見出し画像

五感を開くと良いことだらけ?_アートエデュテイメント#05

エクササイズ


 前回は、五感のスイッチを入れ直すエクササイズを紹介してみましたが、お楽しみいただけたでしょうか? ご覧になっていない方のために、簡単に再現してみますね。初めての方は、ぜひお試しを。前回やった方も改めてどうぞ。
 
まずこちらのイラストを眺めてください。




次に、以下の五つの質問にそれぞれ浮かんだ言葉を答えてください。回答の順番は特にありませんので、答えやすい質問から始めてもらって結構です。ただし、全部の質問に必ず回答してください。「正解」はないので、安心して自分の印象を大切にして、素直に答えてください。浮かんだ言葉はどこかにメモしておくと良いですね。

それでは、始めてみましょう。


「何が見えますか?」〈視覚〉
  
「どのような音が聞こえてきますか?」〈聴覚〉
 
「触ってみると、どんな感じがしますか?」〈触覚〉
 
「食べたり、なめたりしたときの味は?」〈味覚〉
 
「ここではどんな匂いがするでしょう?」〈嗅覚〉

 

とまぁ、こんな具合のエクササイズでした。自分の持った印象を、五感に照らして改めて言語化することで、「感覚」を意識し直す。つまり、私たちが周りの世界を、日頃どのように捉えているのかを、自覚してみたわけです。答えにくかった問いの「感覚」は、普段あまり使い慣れていないのかもしれません、ということもお伝えしました。


いかがでしたか?
 

“関係性”が創造性を刺激する


このエクササイズを複数の人と同時に進めると、面白いことに気がつきます。五つの問いの答えが全く同じという人がいないということですね。まぁ、当たり前のことではあるのですが、見ているイラスト(作品)は同じでも、人の持つイメージが様々であることを実感します。

「なるほど、そんな風に感じる人もいるんだ」と新鮮な驚きを得ることが多いのですが、逆に、自分の答えを聞いて、相手がやたらと感心するということも起きるわけです。お互いのコメントに面白みを感じ合う、これが実は、アートエデュテイメントのだいご味であり、「創発の場」の土台になります。
 

『みちしるべ』

いざ行かん
ペロペロキャンディなめながら
潮風がどーっと吹く中を
ザラザラ砂を踏みしめて
かたつむりごときの歩みでも

 
これは、『感覚のポエム©』(美術出版エデュケーショナル)というワークショップで、先ほどのイラストを見て実際に参加者がそれぞれに浮かんだ言葉を紡ぎ合わせたりして、一つの詩にまとめてくれたものの一例です。自分一人では思いもつかないような素敵な詩になっていると思いませんか。お互いの「言葉」が影響し合って、新しい印象の作品が生み出された感じですね。しかも楽しみながら。


「感覚のポエム」実践中

他者の感覚を知る


このように、五感のスイッチを入れなおすには、人とのやり取り、対話が有効です。自分の感覚がどれだけユニークなものであるかを、他者の感覚を知ることで気づくことができます。同時に、五感を開いてお互いの世界を受容し合える関係性が築かれると、それぞれに持っていた感覚がさらに新しい刺激となり、これまで思いもしなかった新しい「世界」を創造することもできます。これって、実生活、あるいはビジネス!を、かなり豊かにしてくれると思いませんか?

創造性は、人間の誰もが持っている「能力」であることは以前述べた通りですが、創造性を発揮しやすい「場」というのは確かにあります。次回はその辺を、少しロジカルに説明してみるという、無謀な試みに挑戦したいと思います。


<筆者紹介>
臼井 清(うすい きよし)
株式会社 美術出版エデュケーショナル 教育研修支援事業プロデューサー
合同会社 志事創業社 代表 事業開発アーティスト

<プロフィール>
セイコーエプソン入社後、国内や台湾、英国、ドイツでマーケティングと人材資源管理(HRM)を中心に多くの経験を積む。2014年「人生を豊かにするチャレンジ」を応援するコンサルティング会社 志事創業社(しごとそうぎょうしゃ)を設立。各種研修・セミナーのプロデュース、ファシリテーション、顧客開拓マーケティング、企画運営などを手掛ける。美術出版エデュケーショナルの教育研修支援事業プロデューサーとして、アートのビジネスシーンでの活用も推進中。日経BP総研講師、丸の内プラチナ大学講師、(公財)パブリックリソース財団シニアフェロー。アートナビゲーター1級。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?