備忘録 22-12-13

人と与(とも)にするには備わらんことを求めず

――与人不求備

『書経』

他の人と接する場合には、相手に完全さを期待してはならないというもの。これもまた人間関係を円滑にする知恵である。

自分が完全な人間であれば、相手に同じ完全さを求めるのはまだ理解できる。しかし、現実には、完全な人間などありえない。完全でもない人間が相手にだけ完全さを求めたところで、まるで説得力がない。相手の反発を買うのがオチだろう。

この欠点が出やすいのは、人を使う場合である。このくだりに、「人を使うには、必ずこれを器とす」という注が付いている。「器とす」とは、相手の能力に応じて使う、という意味だ。ないものねだりはしない。相手が現に備えているものを引き出して使う。そういう使い方が、「備わんことを求めず」である。これもまた人使いの要諦と言ってよい。

むろん自分には備わらんことを求めなければならない。だが他人にそれを求めるのは、破綻の元だ。

以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より

今日も一日顔晴りましょう。


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