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soular
備忘録 22-08-05
小人は水に溺れ、君子は口に溺れ、大人は民に溺る
――小人溺於水、君子溺於口、大人溺於民
『礼記』
小人は水に、君子は口、大人は民と、それぞれのレベルに応じて溺れる対象がちがっている。「溺る」というのは、失敗を招くということだ。しかし、溺れる対象はそれぞれにちがっていても、その原因は共通であって、「皆その褻(な)るる所に在り」だという。つまり、慣れからくる油断である。
「小人は水に溺る」――これはよくわかる。「君子は口に溺る」――これも理解できないではない。とくにアルコールでも入ると、誰でも多弁になりやすい。では、「大人は民に溺る」とはどういうことか。『礼記』の説明によると、「民」というのは道理など解さぬ無知な連中なので、バカにしてかかると、かえって大ヤケドをするのだという。
それはともかく、『礼記』はこう語ったあとで、「故に君子は慎まざるべからず」とダメを押している。まったく同じことが、われわれの日常の仕事についても言えるように思う。
以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より
今日も一日がんばりましょう。