの中では、過去から未来に向かって出発したのに、いつの間にか過去にたどり着いてしまいます。
つまり回転するブラックホールの穴の周囲を進むことによって、過去へのタイムトラベルが実現するかもしれません。
妄想が駆り立てられます。
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