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Q&A集 「海外旅行の扉を開く、その鍵は?」

【緊急対談企画】 コロナ奮闘記の風の旅行社 原 優二 VS 旅行産業経営塾OB会長 橋本亮一
日時: 2020年8月1日(土) 14:00〜15:30
『海外旅行の扉を開く、その鍵は?』
■対談に際して、いただいたQ&Aをまとめました。ぜひ、ご覧ください。

【現在の営業状況】
再開に向けた具体的取組と、顧客との接点の維持、将来の予約状況、HM延期状況、EURのHTLのCXLの戻り状態(経営者 観光・宿泊 第1種旅行会社)

再開に向けて、各国の出入国や検疫の情報は常に把握しようとしていますが、とにかく日本の出入国・検疫がどうにもならず、頭を痛めています。顧客との接点は、メールマガジン等を活用しています。海外挙式では延期を明言していただいた方が2割程度いますが、延期後の具体的な日程は決まっていません。まだまだ進展もなければ、光明も見えません。

【生き延びるための方策】
★現在の状況下での、経営者の手腕のあるべき姿(会社員 観光・宿泊 第1種旅行会社)
★(休業するのか、他の収益源を模索するのか)どちらが最適解かなんてことは今の時点では言えないと思います。(Youtubeのコメント)

対談の中でもありましたが、再開に向けて少しでも可能性のあることに取り組み続けるか、できるだけ傷口を広げないよう休業の道を選ぶかは、経営者として判断の難しいところです。どちらが正しいかは半年後、いや数年後に初めてわかることでしょう。各社状況が全く違うので、そもそも比較すること自体に無理があるのかも知れません。

★国内旅行に特化した国の観光産業復活政策が目立つが、海外旅行依存の大きい観光業者への経営持続化のための新たな給付金要求(経営者 観光・宿泊 第3種旅行会社)
★海外旅行に関わる業界経営者が、引き続き国に救済を求める方針(経営者 観光・宿泊 第1種旅行会社)

もちろん新たな給付金が得られれば、生き延びるために役立つことは間違いありせんが、現在の財政状況で十分な給付を期待するのは難しい気がします。むしろ検査体制を充実し、出入国や検疫の問題を解決して、海外旅行の早期復活に寄与することに予算を割いていただける方が、ありがたいように思われます。

★Wifh コロナをどう生き抜くか?(会社員 観光・宿泊 第1種旅行会社)
★この状況が2年続いても収益を伸ばしていける可能性のある取り組みについてお聞きしてみたいです。(会社員 観光・宿泊 第1種旅行会社)

とても難しい質問で、答えが見つからないまま試行錯誤を繰り返しているのが、正直なところです。ただ、今回オンラインの取組が一気に広まったことで、”移動を伴わないツーリズム“の可能性が開けたように思われます。この辺りに、想像もしていなかった答えが見つかるのかも知れません。

【海外旅行復活の時期・シナリオ】
★海外旅行始動までのシナリオ(会社員 観光・宿泊 第1種旅行会社)
★海外自由往来の見通し(会社員 観光・宿泊 第3種旅行会社)
★海外旅行への扉を開く、何時でしょうか?(フリーランス 観光・宿泊 第1種旅行会社)
★海外旅行需要回復までのロードマップ(経営者 レジャー 第3種旅行会社)
★ワクチン接種前(コロナが完全終息しない状況)における海外旅行(個人観光、団体観光)の復活シナリオ(経営者 観光・宿泊 第3種旅行会社)
出口の目安となる基準は何だと考えますか?(経営者 観光・宿泊 第2種旅行会社)
★旅行=観光がメインですが、観光より遅れて復活する業務渡航の分野はどう再開がヒントと考えているかを聞いてみたいです。(会社員 観光・宿泊 第3種旅行会社)
★インバウンドが戻るためには何が重要か?(フリーランス 観光・宿泊 通訳案内士 )
★インバウンドマーケットが回復するために必要な条件(会社員 観光・宿泊)

