【新企画】BTCコミュニティのメンバー:大阪大学理学部の炭谷さんにインタビューさせていただきました!「科学を文化にする」
今回はBTCコミュニティのメンバーの炭谷拓真さんのインタビュー企画です。
そもそもBTCコミュニティとは何か?
本題に入る前に、そもそもBTCコミュニティとは何か?まだ知らない人に向けて説明しましょう。知っている人は読み飛ばしてくださいね!
BTCコミュニティでは、「ビジネス×テクノロジー×クリエイティブ」の領域をそれぞれ横断して活躍できるBTC人材同士が繋がることで、イノベーションやスタートアップのきっかけを提供しています。
このコミュニティでは、「BTC人材を目指すことで自分の新たな可能性や選択肢に気づき、社会に出てから活躍する人が増える」ことを目指します。
BTCコミュニティのメンバー:炭谷拓真さんにインタビューしました!
では本題に移ります。炭谷さん、簡単に自己紹介お願いします。
―大阪大学理学部物理学科4年の炭谷拓真です。僕が入ったきっかけというよりかは、僕は早期から入ったメンバーなので1年前、3回生の初めぐらいから立ち上げに携わっていました。まだBTCコミュニティが構想段階で「これから集客するぞ」という段階で、長澤さんに「いっしょにやらへん?」と誘われて始めました。1年生の後半から2年の前半にかけてお互いのことを知るようになりました。
学生団体にはもともと興味があったのでしょうか?
―そもそも別の学生団体に所属していて、理系のキャリアを考えるということをやっていました。そこのイベントで長澤さんが登壇者としていらっしゃって、別の方も含めて3人で運営を始めました。
「一緒に何かするときに『人』が大事」
炭谷さんは以前起業体験をされたそうですが、詳しく伺ってもよろしいでしょうか?
ーはい、半年間別の組織で起業体験をしました。そこで「一緒に何かするときに『人』が大事だな」と感じました。ちょうど『人』を育てていく力が欲しいなと思っていた段階で長澤さんに誘われました。その段階で阪大のイノベーターズアカデミーでたまたま長澤さんが同じブレイクアウトルームにいて、それから連絡とって「一緒にやろう」という流れになったんです。それまで日本で「BTC」というコンセプトでやってる学生団体は珍しかったんですよね。「ビジネス×テクノロジー×クリエイティブ」の「越境型人材」という文脈が興味深いと思いました。
BTCコミュニティを通して実現したいこと
将来実現したいことはありますか?
―軸となる夢としては、研究者になることです。BTCコミュニティに入っていなかったとしても「研究者になりたい」という想いはあったと思います。今は自分が好きな研究ができていたらそれで良いというだけでなく、「メンバーが持ってる専門性の組み合わせで面白いイノベーションを起こせたら良いな」と思っています。自分が研究してたらそれだけで良いというものではなくて、BTCコミュニティは「越境型人材」というコンセプトでやっていて自分たちが持っている専門性の組み合わせで面白いものを生み出したいです。いくつかやりたいことがあります。
なるほど、それぞれ詳しく教えてくださいますか?
ー1つ目としては、「科学を文化にする」という壮大な夢があります。科学の進歩は先人たちの努力があるおかげなので、それを子供たちに伝えていきたいです。2つ目は、研究者は今ものすごく厳しい状態に立たされている課題を解決することです。研究者が研究以外のやらなきゃいけないことに時間をとられて、本来自分のやりたい研究ができない現状があることから、「日本はこれからまずいぞ」と言われています。お金も入ってこないし、すぐ結果が出るようなことだけに注目が集まる傾向があります。僕たちがやっている研究が「すぐには役に立たない」とみられることが多いのが悔しくて、変えていきたいと思っています。
「日本の研究者は今厳しい状況に立たされている」
「研究者は今厳しい状況に立たされている」という部分について詳しくお聞かせください。
ー普段教授を見ていて思うんですけど、大学の教授は色んなところに顔を出さなければならなくなるんですよね。とにかくそっちの作業が忙しくなりすぎて、自分の研究ができなくなることが問題になっています。研究時間の劣化という風に言われているようです。具体的に言うと、2004年に国立大学が法人化されてから、 国から研究室にお金が入ってきづらくなりました。研究のためのお金を自分で取りに行かなければならなくなってしまいました。とにかくお金が無い状態から始めなければいけません。さいしょは研究者は「自分はこの研究をやりたい!」といった熱い想いで入ってくるんですけど、結局計勢的に大変すぎて研究を楽しむ余裕もなくなってくるという現状があります。
それは日本だけの問題でしょうか?
