Rローズトゥロード TRPGリプレイ「ある語り部の物語」 その1
吟遊詩人GMという言葉がある。
GMが用意したシナリオを一方的に押しつける。
PLに選択権を用意しない。
そういったマスタリングやシナリオに対する蔑称めいた、皮肉の言葉だ。
だが、多かれ少なかれ、吟遊詩人にならないGMは存在しない。
用意した結末に向かってPLを夢中にさせ、誘導する。
それは決して悪いことではない。
一番大事なのはPLを楽しませること。
これはTRPGにおける数少ない絶対だ。
今から語るセッションは
僕がやった中で1,2を争うほど「吟遊詩人GM」だったシナリオだ。
これが面白いのか、面白くないのか。
よかったら読んで考えてみて欲しい。
2010年3月
TRPGオンラインサークル「ほしのみちしるべ」IRCのとある部屋
ほしのみちしるべはTRPGシステム「Rローズトゥロード」を中心に遊んでいるオンラインセッションサークルである。
国産初TRPGシステムである「ローズトゥロード」。
かりそめの大地ユルセルームを舞台にしたこのファンタージーシステムは、初代、Bローズ、Fローズと版を重ね、Rローズが4作目にあたる。
シンプルで軽快なシステム。幻想的な世界観。
それらに惹かれた3人のゲーマーが、今日も専用IRCチャンネルに集まっていた。
葉月たまの
週8でオンラインセッションを遊ぶTRPGモンスター。通称たまのん。
GMをさせれば多彩なロールプレイとバランスに優れたシナリオを行うが、それ以上にPLが秀逸。
素直な元気っ娘、純粋無垢な少女を演じさせれば右に出る者はいない。
ただし、中の人は腐っている。
こあらだまり
オーストラリア留学中のドジっ子。特技はお茶をこぼすこと。
TRPGを中心に各種アナログゲームに対して深い知識を持ち、表現の引き出しが非常に広い。
PL時は絶対に曲げないRPに定評がある。
彼女が言った「ユルセルームは日本より近かった」は、ほしのみちしるべに語りつがれる名言である。
SGL
親切なGM&PLを自称するぼっちゲーマー。ゲーム歴だけは無駄に長い。
気がつけばほしのみちしるべの代表になっていたが、「親切な」の部分は理解されず、SGLのSは「ドS」のS、という不本意な評価を受けている。
回すセッションの特徴は「ジェットコースター」(たまのん談)
こあらだ「せっかくこうして3人でいるんだから、セッションやりたいですね」
たまの「やりたーーい><」
SGL「やるのはいいけど、システムはどうする?」
こあらだ「ダブルクロスやナイトウィザードもいいですが」
SGL「さすがにその2つは、シナリオ用意するのに30分以上かかるよ」
こあらだ「ですよねー」
たまの「じゃあ、ローズ?」
SGL「まぁ、ローズなら5分もあればシナリオ準備できるけど。データほとんどいらないし」
こあらだ「5分www」
たまの「じゃあ、SGLさんGMでローズね!キャラクター何使おうかな。ティアはグリグリと一緒に使いたいし」
こあらだ「私はどうしようかなぁ。レオノラにしましょうかね」
たまの「踊り子の?」
こあらだ「そうそう。」
たまの「じゃあ、わたしはプリムにする!丘小人の旅人だよっ」
こあらだ「なるほど、なるほど」
使用するPCの話で盛り上がる2人。
四六時中オンラインセッションで遊んでいるだけあって、持ちキャラが2人ともたくさんいる。
そんな2人をしりめに、セッションアイディアが書いてあるネタ帳とにらめっこするGM
そして、5分が経過した。
SGL「よし、できた」
こあらだ「本当にできたんですかw」
SGL「ローズだからね、余裕余裕」
たまの「じゃあ、早速はじめよう!」
SGL「ほいほい、それでは、よろしくお願いします」
こあらだ「よろしくお願いしますっ」
たまの「よろしくお願いします~♪」
その2に続く