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素材本来の・・・。
夕飯を食べに、チェーン系牛丼屋の二階にある系列のとんかつ屋に行った。
そこはぐるっとコの字型にカウンターがあって、所謂牛丼屋タイプの店内レイアウトなわけだが、今日は僕の対面に座っていた男性についてのお話。
彼は注文をしてからスマホをいじり始め、程なくして注文したとんかつ定食が彼の前に運ばれた。
若干話は逸れるが、その彼の隣のお兄ちゃんのお茶碗の持ち方がダメで、最近若者に良く見る人差し指をお茶碗のふちにひっかけ、親指とその他の指をその両サイドに添える、指だけ見たら影絵の鷲でもやろうとしてるんじゃないかという、最近若い男性に良く見る持ち方。
この持ち方の人を最近すごく見かけるのだが、なんなの?月9か何かでキムタクがやってたの?・・・。すごく気になる。その持ち方の人は十中八九育ちの悪そうな匂いがする。
話を戻すが、隣のキムタクがそんな感じなので、同じ匂いのする隣の彼もそんなお茶碗の持ち方するんだろうなぁ・・・。と思ってみていると、それ以前に彼はお茶碗を全く持たずに食事をしている。
左手でスマホを操作し、右手で箸を操作している。
自分もたまにスマホ弄りながら食事をすることがあるので人のことは言えないが、彼の左手は食事中ずっとスマホを握っているのだ。
そしてスマホの画面を凝視したままお茶碗に手を添えることすらせずに飯を食うその姿はもはや見苦しいという表現以外に思いつかない。
僕ももういい歳のオッサンで、「今どきの若者は・・・。」と言いたいお年頃なのでその光景はすごく気になる。
それからも彼を観察していると、ある特筆すべき行動に気がついた。
とんかつにソースをかけていない。
まじか・・・。
そこは安い定食屋なので、勿論豚肉に下味など付けていない。それは僕も確認済みだ。尚且つカウンターには塩は置いていない。
要するに、彼は無味の豚肉の揚げモンをおかずに白飯を犬食いしているのだ・・・。
さらに、付け合せのキャベツの千切りにも何もかけていない・・・。
チョット待ってくれ・・・。
素材本来の味を楽しむにも程がある。
揚げ物にソース(等の調味料)を付けずに食べるのは遠い親戚か何かの法事に行ったとき、オードブルのそれを小皿にとったはいいがソースがテーブルの対面にあって遠い親戚だから「ソースとってください」の一言が言えないときくらいのものだ。
・・・待てよ・・・。ここで少し冷静になろう。
マナー云々は置いておいて、彼が全く「食」に興味がない人間だとしたらどうだろう。
それ自体に楽しみも興味もないが、それをしないと生きてはいけない行為。例えば排泄行為。
携帯や漫画を読みながら用を足すときもあるだろうし、そこまでトイレ内の内装やインテリアにこだわらないし、食事の「いただきます」のように、排泄の前に「よろしくお願いします」とか言ってから便座に座るようなことはしない。
少なくとも僕はしない。
そう、彼の食事が、僕らにとっての排泄と同じレベルだと考えたら、なんか落ち着いてきた。
いや、待てよ・・・。味にこだわりがないのなら1階の店で牛丼食ってればいいではないか。
あぁ・・・。めんどくせ・・・。
とか考えてるもんだから、自分のとんかつにソースをかけすぎてすげぇしょっぱくなった今日この頃。