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#26 バルミューダで見る「ファブレス経営」
「ものづくり」って本当にモノをつくるだけなのか?
バルミューダという最先端キッチン用品メーカー
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みなさん、バルミューダという会社を知っていますか?
トースターや炊飯器などのキッチン用品、LEDライトや掃除機、ついにはスマートフォンも出し始めた会社です(一瞬で計画は頓挫していましたが)。そんな様々な生活を豊かにする商品を取り扱うバルミューダですが、とある特徴を持っています。
バルミューダの設備投資の状況
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家電製品を主に生産・販売しているバルミューダの社内設備に!なんと!
「工場」がありません!!!
商品を効率よく製造するために使われる「金型」については注記があるように、製造委託先に貸し付けているようです。つまり、バルミューダは工場を持たず製造を外注するという「ファブレス経営」をとっています。
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ファブレス経営のメリット
固定資産に対する投資を抑えることで負債額が減り、経営体質が良い状態を保ちやすいです。
証拠として、バルミューダの資本全体に占める有形固定資産の割合は6.8%であり、大手家電メーカーのシャープを見てみると、21.4%と、大きく差があることがわかります。
そして、資本全体に占める負債の割合は、バルミューダが42.1%、シャープが76.0%と、こちらも大きく差があることがわかります。
バルミューダは、経営に必要な借金によるお金の調達を、全体の半分以下に抑えることができている、ということですね。
借金が少ないということは、債務不履行、つまり、返済の滞納を起こす可能性が低いということにもなりますよね。
そうなれば自然と倒産する可能性も低くなり、経営体質が良い状態を保ちやすくなるということです。
もちろん、借金が少ないことが必ずしも良いことだけとは限りません。
もし、借金が少ない理由が「銀行などからお金の借入をできないから」だった場合。銀行からお金を借りれない原因として大きく分けて2つあるでしょう。
①融資手続きに提出した経営計画の不確実性
②融資実行に値する企業信用度の欠如
B/Sの負債項目が少額だった場合、なぜ少ないのかをしっかりと確認する必要があります。重要なのは財務数値とその値の整合性です。ここは初心を忘れず考え続けましょう。
ファブレス経営のデメリット
さて、バルミューダがファブレス経営であり、ファブレス経営のメリットについて話をしましたが、ファブレス経営にもデメリットはあります。
それは、費用削減が通常と比べて困難ということです。
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例えば自社グループで全ての生産ラインを整える大手自動車メーカー「TOYOTA」は、親会社のトヨタ自動車株式会社の計画に伴って、製造工程を迅速に変更することが他社に比べて容易です。
しかし、ファブレス経営の場合そうはいきません。開発した商品の製造は外注、つまり、社外に依頼して製造を行っています。外注先の技術や規模によって製品の品質や生産量は左右されます。
これが意味することは、自社内でコントロールすることができない事象があるということです。
こんなことがあったら…
・もし、外注先企業が潰れる寸前であるにも関わらず、その事実を隠していたら?
・もし、競合他社と独占契約を結ばれて急に自社と取引の停止を言い渡されたら?
・もし、外注先企業が何か社会的問題を起こして大事になり、製品製造どころではなくなったら?
などなど、自社ではどうしようもない外的環境に左右される可能性が高まります。
最近の場合だとコロナが集団感染して生産ラインが停止したら、なんてこともあり得る話ですよね(これに関しては外注先に限らず自社内でも危惧すべき事象ですが)。
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ファブレス経営における大事なこと
それは、自社内でコントロールできない外的リスクをどのようにして回避しながら経営を進めていくか。
もちろん、どのような会社でも経営に大きく関わるリスクがあるのは当然ですが、外の問題が経営に大きく関わることが多いファブレス経営にとって、その後の対応についてはラグが大きくなりやすい傾向もあります。
「もしも」の場合を通常の経営より多く策を考えながら進めていくことが肝になりそうですね。
まとめ
いかがでしたか?今回は、「工場を持たないメーカー」の一例をご紹介しました。世の中には他にもファブレス経営を取っている超有名企業が数多くあります。例えば近年売上ばく進中の米国自動車メーカーのT社とか、日本から全世界にゲームを届けているN社とか。。
皆さんもぜひ探してみてください。
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それでは、また。