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五感のスイッチを入れなおす!_アートエデュテイメント#04


自動運転レベル4の時代が到来!ということで、改正道路交通法が2023年4月に施行される今日この頃に、「マニュアル運転したいよねぇ」と、お気楽なお話が前回でした。「アートエデュテイメント」のだいご味を味わうために、私たちがまずするべきこと。それは五感のスイッチを入れなおすことです。五感のスイッチを入れなおすと言っても、普段からスイッチは入っているので、むしろ五感を意識し直す、遅くなったPCを再起動してリフレッシュしてみる、というような感じですね。

世界の感じ方


早速、エクササイズプログラムをやってみましょう。
まずこちらの写真を眺めてください。

↓ こちら



じっくり感じ取って欲しいので、以下の五つの質問に、それぞれ浮かんだ言葉を答えていっていただけたらと思います。順番は特にありませんので、答えやすい質問から始めてもらって結構です。ただし、全部の質問に必ず回答してください。「正解」はないので、安心して自分の印象を大切にして、素直に答えてください。浮かんだ言葉はどこかにメモしておくと良いですね。それでは、始めてみましょう。

「何が見えますか?」〈視覚〉
  
「どのような音が聞こえてきますか?」〈聴覚〉

「触ってみると、どんな感じがしますか?」〈触覚〉

「食べたり、なめたりしたときの味は?」〈味覚〉

「ここではどんな匂いがするでしょう?」〈嗅覚〉


いかがでしたか? 

色々と発想が広がったのではないかと思います。


五感で感じる


写真という視覚情報から、あえて他の感覚にもつなげていくことで、普段私たちが身の回りの世界を、様々な感覚を使って感じ取っていることが、認識できたのではと思います。また、それぞれ五感で感じたことが、お互いに影響し合っていることにも、気づかれたのではないでしょうか。例えば、「キャンディみたい」と初めに印象を持った方は、「甘い味」や「香り」、「つるつるとした舌ざわり」といったことを思い浮かべたかもしれませんし、「海の岩場」と思った方は、「波の音」や「潮の香り」と結びついたかもしれません。


さらに、自分が普段どの五感を頼りに、身の回りの世界を把握しているのかも、このエクササイズを通じてある程度理解できます。自分が答えやすかった質問〈感覚〉ほど、日常的にアンテナが立っている(感覚として開いている)可能性が高いと言えます。
このように、五感を意識し直すということは、私たちが周りの世界を。普段どのように捉えているのかを、自覚する行為でもあります。


感覚のポエム


実はご覧いただいた写真。ランドスケープアートと呼ばれる、れっきとした有名なアート作品を上空から写したものです。
《SPIRAL JETTY》Robert Smithson作 1970年
 
今、みなさんにやっていただいたのは、美術出版エデュケーショナルのワークショップで実施しているエクササイズプログラムの一つで、『感覚のポエム』©というものです。「アート作品」というと、お堅いイメージをお持ちになる方もいると思いますが、こんな形で五感を使って「観賞」を楽しむこともできます。実際に参加してもらった方々の回答コメントを少し紹介してみますね。

「何が見えますか?」〈視覚〉
 石の渦巻き、グルグルした模様、キャンディみたい、…
 
「どのような音が聞こえてきますか?」」〈聴覚〉
 波の音、ぴゅうぴゅう、わしゃわしゃと虫が動いている感じの音、…
 
「触ってみると、どんな感じがしますか?」」〈触覚〉
 ゴツゴツした感じ、痛そう、ざらざらと崩れそう、…
 
「食べたり、なめたりしたときの味は?」」〈味覚〉
 苦い感じ、意外に甘そう、チョコレート味、…
 
「ここではどんな匂いがするでしょう?」」〈嗅覚〉
 潮の匂い、甘い香り、味噌蔵みたいな、…

自分のイメージとは全く異なるコメントも多かったのでは?


実際のワークショップでは、この個人ワークの後に、グループで、各人が出した言葉を組み合わせて、一遍の詩(ポエム)を作成することをやります。このグループワークも、五感のスイッチを入れなおすことに、とても重要な関りがあるのですが、ここは次回にお話しすることにしましょう。



※写真 《SPIRAL JETTY》Robert Smithson作 1970年

<筆者紹介>

臼井 清(うすい きよし)
株式会社 美術出版エデュケーショナル 教育研修支援事業プロデューサー
合同会社 志事創業社 代表 事業開発アーティスト
<プロフィール>
セイコーエプソン入社後、国内や台湾、英国、ドイツでマーケティングと人材資源管理(HRM)を中心に多くの経験を積む。2014年「人生を豊かにするチャレンジ」を応援するコンサルティング会社 志事創業社(しごとそうぎょうしゃ)を設立。各種研修・セミナーのプロデュース、ファシリテーション、顧客開拓マーケティング、企画運営などを手掛ける。美術出版エデュケーショナルの教育研修支援事業プロデューサーとして、アートのビジネスシーンでの活用も推進中。日経BP総研講師、丸の内プラチナ大学講師、(公財)パブリックリソース財団シニアフェロー。アートナビゲーター1級。


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