備忘録 22-07-04
温温(おんおん)たる恭人(きょうじん)はこれ徳の基なり
――温温恭人維徳之基也
『詩経』
「温温」は、おだやか、柔和。「恭」は自分に対しては、慎み深く、人に対してはうやうやしいこと。それが「徳の基」だという。
徳のある人は、まわりの人々から慕われ、信頼される。まちがっても、人の怨みを買うことはない。そういう点で、合格点をやれるのが「温温たる恭人」だというのである。
逆のケースを考えてみよう。まず「温温」の反対であるが、冷たいとかとげとげしいとか、あるいはきびしいといったことばが浮かんでくる。
「温温」のほうは春の温かさを思わせるのに対し、こちらのほうは冬の寒さを連想させる。これでは誰も集まってこないし、心を開いてくれる人もいない。
「恭人」の反対は傲慢な人である。傲慢は近づいてくる人まで遠ざけてしまう。これも徳とはおよそ無縁である。孔子も「恭なれば則ち侮られず」と語っている。「恭」もまた処世の要諦なのかもしれない。
以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より
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