私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #34 【32日目】一生に二度とないかもしれない経験、オ・セブレイロを越えてフォンフリアへ
こんにちは、ナガイです。今日はラス・エレリアスからフォンフリア(Fonfría)へ向かいます。
前回の記事はこちら。
天気予報(ペドラフィタ・ド・セブレイロ) 曇り 最高気温20℃ 最低気温7℃
7時に目覚める。今日のアルベルゲの部屋はよく遮光されており、この時間まで他に起きる人がいなかったこともあり少し遅めの起床だった。朝はいつもバル難民になりがちなので、すでにオープンしていたアルベルゲ併設のバル兼レストランで朝食を取ってから出発することにする。
食べ放題のビュッフェが10ユーロとのことで、時間とお金に余裕があればそれにしたかったが、単品でクルミのケーキとアメリカーノを注文。昨日チョコレートケーキも食べたが、ここのケーキは何だかホッとする味で好きだ。
7時半過ぎに出発。爽やかな朝だ。寒さはそれほどでもない。今日は最初にオ・セブレイロ峠の頂上まで標高600m以上を上る山場がある。難所越えには最高の天候だが、気を引き締めて行こう。
昨日シカを見て荒ぶっていた牛たちやディナーを食べたレストランの横を通過する。
しばらく車道脇を歩いてから山道へ入る。
美しい山道だ。イラゴ峠がカラッと乾いた感じだとすれば、オ・セブレイロ峠はしっとりと湿った感じがする。
ところどころ牛の糞が落ちているので足元に気をつけながら歩く。
8時半前にラ・ファバ(La Faba)の村を、9時前にラ・ラグナ(La Laguna)の村を通過。
9時頃にレオナルドからオ・セブレイロで朝食を取りながら待ってるよ、と連絡がある。
なんて美しい景色だろう。一生のうちにこんなドラマチックな経験をすることは二度とないかもしれないと思うと、少し感傷的な気分になる。
9時半頃に標高1300mのオ・セブレイロの村へ到着。建物や道が灰色のトーンで統一された美しい村だ。
バルで待っていたレオナルドと合流する。アクエリアスのオレンジ味を注文。2ユーロ。クレデンシャルにスタンプを押す。
10時前にバルを出発。ここからはレオナルドとシカと一緒に歩く。遠くに雲海が見える。
レオナルドがスマホで地図を見ながら、こっちに行ってみよう、と言ってルートを少し外れて歩いてみたりする。これまでずっと道標に従って歩いてきたので少しドキドキするが、新鮮で楽しい。
10時半過ぎにリニャーレス(Liñares)の村を通過。
ここ最近は一人で歩くことが多かったが、誰かと話しながら歩くのも楽しい。
11時頃に標高1270mを示す看板が立っている場所に到着。帽子を風に飛ばされないように押さえている巡礼者の銅像の前で少し休憩する。レオナルドがシカの足にクリームを塗ってあげていた。
歩いている時にシカのことを「シカちゃん」と呼ぶと、レオナルドが「ちゃんって何?」と聞いてくる。日本では子供やペットの名前に『ちゃん』を付けて呼ぶことを教えると、レオナルドはその呼び方を気に入ってくれて度々「シカチャン」と呼んでいた。
11時半前にオスピタル(Hospital)の村へ到着。
オ・セブレイロ峠越えで少し疲労を感じるので、レオナルドには先に行ってもらいバルで休憩することにする。アイスクリームとオレンジジュースを注文。4.20ユーロ。
12時前に再び出発。それにしても今日は次から次へと美しい景色が目の前に現れる。頻繁に立ち止まって写真を撮るので今日は進むペースもゆっくりだ。
12時半過ぎにアルト・ド・ポイオ(Alto do Poio)に到着。バルのテラスにレオナルドとガブリエレがいたので同席させてもらう。ハムとチーズのボカディージョを注文。7ユーロ。バルの店内で会計をしている時に、あることに気づく。今朝のケーキとコーヒーの代金を払っていない。恐らく5ユーロぐらいだろうが、金額の問題ではない。近くにいたガブリエレにタクシーに乗って払いに行った方がいいかな、と相談すると、電話して銀行に送金するのがいいんじゃない?と言う。銀行への送金ってどうやるんだろう。一方、レオナルドは「ほっとけよ」と言う。確かに5ユーロのために電話したり銀行口座を教えてもらったりする手間をかけさせるのも、むしろ迷惑だろうか。後で落ち着いた時にまた考えよう。
先に出発するガブリエレを見送り、少し遅れてレオナルドとシカと一緒に再び出発。間もなく分岐点に行き当たる。もちろんここはメインの道ではない方を行く。
もう一つの道の方には他の巡礼者がおらず、道端にたくさんのタンポポの花が咲いている。周りに車や人がいない場所でリードを外すとシカは嬉しそうに走り出すが、決して先へ行き過ぎることはせず、しばらくするとチラッと後ろを振り返ってレオナルドの居場所を確認しているのがかわいかった。
15時過ぎに今日の目的地フォンフリアへ到着。アルベルゲにチェックインする。宿泊代は12ユーロ。夕食は事前申込制で12ユーロ。
部屋でシャワーの準備をしているとマノに会う。彼女はシャワーを浴びた後で頭にタオルを巻いていたせいで一瞬誰だか分からなかったが、今日は先にアルベルゲへ着いていたようだ。
洗濯物を庭で干して戻る途中、サン・ジャンで出会ったスイスのステファンとばったり遭遇した。ほぼ1ヶ月ぶりの再会で、お互い歓喜の声を上げた。彼も同じアルベルゲに泊まっているようだ。実はステファンのことは一度エステージャで見かけたのだが、その時は彼が女性と二人で食事をしており、話しかけてよいものか分からず結局話しかけなかった。彼は1日に30〜40kmを歩く代わりに、大きな都市で休養日を取るというペースで巡礼をしているそうだ。自分は毎日20〜30km歩き、休養日は取らないというペースのため、それがこのタイミングでピッタリ重なったのだろう。マノもサン・ジャンで出会った一人であり、昨日も同じくサン・ジャンで出会ったナタリーと再会を果たしている。最初の頃に出会った人達との再会には特別な喜びを感じるので、昨日今日とそれが立て続けに起こって嬉しい。
部屋に戻って昼寝をしたりしてゆっくり過ごし、19時前にディナーを食べに別棟へ行く。レオナルドはシカが中に入れないらしく、外にテーブルを用意してもらっていた。
一皿目はガリシア風のスープ。二皿目は豚肉、グリーンピース、マッシュルーム、パプリカの煮込み料理とライス、デザートはスペイン巡礼では定番のアーモンドケーキであるタルタ・デ・サンティアゴ。みんなでテーブルを囲んで食べるディナーはおいしい。特に二皿目はアジア人好みの味なのだろう、とてもおいしかった。
20時過ぎに部屋に戻り、21時半に就寝。
歩いた距離
今日20.2km 合計636.3km 残り144.1km
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