モンゴル現地訪問を終えて。沖縄県のBSケアプレゼンター®より
NPO法人BSケアは、2024年6月25日(火)と6月26日(水)の2日間、
モンゴル最大級の産科関連施設「モンゴル国立母子健康センター」(ウランバートル)で乳房ケア「BSケア®」セミナーを開催しました。
BSケアプレゼンター®であり、本プロジェクトのリーダーとしてチームを率いてくださった峯田 昌さんに、現地セミナーに同行しての思いを綴っていただきました。
BSケア®が国外に羽ばたく現場に立ち会いたい
沖縄県で活動するBSケアプレゼンター®の、峯田 昌です。
2024年6月25日(火)と6月26日(水)のモンゴル国現地セミナーに同行させていただきました。
現地行きの予定が浮上した当初、タイムスケジュールも、自分がセミナーのサポーターとしてできることも想像がつかない中でのモンゴル行きの決断には不安もありました。ですが、「BSケア®」が国外に広がっていくことを目の当たりにしたいという気持ちで思い切って参加を決め、無事セミナー開催を終えて帰国しました。
モンゴルで目の当たりにした母乳育児の現状
1か月の母乳支援率は90%、哺乳瓶もミルクも基本的には使用しないというモンゴル国。
母乳育児の困りごとはたくさんあり、でも母乳育児は当たり前の国なので、辛く感じても「では、混合で」という発想はないようです。
母乳育児にまつわる困りごとは、それぞれのお母さんが、自分なりの方法で乗り切っていて、特に、実母から教え継がれる伝統的な方法で何とかしているとのことでした。(それはそれで母子の力は素晴らしいと思いました)
困りごととして挙がるのは、「乳頭が短くて吸えない」「傷ができて痛い」「乳腺炎」「搾乳器を使って乳房がガチガチ」など。母乳育児にまつわる悩みは、日本と同じようでした。
しかし、これらの困りごとに関して、医師も助産師も誰もケアの方法を知らないそうで、「BSケアの学びは、とても重要だ」と受講生がおっしゃっていました。
文化が違う人々に伝える戸惑い、そして、よろこび
寺田先生と浅野先生の講義は、内容をぐっと凝縮して、通訳を介することを考慮した時間配分で行われました。私たちプレゼンターは、日本のべーシックセミナーと同じく、乳房模型での実技練習のサポートを行いました。
私たちのやるべきことは同じはずなのですが、受講に臨む姿勢は日本の受講生との違いを感じ、最初はどのように関わろうかと戸惑いました。どうしようかと考えた結果、言葉でのコミュニケーションは個人単位では取れないので、どんどん手を添えていきました。そのように進めていくと、はじめは気もそぞろのように見えた受講生の皆さんも次第に前のめりになり、その後の寺田先生のケア見学は、とても熱心にしておられました。
1日目はBSケアオリジナルの乳房模型を練習のために持ち帰ってもらいました。セミナーに同行したプレゼンター個々人が自宅から持参した、何度も何度も練習を共にした愛着のある乳房模型です。翌日の練習では、手が違っていました。受講者の関心が、どんどん深くなってきているのが分かりました。
現地のお母さんへの実際のケアと得た気づき
2日目は、受講生3人が私たちプレゼンターとお部屋に分けられ、入院棟でのお母さんたちに実際にケアを行いました。受講生はそれを見学します。
赤ちゃんは、皆、お母さんと一緒にベットにいました。(母子同室も当たり前)
私たちプレゼンターもお母さんのケアを担当しました。
よく使うフレーズは、事前に翻訳していただいたシートを用いて、「この乳首の柔らかさが重要」「今後授乳を続けていくとよいこと」をお伝えしました。
お母さんにセルフケアを伝えようとすると、見学していた受講生が模型を用いて説明、もう1人の受講生は、スマホを鏡代わりに私のケアの手をお母さんに見せていました。お母さんが話したことをグーグル翻訳で見せてくれました「痛くない。心地よい体験」ということでした。
生後一日目の赤ちゃんは、おむつだけ(裸)におくるみでぐるぐる巻かれています。授乳もぐるぐるのままでした。文化を理解したうえでお伝えするという視点も大事だと思いました。
ケア後にお母さんに乳首に触れていただいた時の表情は、日本のお母さんと同じあのお顔です。「わ、柔らかい、ケアしていない方と違う」という表情(たぶん)。
モンゴルの母乳育児支援者の熱意
セミナーの後の感想では、「今まで間違ったケアをしていた。この正しい方法を覚えたい」「各部署連携していきたい」と熱い気持ちを語ってくださいました。
産婦人科院長は、「ケアのための部屋を整備することを約束します」とおっしゃっていました。
私たちがそれぞれ持っていった乳房模型は、受講生にプレゼントすることにしました。乳房模型の貴重さを伝えなければと、「一人のお母さんが一つ一つ手つくりしている」と説明すると、ほんとに嬉しそうでした。大切にてしてくれそうです。
国立母子センターでは、BSケアの学びを継続的にできることを希望されています。継続していく必要性は、日本国内と同じです。
さいごに
私は、BSケアに関わって、まさか海外に、モンゴルに行くとは夢にも思っていませんでした。
モンゴル国でも、BSケアが受け入れられ、ケアラーやお母さんに喜ばれ本当に感動しました。
モンゴル国では、多くの方のご尽力によりこの機会が達成できまして感謝の気持ちでいっぱいです。今後の継続につながるよう自分にできることを考えていきたいです。
セミナー詳細
※BSケア®は、赤ちゃんの母乳吸啜に基づいた乳房ケアです。
※BSケアプレゼンター®とは当法人により認定された信頼できる母乳育児支援者(助産師)です。
BSケアでは過去、2022年:ベトナム対象、2023年:モンゴル対象の2つのオンラインセミナーを実施しており、今回2024年6月、現地に赴いてのセミナー開催が初めて実現しました。
今回の現地モンゴルセミナーは、現地施設との継続的な連携により、赤ちゃんの母乳吸啜メカニズムに倣う乳房ケア「BSケア®」と母乳育児支援の定着を目指します。
また、BSケアを活用して、モンゴルの乳児の栄養状態の改善を目指すプロジェクトがMICS2024の協働プロジェクト候補15件に選定されました。最終10候補に選定された暁には、当法人は現地の実行主体と協力し、さらなる母乳育児支援に取り組んでいきます。
乳房ケアを通した国際的な母乳育児支援の、新たな1歩を踏み出しました。
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