ー日本は顕著だと思います。アメリカ合衆国や中国の研究者の方がまだ恵まれた環境です。中国では科学技術の研究が盛んに行われていて、日本の研究者がどんどん流出していってしまうのではないかと懸念されています。実際、阪大にいた準教授の方も「日本ではお金もらえないから」と言って中国に行った人を知っています。
日本と海外の研究に対する考え方の違いについて伺いたいです。
ー科学に対する考え方が大きく違いますね。日本はものづくりで発展してきた国なので、役に立つ情報が重宝される傾向が強いです。いわゆる「役に立つ」ものというのは、一般の人の生活の身近な10年以内に企業が商品化してお金になるものに限定されてしまいます。そういう意味で言うと、僕がやっている研究は一般の人が考える「役に立つ」ではないんですよね。海外であればそこに対する理解が全然ちがうんですよね。
日本で研究を身近に感じてもらうためにはどうするべきでしょうか?
―僕たちの研究を一般の人に身近にかんじてもらうために、もう少し共有していきたいと考えており、研究室で子供向けのコンテンツ制作を主体的に行っています。このまえは大阪万博のEXPOCITYでイベントを行いました。そのときBTCコミュニティのメンバーの渡部さん(【新企画】BTCコミュニティのメンバー:渡部泰生さん(大阪大学工学部4回生)にインタビューしました!「コンフォートゾーンから抜け出すきっかけになった」|BTCコミュニティ|note)に会ってびっくりしました(笑)
ここで八木さん(びてこみのメンバー。次回インタビューします!お楽しみに)の意見も少し伺ってみましょう。
―「研究費用が落ちない」というだけでなくて「僕たちがやろうとしていることはこういうふうな形で社会に役に立つんだ」という説明を研究者が怠っているんじゃないの?と僕は思います。
なるほど、八木さんの意見を受けて炭谷さんはどう思いますか?
― 説明することを諦めてる人もいると思います。影響力をもった研究者でも「僕の研究は役に立たない」と断言してしまう人がいて。
もともと必要な基礎研究だったはずなのに、どうしてそうなってしまったんでしょうね?
―理学部はそもそも「原理原則を追究する」というところが大きいと思うので必要かどうかをGoalにしていません。
理学部と工学部の違いも分かっていないような人が予算を決めていることがこの国の問題でしょうね。
―そうですね。その文脈で僕が気になってるのがMさん(BTCコミュニティのメンバー。法律の専門家)の仕事でURAといって、研究や科学技術の面白さを社会に広める活動を行っている方たちがいて気になってます。ある程度研究のことを理解している人たちなので、これから積極的に関わっていくことが戦略の1つです。
「異分野の軸を持った人同士が対話し、新たな結合を生み出すことによって価値が生まれる」
将来実現したいこととBTCコミュニティはどのように繋がっていますか?
ーまず、コミュニティというものがあらゆる組織の形態の中でも最もマネジメントが難しいものだと考えています。部活のように練習などがあるわけでもなく、会社のように出勤義務があるわけでもない。コミュニティは何か特定の想いやビジョンなどに共感を生み出すことで人同士が繋がっていきます。ここが、僕がコミュニティを運営する上で最も難しくも、面白く興味深い点だと感じています。また、これからの社会では個人が一つの専門性を持っているだけでは様々な問題を解決するのは難しいです。
僕はこれからの時代のイノベーションが異分野の軸を持った人同士が対話し、新たな結合を生み出すことによって価値が生まれることで起こっていくと信じています。そのために僕自身が一つの専門性や軸を持ちつつ新結合を生み出せるような対話を生み出していけるような人材になっていきたいと考えています。そして、コミュニティ活動を通じてそういった人達の輪を広げ、創造的な組織を作りたいという風に考えています。
(炭谷さんはよくBTCコミュニティで勉強会を主催されているので、筆者から見ると与える側だと思いますが)BTCコミュニティから得られたものは何でしょうか?
―勉強会でも他のイベントでも、僕が学ばせてもらっていると思います。僕の認識として「来てない人にも分かってもらえるように」を心がけていたんですけど、それをやりすぎてしまうと「来てくれている人に100%の価値を提供できない」といった指摘もあって。そういったコミュニティ運営していくなかでたくさんのことを学んでいます。
炭谷さんはBTCコミュニティの運営者として感じたことはありますか?
―BTCコミュニティで運営してて特に感じた大きなことは以下ですね。
・人を巻き込むことの難しさ
・ビジョンやミッションを言語化することの大事さ
あと1人のメンバーとして普通にいろんなこと学ばせてもらってます
メンバーとしては以下かな?
・メンバーの皆さん軸を持っていらっしゃてるしいろんな経験をしてらっしゃてるので聞けば色んな事を教えてもらえます!
・挑戦する機会
メンバーの方がいろんな機会やチャンスを持ってきてくれたりするので自分があまり今まで意識していなかったようなテーマから紹介してくださることもあって面白いです!
