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【深読み】『あの夢をなぞって』(YOASOBI) 歌詞の意味は?MVの右上の数字は?
※小説をまだ読んでいない方はネタバレを含むのでご注意ください。
前編を考察したうえで、歌詞を見てみます。結構深読みです。
夜の空を飾る綺麗な花
街の声をぎゅっと光が包み込む
音の無い二人だけの世界で
聞こえた言葉は
「好きだよ」
小説の一説。
ここには昔神社があって、うちの先祖はそこで巫女をしていたらしいの。今は違うんだけどね。その時からこの花はここに咲いていたんだって」
夜の空を飾る綺麗な花とは、もちろん花火のことを指していますが、実は1000年前に丘に咲いていた星の花のことも指している。この丘で、結ばれることのできなかった二人は「好きだよ」と言葉を交わしあいます。
「街の言葉」とは、禁断の恋をしている二人への噂話を指しているのかもしれません。そんな声から逃れて、丘へやってきた。
歌詞が巫女目線になっていることがわかります。
夢の中で見えた未来のこと
夏の夜、君と、並ぶ影が二つ
最後の花火が空に昇って消えたら
それを合図に
夢の中で見えた未来とは、もちろん楓が見た予知夢(亮が告白してくる)のことですが、巫女が見た「二人が結ばれる未来」のことも指しています。1000年後、この場所で結ばれる。能力の高かった巫女はそんな1000年後の予知夢を見ることができました。
いつも通りの朝に
いつも通りの君の姿
思わず目を逸らしてしまったのは
どうやったって忘れられない
君の言葉 今もずっと響いてるから
君の言葉とはもちろん「好きだよ」という亮の言葉(予知夢で見てしまった)ことですが、実はもっと深い意味があります。後に出てくるので、ここでは省略します。
夜を抜けて夢の先へ
辿り着きたい未来へ
本当に?あの夢に、
本当に?って今も
不安になってしまうけどきっと
今を抜けて明日の先へ
二人だけの場所へ
もうちょっと どうか変わらないで
もうちょっと 君からの言葉
あの未来で待っているよ
両想いという未来へたどり着きたい。花火大会の丘の上で、予知夢が変わらないことを望む楓の心境を表しています。
巫女目線でも、実は読み取ることができます。夜=死 明日=1000年後の未来。神主が言った『あの未来(1000年後)で待っているよ』という言葉を信じ、どうか現実になりますようにと祈る巫女の気持ちが描かれています。
二人だけの夜
待ち焦がれていた景色と重なる
夏の空に未来と今繋がる様に開く花火
君とここでほらあの夢をなぞる
見上げた空を飾る光が今照らした横顔
そうずっとこの景色のために
そうきっとほら二つの未来が
今重なり合う
楓が見た夢に景色。亮が見た景色。それがやっと重なり合い、夢をなぞる描写です。
これは、巫女が見た予知夢と神主が見た予知夢が1000年の時を経て実現することも指しています。二つの未来とは楓と亮の見た夢のことだけではなく、一緒に結ばれることを夢見て心中した1000年前の神主と巫女の夢を指していると捉えることもできます。
夜の中で君と二人
辿り着いた未来で
死後(長い夜)を経てやっと巡り合えた二人。
大丈夫想いはきっと大丈夫伝わる
大丈夫、私たちの気持ちは時を経てつながることができる。
あの日見た夢の先へ
私たちの恋(一緒になるという夢)は叶わなかったけど、その先の未来で一緒になろう。
今を抜けて明日の先で
今世はあきらめて、来世で
また出会えた君へ
もう一度会えた君と
もうちょっと どうか終わらないで
もうちょっと ほら最後の花火が今
二人を包む 音の無い世界に響いた
「好きだよ」
やっと実現した1000年越しの予知夢。あの丘で「あの未来で待っているよ」と言ってくれた君が約束を果たしてくれた。もう少し喜びにひたっていたい。最後の花火が、長い死に眠る(音のない世界にいる)二人の間に響く。そっと二人がささやく「好きだよ」
追記---MVにも秘密がありました。
丘に立つ二人。これが1000年前の二人。
次のシーンでは浴衣の二人。
よく見ると水が沢山。
その当時の双見家の巫女は特に予知能力が強く、人の過去や遠い未来を見通し、さらには時代を越えて影響を与えられるほどの能力がありました。その予知能力のことを本人は『夢の雫』と呼んでいたそうです。なんでも眠ると、夢の中で色んな場面が映った雫が雨のように天から沢山降ってきて、見上げた目に雫が落ちると、その雫に映っていた世界が見えるからだとか。
この映像は楓の映像であるとともに、1000年前の巫女が見た予知夢でもあった。
「夜の中で」でのシーンのみ白黒に。死という暗い闇の中にいる二人にも花火は響きます。
花火が五片の花びらのようになっています。
瓶の所々に土が付いているものの中に入っていた薄いピンクの花は萎れることなく5枚の花びらをいっぱいに広げていた。
「あの時、亮君が川から拾ってくれた瓶に花が入っていたでしょ? あの瓶に入っていた花はここに咲いている花と同じ星の花だったんだ。見覚えのある花だったから気になって拾おうとしちゃったんだ。それで川に落ちそうになっちゃって……」
近くで見ると、星の花は5枚の花びらを目一杯広げて咲いているのが分かった。
1000年前に巫女が愛する人と一緒になりたいという願いを込めて瓶に入れた花びらが、今、願いが叶って夜空に花開いています。
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以上です!個人的にはまず曲を聴いて鳥肌、小説を読んで聞いて鳥肌、もう一回読んで「そういうことか!」と思ってから鳥肌、合計三回くらい鳥肌しましたw
MVの右上の数字。カウントアップしていく数字は、時を経て結ばれるまでの年数を数えているのではないでしょうか。今か今かと夢が叶うのを数えるように。
もちろん色んな解釈があるので、是非一つの説として考えてください。