おそらく二度と行くことはないディズニーシーについての小噺
ディズニーリゾート関係の広告を作ることが仕事上ちょくちょくあるのですが、その度に思い出す話があって、個人的には結構面白くて好きなので折角ですし書いてみようかなと思います。
今回はあんまり後ろ向きじゃない&短め(多分)なので、いつもの感じを期待されている奇特な方々は適当に流し読んでください。
僕はこんな感じの陰キャなんで、ディズニーに限らず遊園地に行くというイベントからかなり縁遠い人生を送ってきたんですね。
ただそんな中でもある特定の時期(1、2年くらい)はたまに機会があって、特にディズニーランド/シーに行っていたのですが、そこでタワーオブテラーというアトラクションに初めて乗せられた時のことが今日の話のテーマです。
ディズニーのベテランでありそのアトラクションにも乗り慣れた様子の同行者とは違って、シーに来たのも二度目というくらいの僕は眼前の怪しい塔(ノート表紙の画像参照)に足を踏み入れた経験がなく、ただ当時の知り合いの噂から、やたらと恐ろしいアトラクションであるということだけは事前情報としてインプットしていました。
塔の中で何が行われるのかは知っておいた方がいいと判断した僕は、同行人からアトラクションの趣旨を事細かに聞き出しました。誤解してもらいたくないのですが、僕は決して絶叫系が苦手というわけではありません。ただ、未知のものに対するとすぐに答えを知りたがってしまう悪癖があるだけです。断じて!恐れがあったわけではありません。
同行人から「最初エレベーターが急上昇して、それから乱高下を繰り返す」(読者には乗ったことがない方もいらっしゃると思うので、その場合はリンク動画を視聴して下さい)という大まかな情報を得た僕は、上に行くぞ上に行くぞ上に行くぞ…と覚悟しながらプログラムの開始を待ち構えていました。
しかし!ところが!!なんと!!!
エレベーターはおもむろに「急降下」を始めたのです!!!!
皆さんは苦いカレーや温いコーラ、辛いケーキを食べたことがありますか?
本来得られる味覚と真逆のものを感じた際にその衝撃はより一層大きくなるというのは万人共通のもので、それを想像していただければこの時の僕の驚きは想像に難くないでしょう。
上に行くと聞いてたのになぜ僕は下に堕ちていっているのか?トラブルか何かか??僕の命はこんな形で終わるのか???という狼狽を他所にアトラクションは数回乱高下を繰り返し、動きが止まったところで無事乗客は解放されました。
脱水症状の危険を感じるほど冷や汗を流しながら同行人に「話が違う」と問いただしたところ、どうやらその日はレベル13というスペシャルデーで、要するに絶叫系の強度を上げて客を驚かしたろという底意地の悪いイベントが開催されるタイミングだったそうです。
おそらく麻雀病を罹患されている読者の方々は「?13???配牌の枚数か??」となっていると思うので、のみ手でカンチャンリーチをしたら割れ親がドラをアンカンして追っかけてきた時の恐怖を想像していただくとどれだけのことが発生したか理解してもらえるかなと思います。
というかその同行人はディズニーのベテランなので、どう考えてもその日がヤバい日だったことは知っていたと思うのですが、取り乱す僕を見て横隔膜が断裂するのでは?と懸念されるくらい爆笑している姿を見るとそのことを指摘する気力すら萎えていくのでした。これでこの話はお終いです。
それで、結局何が言いたいかというと、こういう「不確定性」的なのって、他人と関わってこそ起こることだと思うんですよね。
例えば僕が、このアトラクションの広告を作るために実際に体験してきてもらえませんか?という「仕事」でタワーオブテラーに初めて乗っていたとすれば、おそらく事前にどういうものなのかネットで調べているはずなので、そこできっとその日が特別な動きをする日であることにも気づけていたと思います。
しかし実際は近くに、少なくとも一緒に遊園地に行くくらいには親しい同行人が居たことで、僕は自分で調べるという行為を放棄して「どこから情報を入手するか、何を教えてもらうか」を全て一個人に委ねたわけです。
その結果僕は想定と真反対の事態に陥り大変狼狽ました。
それもまた一興と捉え、このような他人と関わることで生じる「不確定性」を楽しむことができる人が、きっと友達も沢山できて人生も楽しく過ごしてるんじゃないかな?というのが、僕がこのイベントで得た知見です。
実際当時の結果は僕にとっても自分一人では中々できない体験で、正直満更でもなかったのですが、「不確定性」にはいい面だけじゃなく悪い面もあって、僕のように頭のいかれた人間は相手にとって悪い方の「不確定性」を与えてしまうことが多いんじゃないかな、と思うこともあって、おそらく今後の人生で二度と味わえないだろうとしています。そういう意味では貴重な体験をさせてもらって、同行人には感謝したいですね。ありがとうございました。
この時期(数年前)の話は他にもちょくちょく思い出すものがあるので、その辺りはまた機会があれば。