なるほど、運営とメンバー双方の視点からの意見ありがとうございます。
BTCコミュニティの特徴として専門性の高い人同士の「新結合」
今、BTCコミュニティには、どんなメンバーが集まっているかについても聞いてみたいです!
―BTCコミュニティに入ってくれた人たちって主体性や軸をしっかり持っており、「自分だけではできなかったことをやりたい」って言ってくれる人が多いです。そういったメンバーたちが挑戦できる環境を創っていきたいです。BTCコミュニティの特徴として専門性の高い人同士の「新結合」があります。違う分野の専門家同士が繋がることで、領域横断によってイノベーションを起こすことができると考えるからです。
では、炭谷さん自身がメンバーから受けた影響について伺っても良いですか?
―僕は1人のメンバーとして普通にいろんなこと学ばせてもらってます。
たとえば
・メンバーの皆さん軸を持っていらっしゃてるしいろんな経験をしてらっしゃてるので聞けば色んな事を教えてもらえます!
・挑戦する機会
メンバーの方がいろんな機会やチャンスを持ってきてくれたりするので自分があまり今まで意識していなかったようなテーマから紹介してくださることもあって面白いです!
これからどんな人にBTCコミュニティに来てほしいですか?
―主体的に動く人が最低限の条件です。少なくとも1年以内に主体的に動く人に来てほしいです。ただし僕は1年前はそれほど自分のやりたいことが定まっていませんでした。自分の軸を持ちながら、人と対話することで人と新結合を起こせるような心構えがある人がいいな、と思いますね。
やりたいことが定まっていなかった状態から、どのように自分の軸を見つけましたか?
―1年前はやりたいことが定まっていないというか、漠然としていましたね。自分がやりたいことを言語化できていませんでした。とにかくその1年間「なんで自分がそれをしたいのか?」を追求しつづけました。そのきっかけとしてのKLP(別団体。リーダーを志す人たちの団体)は大きかったです。自分が出したアウトプットに対してもう1つ上の段階の人たちからフィードバックをもらえる環境が良かったです。
言語化するためのトレーニング方法
何か普段何か習慣として心がけていることはありますか?
―僕は普段から言語化する習慣をつけています。「自分では分かっているつもり」になってしまっていることを極力減らしたいからです。そしてある程度自分の考えが定まったら人に聞いてみます。よく問いを設定してノートに書き留めています。
最近立てた問いは何ですか?
―最近だと 問い・勉強すること・アイデアを毎週メモしています。問いは最初は分からなくても時間をかけて突き詰めていったら、あるふとしたとき道が開けることがあります。「考える」というのはわりと時間がかかるものなので、僕は最終的に結論が出るのであれば時間はそんなに気にしない研究者タイプです。
炭谷さんは普段から「言語化」を大切にされていますよね。何か「国語力」を鍛えるためのおすすめの訓練方法はありますか?
―僕が1年ぐらい継続してることで「国語力」のちょっとした訓練になってることがあります。
僕は常にメモ帳を持ち歩いてて、我流なのですが画像のような構成で1週間に2ページ分メモ書いててTo do、問い、学ぶ・調べること、アイデアのセクションに分かれています!
・To do・・・文字通りTo do書いてますが左ページで1週間分なので書けるリスト少なめなのでやるべき本質的なことを考える習慣つきます!またメモ帳でいつでもぱって取り出して書けるので急なタイミングでもメモれるし脳の負担も少ないです
・問い・・・1週間で考える問いを書いてます!下の画像の時は「ことわざはどういうものか?」みたいな問いを考えてますねw これを移動中とかに良い言語化ないかなーとか考えたり自分の考えまとめたりしてます! こんな感じで真面目じゃなくてもいいので無理しない範囲で問いを書いて考えてを繰り返してます! 一つ気をつけてることとしては検証が必要な問いは設定しないです。 このサービスにニーズはどのぐらいあるのか?みたいなやつじゃなくて頭の中で言語化して完結するような問いにしてます!
学ぶこと・・・1週間の間に学ぶこと・調べることをメモってます!後で見直したときに学習の記録になったりもするので復習にもなります!
アイデア・・・日常で思いついたアイデアは忘れることがけっこうありもったいないので忘れないようにメモってます!
継続することで確実に僕の言語化の訓練にもなっていますし、見返したりすることで問いに対してもう一度同じ言語化が出せるか試してみたりもしてます!
今では歯磨きしたり、お風呂入るのと同じ感覚で日常の一部になっていますw
なるほど、よく分かりました。炭谷さんが研究者として「科学を文化にする」日が来るのが待ち遠しいですね。炭谷さん、今回はありがとうございました!
参照:
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