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備忘録 22-11-12

己を修めて人を責めざれば、則ち難より免(まぬか)る

――修己而不責人則免於難

『左伝』

春秋時代のこと、晋の献公(けんこう)は先妻の子の申生(しんせい)を太子に立てていたが、愛妾の驪姫(りき)が奚斉(けいせい)という子を生んだ。申生に変えてこちらのほうを太子にすえたいと考えた。その動きは、当然、申生の耳にも入ってくる。不安にかられる申生を、重臣の一人がなだめるときに使ったのが、表題のことばである。

与えられた職責を尽くし、行動を慎んで相手側につけ入る隙を与えず、批判がましいことはいっさい口にしない。そうすれば、廃嫡(はいちゃく)などという事態を免れることができるでしょう、というのだ。

申生はその通りに振る舞ったが、結局、驪姫の陰謀にはめられて、自害に追い込まれてしまう。このアドバイスがまちがっていたわけではない。平常の世界なら、これでよいだろう。だが、権謀術数の渦巻くなかを生き残るためには、これにプラス、相手の企みを粉砕するだけのバイタリティーを必要とする。きれいごとだけでは、生き残れないということかもしれない。

以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より

今日も一日顔晴りましょう。

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