【#004前編】デザイナーから鞄職人/肉球が皮革業界を救う/技術力研鑽で個展開催
― キノシタレザー 木下野絵さん ―【前編】
今回は、キノシタレザーでオリジナル製品も製作されています木下野絵さんにお話をお伺いします。
<ピックアップインタビュー音声>
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(細川)よろしくお願いいたします。
(木下)よろしくお願いいたします。
(細川)ご出身は大阪ですか?
(木下)いえ。高校卒業後、専門学校に通うために京都の舞鶴から出てきました。
(細川)え、何の勉強で専門学校へ?
(木下)大阪文化服装学院という、服飾専門学校へ通っていました。
(細川)えっ、すごいじゃないですか!?それこそ、お洋服作れますね!デザインください!!
(木下)いやー、もう作れないですね!(汗)
(細川)何専攻で行かれていたんですか?
(木下)デザイナー専攻で行っていたのですが、就職活動をしていくうちに、自分のやりたいことは服じゃないかなぁ…。と思い始めまして。3年間専門学校に通わせてくれた両親には申し訳ないんですけど。…。(汗)(笑)
(細川)へーーー!そうなんですか!?(笑)でもじゃぁ、パターンも引けたんですか??
(木下)一応、習いましたけど、あまり好きじゃなかったです。(笑)
(細川)そうでしたか!?デザインのほうが好きだったんですか?
(木下)まあ、そうですね…。
(細川)だからか!!だから、美的センスがあるんですね!?インスタの写真とかリール動画とかすごく素敵だなぁと思っていました。
(細川)野絵さんは、キノシタさんとのご縁はいつからですか?
(木下)結婚してからが正式な繋がりなんですが、就職活動しているときに、主人に就職先を紹介してもらって。
(細川)あ、ご主人の拓哉さんが就職先を紹介してくれたということですか?
(木下)はい、そうです。キノシタの得意先さんを紹介してもらって、そこでアルバイトからスタートして、正社員にしていただきました。
(細川)へぇ〜、それは何の会社だったんですか?
(木下)鞄メーカーです。キノシタの近くにある大国町の会社です。今もキノシタと革の取引していただいているんですよ!
(細川)そうですか!(驚き)じゃぁ、今ご出身の会社がお客様で、という感じなんですね。いいですね!!長く良好なお付き合いができるって。
(木下)そうですね。色々助けて頂いたりして、感謝しています。そこで、ほぼ革製品の製作を学びました。
(細川)バッグメーカーさんということは、クラフトとはまた違うんですか?
(木下)そうですね!?すべて手作業というよりは、ミシンで量産するという工程ですね。インスタでレザークラフトされている方を見るんですが、みんな本当にすごいんですよ!!!
(細川)えっ、そうなんですか!?(驚き)趣味の範囲だから、プロから見ると全然って映っているのかと思いました。私、違いが全然わかっていないのですが…。
(木下)いやぁ、個人の方のレベルはすごく高いです!!趣味だけに、極められているから、技術レベルが高いんです。
(細川)なるほど。もしかすると、個人の方はご自分が納得行くまで時間と労力とお金をかけられますしね。メーカーとなれば、利益が出ないとそもそも作らないこともありますよね。
(細川)では、革との出会いはバッグからということですか?
(木下)そういうことになります。
(細川)当時専門学校に行ってらっしゃった時、革を触っているうちに革製品をやりたいと思われたということですか?
(木下)いえ、そういうわけではないんです。当時就職にも苦労しまして…。
(細川)あ、そうですよね!?野絵さんだけじゃなく、当時は昨今のような人手不足とは言われていない時代でしたからね。そういう時代でしたね。不況でしたし。
(木下)まあ、でも紹介してもらって、入ってみたら自分に合っていたのかなぁと思いますね。嫌いじゃなかったですね。
(細川)革とお洋服の違いってなんだと思われます?何が向いていたんですか?
(木下)えー、何だろう?何が向いていたんでしょうね!?(笑)(笑)
(木下)服のほうが、細かくて大変だったというのはあります。バッグも細かい作業なんですけどね。(笑)
(細川)洋服だったら、生地が一定の品質だと思うのですが、革は天然素材だから、ひとつひとつ全て違うじゃないですか、そちらの方が難しそうなんですが…。でも、そこに面白みがあるんでしょうね。
(木下)私がバッグメーカーでやっていたのは、縫製、組み立てのところだったので、他の部署で革が裁断されたものを、縫っていく作業でした。裁断工程となると、どこの部分をどう取るかという商品の見栄えを意識した職人的な部分と、無駄なくパーツを何枚取れるかという経営者的な部分が必要となるので、とても重要なんです。
(細川)へぇー、そうなんですね!ご主人の拓哉さんがなさっている仕事が裁断!?
(木下)そうです、そうです!!
(細川)なるほど。じゃ、野絵さんがやっていらっしゃる仕事というのは具体的に言うと?
(木下)企業からの下請け作業とか…、メーカーの組み立てとかが主な仕事ですね。
(細川)いわゆる、相手先ブランド製品の製作?OEMということですか?
(木下)そういうことになりますかね!?
(細川)へぇ〜。野絵さんの仕事は最終工程だから、すごく重要ですね!
(木下)あとは、自社のオリジナル製品を裁断してもらって、こちらで組み立てていくという作業ですかね。裁断工程は主人が担当していますが、主人が忙しいときは私が裁断することもあります…。
(細川)すごいですね!?全部の工程じゃないですか!?
ー 社長が来られました(…緊張…汗) ー
(細川)お世話になります!お邪魔させていただいております!
(木下社長)お世話になります。
ー インタビューに戻ります… ー
(細川)社長もお忙しそうですね。本社と営業所を行ったり来たりされているんですか?
