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金縛り実体験②~女の影~
の最後に少しお話しました、女の影にまつわる不思議な体験についてです。
耳に来る金縛りは何度も起こり、そのたびに右側に気配を感じていました。
「怖い!」と思いすぎて、気配を感じてしまっていたのか、ホントにこの世ならざるものが居たのかはわかりません。
今回は、そんな”気配”ではなく、私と妹が、同じ時期にとても良く似た女の影を見たお話です。
「お母さん…?…じゃ、ない。」
これは、私も、年子の妹も高校生だった、夏の終わりの出来事です。
学校が終わって、日付が変わる頃眠りに落ちたのに、夜中2時ごろになぜか目が覚めてしまいました。
でも、とても眠くて、まどろみの中意識は起きてるといった状態でした。
当時ベッドを壁にくっつける形で寝ていて、部屋の戸は、ベッドに寝ている私の足の方、右側にありました。
実家はすべて引き戸で、猫の砂などが挟まって、戸を開け閉めするたびに、ガタンガタン、と鈍い音がしていました。
いつもより音は小さいけれど、ガタンガタンと聞こえたので、うっすら目を開けて戸の方を見る。
戸が開いて、廊下から白熱電球のオレンジ色の光が差し込んでいる。
と、すぐに、
音もなく、うつむき加減で、セミロングくらいの髪を垂らした女の黒い影が、 スー…ッ と部屋に入ってきました。
その時、いつもの金縛りほどでは無いですが体が重くて動かせず、でも、なぜか全然怖くなくて、
私は寝姿勢のまま、つい、「お母さん…?」と声を掛けてしまいました。
完全に母親だと思いました。
すると次の瞬間、
女の影も電気も消えて戸も閉まっている。
「え…っ??」
一気に覚醒して辺りをきょろきょろ見回しますが、夜の静寂が広がるのみ。
そして思い起こす。
「なぜ、あの影を母親だと思ってしまったのか…?」
母親はずっと”ショートヘア”だし、黒い影しか見えないなんてありえない。
でも、全然怖くなくて気配が母親と同じものだったと感じたのです。
…後日、妹にこの体験を話すと、「私も、同じやつ見た。」と、言うのです。
妹は、陸上部の練習から帰って、15時ごろ、一人で和室にいたそうです。
和室にはリビングとの間に壁も戸もなく、リビングから1段上がっているだけだったので、その段差に足を下した状態で、仰向けで昼寝していたそうです。
ぼんやり目が覚めた時、寝ぼけ眼の視界に、セミロングくらいの女の黒い影が、足の方をゆっくりと横切るのが見えたと。
そして私と同じように、母親と見た目が全然違うのに、「お母さんや」と思ったそうです。
妹はテレビもあんまり見ないし漫画を読むのも苦手で、作り話などが出来ないたちでしたから、「ほんまに言うてるな」と思いました。
鬱の母親と女の影
この話と関係があるかどうかは分かりませんが、
当時、母親は”鬱”と診断されて、抗うつ剤を飲んでいました。
主に夫婦間のイライラと更年期で、精神的に参ってしまったようでした。
私たち姉妹が女の影を見た後は、相変わらず文句は言うものの、うつ症状は軽快し、薬を飲むことはなくなりました。
また、再び同じものを目撃することもありません。
私たち姉妹が母親だと思い込んでしまった、あの女の影は、いったい何者だったのか?
私は、あれから10年以上たった今でも、この出来事を忘れることが出来ません。