備忘録 22-08-02
兵は凶器なり、争いは逆徳なり
――兵者凶器也、争者逆徳也
『尉繚子(うつりょうし)』
「兵」という漢字には幾つかの意味がある。たとえば、①武器、②兵士、③戦争などである。この場合「兵」は、武器と解したほうが、通りがよいかもしれない。武器はしょせん人殺しの道具であるから「凶器」、つまり不吉な道具なのである。また、「争いは逆徳なり」とは、戦いは徳に反する行為であり、望ましくないことだというのである。
こういう認識は、『尉繚子』だけではなく、中国の兵法書に共通しており、さらに言えば、中国人に共通して流れている考え方だといってよい。紛争の解決は政治・外交によって行われるべきで、武器による解決は最低の策だというのである。だから『尉繚子』もこのことばを引いたあとで、「已むを得ずしてこれを用う」とダメを押しているのだ。
古来から、好んで兵を語るリーダーに、ろくな人物のいたためしがない。リーダーが勇ましい論をぶちあげるのは危険な徴候である。
以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より
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