(木下)そうですね。社長はこちらで卸用の革を広げて検品をして、出荷されたり、作業をされています。
(細川)ああ、そうなんですね?御社はホームページの事業内容を見てもそうですが、牛皮革卸が本業ですものね!?
(木下)そうです、そうです!
(細川)先ほどもお伺いしたように、オリジナルの商品を手掛けるようになったと思いますが、最近ですか?それは何かきっかけがあったんですか?
(木下)そうですね、最近です。私がこちらに嫁いで来たのがきっかけかも知れません。もちろん、社長の奥様もその前からすべての工程で携わっていただいています。奥様もデザインを起こしたり…。
(細川)ははぁ、なるほど。じゃぁ、キノシタさんで、奥様と2人でデザインは起こせるし、拓哉さんが裁断できるし、野絵さんが縫製できるとなれば、全て完結しますね!?もちろん、社長が良質な革をご用意してくださるでしょうから(笑)(笑)
(木下)ああ、そうですね!(笑)(笑)
(木下)大国町は革の街ですから、お客様のご要望の革がうちの在庫ですぐにご用意できなくても、横のつながりも、ネットワークもしっかりしているので、ほぼ100%ご所望の革が用意できると思います。
(細川)革に関して、ほぼ全ての要望に応えられるってすごいですね!!
(木下)そうですね、ありがとうございます。
(細川)今作っていらっしゃる、オリジナルやOEM製品って、アイテムで言うと何が多いんでしょうか?
(木下)バッグが多いですね。
(細川)バッグも幅が広いと思いますが…。
(木下)今、やっているのは、あまり大きいのや、ビジネスのかっちりしたものは取り扱っていないですね。レディースのファッションバッグが多いですね。
(細川)そうなんですね。基本的な質問で申し訳ないのですが、革製品って、染められた革を裁断して組み立てるんですか?組み立ててから染色するんでしょうか?
(木下)いえいえ、もう染色した革、(棚に並ぶ革を指して)あんな感じの革から裁断します。
(細川)あ、ホントだ!!いろんな種類がありますね!!これらを拓哉さんが裁断するわけですね!?
(細川)だいたい、ひとつバッグを作るのにどのくらい時間かかるものなんですか?
(木下)2〜3時間くらいですかね!?
(細川)えー!!そんなんで作るんですか!?スゴいですね!!
(木下)もちろん、裁断された革やパーツが準備された状態であればですけどね!!裁断は時間と労力がかかりますので。
(細川)先ほどのお話にもありましたよね!?それだけ、裁断が重要ということですか!?
(木下)重要ですね!!
(細川)そうなんですか!じゃぁ、裁断の重要さがメーカーにも個人でクラフトをやっている方にも伝われば、組み立てと同じように御社に仕事が増えますね!
(細川)拓哉さんはもうこの業界は長く携わっていらっしゃるんですか?
(木下)長いと思います。よね?社長!?
ー 側を通られた社長に問いかける ー
(木下社長)長いんじゃないの?頑張って欲しいな!!(息子さんへの愛情が伝わる…)
(一同)(笑)(笑)(笑)
(木下)もう、10年以上携わっていると思います。
(細川)そうなんですね!!話は変わりますが、昨年クラウドファンディングに挑戦されたと思いますが、どういった経緯だったんですか?
(木下)OEMや仕事の依頼を受けているうちに、革の切れ端が出たりするので、何か活かせないかなと。オリジナルで何か作れないかな?というところからです。また、クラウドファンディングもBOOSTERというSDGsに特化したものでしたので。
(細川)今回はAirタグケースというオリジナル商品でしたが、オリジナル商品はそれまで何を作っていらっしゃったんですか?
(木下)いえ、ほとんど作っていなかったです。クラウドファンディングがきっかけのような感じですね。
(細川)そうでしたか。クラウドファンディングに挑戦してみてどうでした?どんなことに苦労されましたか?
(木下)結果云々ではなく、今までやってきたことや、チャレンジする経緯や背景を考え直すいいきっかけとなったと思います。苦労したのは、やはり文面ですね。写真も大事ですが、文章にして伝えないといけないので。特に、リターン商品の説明はより詳細に考えました。
今はBASEとメルカリショップでも販売しているのですが、その甲斐もあって、引き続きたくさんの方にご購入いただいたり、知っていただけています。商品内容がしっかり伝えられていると思います。だから、クラウドファンディングにチャレンジして良かったと思います!
(細川)それは良かったですね!!私もいろいろな方にお話を伺いますが、意外にも自分や自分の商品・サービスの良さって自分が一番知らなかったりしますよね。やっぱり、そういう見つめ直しって、そういう機会しか中々しないものですものね。
(後編へつづく)
キノシタレザー(株式会社キノシタ)は革の街、大阪・大国町で1982年に創業。用意できない革は無いというほど、衣料・鞄・靴のみならず、あらゆる有名メーカーを中心に牛原皮を提供している。また、鞄等のOEM製作も手掛け、最近ではオリジナル商品も開発。Apple社から販売されている紛失防止タグのAirタグのケース、革の切れ端で作った『pawpads(ポーパッズ)』を発売。イヌ・ネコなどのペットの見守りや、子どもの見守りにも役立ち、革の切れ端からできていることから、SDGsにも寄与している。
『pawpads(ポーパッズ)』はオンラインショップBASE、メルカリショップにて販売している。
キノシタレザー(株式会社キノシタ)
〒556-0014 大阪府大阪市浪速区大国3-7-13
TEL: 06-6631-4374
Home Page:
https://sites.google.com/view/kinoshitaleather/home
Instagram:
https://www.instagram.com/noahleather2021/
online shop:
https://noahleather.base.shop/
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