備忘録 22-08-31
杞憂
――杞憂
『列子』
むかし、杞という国のある男、いまに天と地がくずれてきたらどうしようかと、心配で夜もおちおち眠れなかった。見かねたある男が、
「天は気が積もってできているのだから、そんな心配はないさ」
となだめたが、それでも心配でならない。
「でも、日や月や星が落ちてこないかね」
「いや、日や月や星もみな気でできている。たとえ落ちてきてぶつかっても、怪我などするわけはないよ」
これを聞いて、男は初めて安堵の胸をなでおろしたという。
この話から、「杞憂」という言葉が生まれたたわけであるが、はたして、いらぬ心配(杞憂)であるのか必要な心配であるのか、それほど単純ではない。この男の時代は、天地の崩壊は杞憂にすぎなかったが、現代では杞憂どころか、はなはだ現実味を帯びた話になっている。杞の男の心配を笑うことはできない。
以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より
今日も一日がんばりましょう。
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