海外旅行が再開するには、二国間あるいは多国間で検疫に関する相互協定を結んで初めて往来が可能になります。原則、相互に同じ条件となりますから、日本入国だけが厳しく、相手国へ日本から入国する条件が緩いということはありません。タイ、ベトナム、ニュージーランド、オーストラリアの4か国から業務渡航を8月中にも再開といわれていますが、条件の折り合いが中々つかないようです。そうこうしている内に日本、オーストラリアの感染が再拡大してきてしまいました。往来再開には、感染が収まっている同士であることが合意の前提条件になるものと思われます。
また、現在、往来再開の条件の中に入国時のPCR検査が入っていますから、空港検疫での飛躍的な検査能力の向上があって初めて再開が可能になります。政府は9月中には一日1万件まで検疫でのPCR検査ができる体制を整えるといっていますが、このレベルでは、業務渡航の一部にしか再開には至らないでしょう。
海外観光旅行の再開には、日本の感染が収まっていて二国間あるいは多国間の協定が整い、14日間の隔離が不要になり、検疫での監査能力の更なる大幅拡大が実現すれば可能になるはずです。外務省の危険度は、こうした協定と検疫の問題とリンクしていまるから条件が整えば下がるはずです。
海外観光旅行の再開の時期は、私は、オリンピックの後だとみています。オリンピック・パラリンピック前は、限られた業務渡航に限定されるのではないかと思います。何故なら、オリンピック・パラリンピックまでに感染者を増やしたくないと政府は考えていると思うからです。
インバウンドに関しても同様です。何故なら往来再開の条件は相互に同じが原則。日本の海外観光旅行が再開されれば、インバウンドも再開されるはずです。すべては、検疫の条件が、観光客が許容できる簡易まで下がるか否かです。
【将来の旅行業界】
★今後の旅行業界の流れ(経営者 観光・宿泊 第3種旅行会社)
★収束後の業界動向(経営者 観光・宿泊 第3種旅行会社)

向こう半年で、残念ながら持ちこたえられない旅行会社が、少なからず出てくることでしょう。交通・宿泊ともに供給量を制限することになるので、旅行代金は確実に上がります。“安かろう、悪かろう”型のツアーは姿を消し、品質と企画力と安心感で勝負する時代へと、移り変わると思われます。

★今後求められるだろう旅行会社の形をどのようにお考えか。(会社員 観光・宿泊 第1種旅行会社)
★コロナ収束後ですが、旅行会社の在り方として、アメリカのように大きく分けてOTAを駆使している会社と地域密着型のパパ&ママエージェントの2極化に日本もなるのでしょうか?(会社役員 観光・宿泊 第1種旅行会社)

 生き延びるポイントは、”柔軟な経営・営業体制”と”キャッシュフロー”だと考えています。その両方を兼ね備えることが理想ですが、どちらかに偏った結果、OTAとパパ&ママエージェントに二極化する可能性も十分にあるでしょう。大手旅行会社がどこまで“柔軟な経営・営業体制”を組めるのか、期待と興味を持って見ていたいと思います。

【将来の旅行商品の姿】
★団体旅行という概念自体がコロナ禍で消滅するのではないでしょうか。(Youtubeのコメント)

その可能性も否定できません。ただ全ての団体旅行が消滅するとなれば、影響があまりに大き過ぎますので、少人数で高品質の感染症対策に注意を払った団体旅行には、数こそ減っても生き残ってもらいたいと思っています。

★クルーズ船内のPCR検査は、外国のクルーズラインによってはもう仕組みを取り入れる予定のところもあります。船内で一度に200名ほど検査できるとか…(Youtubeのコメント)
貴重な情報ありがとうございます。クルーズ船内のPCR検査が実現すれば、安心してクルーズの旅を楽しめるようになりそうですね。実現にこぎつけることを、大いに期待したいと思います。

★海外旅行にスマホがなければ行けないようになるのか(自営業 観光・宿泊 第3種旅行会社 トラベルビジョン)
感染症対策アプリの国際版などが普及すれば、海外旅行の必需品になるかも知れません。検査の受診歴や陰性証明の状況まで、アプリで管理されるようになると画期的です。安心・安全のために、スマホが海外旅行に活用されることを期待したいと思います。

【検査体制に関して】
★保健所が人手不足で、保健士の資格が必要なトレーサー(PCR検査後の追跡する人)を増やせないのも、PCR検査を増やせない理由の一つだそうです。緊急という事で法改正はできないのか、業界としてボランティアで追跡作業に参画出来れば、問題がひとつ解決するのではないではないかと思うのですが。(経営者 観光・宿泊 第1種旅行会社)

検査には、感染症法に基づく検査(原則、保健所管轄)のものと自由診療があります。政府は、嘗ての専門家委員会や現在の分科会の専門家たちが「必要な人にだけ検査をすればいいのであって、濃厚接触者でも何でもない無症状の人に検査する必要はない」。という見解に2月以降一貫して従っていて増やすとは言っていますが、必要な人が受けられないのは困るから増やすといっているのであって、これをいくら増やしても、経済活動維持・継続のための検査の道は開かれません。ですから、民間で自由診療で増やす方が早いと思います。

★陰性証明って検査時点の話であって、何か意味があるのでしょうか。(Youtubeのコメント)
検査を増やす目的は、市中の無症状の感染者を見つけて隔離することを繰り返して、市中感染をコントロールできるようにすることです。陰性証明は、そうした「徹底した検査、追跡、隔離」の態勢が整っていることによってより信頼性が増します。確かに、その時だけで意味はないというご批判もありますが、「徹底した検査、追跡、隔離」の態勢が整え、毎日でも検査できるような態勢を整えれば、陰性証明への信頼は益々高まると思います。もちろん100%大丈夫とはいいませんが、より市中の感染確率は下がるはずです。

★現在の検査件数は4月時点の4倍以上になっている筈です。結果的に無症状感染者を拾い出してマスメディアがセンセーショナルに騒ぎ立てた結果、現状の旅行業者への風当たりが強くなったのではないでしょうか。(Youtubeのコメント)
有効なワクチンができて世界中に行き渡るか、Whoが、ただの風邪だとでも表明しない限り、この感染症のパンデミック騒ぎは終わらないでしょう。マスコミ如何にかかわらず、市中に感染者が多数いて、人に感染させているのは事実です。また、指定感染症になっていれば、陽性者は入院隔離が必要です。すべては、政府の対処次第だと私は思います。

【その他業界として取り組むこと】
★海外旅行者需要喚起策について取り組めることとしてどの様なことが考えられ、業界横断的にどの様なことに取り組むべきでしょうか。(会社員 観光・宿泊 第1種旅行会社)

コロナ禍を機にオンラインが一気に普及したことを受けて、世界中のバーチャルトリップが業界全体で活用できるよう、観光局等に整備をお願いしたいところです。それも単に動画だけでなく、世界中のレポーターと中継でつないで、現在の海外の観光地の様子などを見ることができる仕組みがあるといいですね。

★今だからこそできるインバウンド観光対策(経営者 観光・宿泊  第2種旅行会社)
インバウンドを復活させるためにも、まずは検査体制の充実が不可欠でしょう。日本人の海外旅行が復活し始め、国際線も復便し、国籍を問わず移動する人全てが自由に検査を受けられるようになれば、インバウンドも問題なく復活するはずです。

★GO TOキャンペーンは現状でプラスの効果よりマイナスの影響のほうが大きいと思われますか?もしそうであれば、どのような施策が必要でしょうか。業界や各社で取り組めることはありますか。(無職 観光・宿泊業界ではない)
マイナスの影響があるかどうかはさておき、現状のままGo Toキャンペーンを継続しても、大した成果は得られないかも知れません。もしGo Toキャンペーン参加者にPCR検査等がもれなく実施できる状況になれば、人々の不安も和らいで、安心して旅行していただける環境が作れると思います。国内旅行にも、検査体制の充実は不可欠です。

★青森県が感染者の詳報は行わないというスタンスを昨日明確にしました。そうしない限りGo toを行ったところで、旅行客が差別的な扱いを受ける風潮が変わらないのではないかと思います。(Youtubeのコメント)
感染者の詳細発表については賛否あろうかと思いますが、陽性者が差別的な扱いを受けるという風潮は、何としてでも払拭しなければなりません。確かに少なくとも、プライバシーにかかわる陽性者情報を発表することを慎むよう、政府から各自治体に指導するべきなのかも知れません。

【個別の質問】
★Go toトラベルキャンペーンに風の旅行社様も参画しているか?しているのであれば、キャンペーンの給付金の振り分けがエリアと月別に割り当てされるのをどう対応されているのか? (経営者 観光・宿泊 第1種旅行会社)

参加しています。予算の枠が決められ、しかも月毎ではやり難いと思っています。しかし、追加予算も申請できますし、充分に各社販売する予算は行き渡ります、と事務局も言っていますから、それを信じるしかないと思います。第一、1兆円以上の予算を1月末までの6か月間で使いきれるでしょうか。それよりも、感染の動向いかんで、客足が伸びないことの方が心配です。

★原社長(風の旅行社)の経営塾は、次回はいつ開講されるご予定ですか。(フリーランス, 通訳案内士・通訳者・翻訳者・日本語教師 観光・宿泊, 教育・学習支援 通訳案内士)
現在の予定は、来年5月開校になっていますが、こういう状況ですから、10月中には可否を判断したいと考えています。

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