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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #11 【9日目】風の吹くペルドン峠を越えてプエンテ・ラ・レイナへ

こんにちは、ナガイです。今日は大都市パンプローナを離れてプエンテ・ラ・レイナ(Puente la Relna)という町へ向かいます。
前回の記事はこちら。

天気予報(プエンテ・ラ・レイナ) 曇り 最高気温24℃ 最低気温6℃

夜中の1時半頃に一度目が覚める。あちこちから聞こえてくるいびきや咳であまりよく眠れない。一つの空間に大人数で寝るアルベルゲでは覚悟しないといけないことだが、今日は割とひどい方なのでAirPodsを耳栓がわりにしてなんとかやり過ごす。巡礼者の中には快適さや静かさを求めて時たま個室に泊まる人もいるようだが、それも納得できる。

再び寝て6時前に起床。やはり睡眠時間の割には眠れていない感じがする。6時半出発。右足の人差し指の先に少し痛みを感じるので、特に右足の靴紐を固く結ぶようにする。

一緒に歩き始めたのはアニータや昨日すれ違った面々など。次第に顔ぶれが似てくるから面白い。

今日はゆっくり朝食を取ることにする。歩いて20分ほどの場所にあるカフェに行き、オープンの7時まで少し待つ。

クロワッサンとアメリカーノを注文。2.95ユーロ。

事前に他の人たちの巡礼記を読んでいる時は早起きして少し歩いてから朝食を取るというのは順番が変だなと思っていたが、いざやってみると自然とそうなることが分かる。

ゆっくり朝食を取ったこともあってか今日は他の巡礼者をよく見かける。

8時前には太陽が山から顔を出してパーっと辺りを照らし出す。右足の指先の痛みは気をつけて歩けばなんとか大丈夫そうだ。

歩きながら家族のことについて考える。なぜか頭の中での話し相手はアニータだった。彼女に英語で話すとしたらどうやって話すだろうかと考えていると、自然と今後のことまでも前向きに考えることができた。

歩いていると喉が渇いてくる。実は今日は水を持たずに歩き始めている、昨日のアルベルゲにあった自動販売機が壊れており、今朝どこかで買おうと思ったが結局買いそびれてしまった。これからは必ず常備しておくようにしよう。

それにしても今日はよく晴れており、これはひょっとすると脱水症状になるかも…と心配になった。Googleマップで何かないか探してみると、あった。30分ほど歩いた先に商店があるようだ。それなら大丈夫そうだ。とりあえずそこまで頑張って歩こう。

しばらく歩いていると小柄なおばあちゃんがゆっくり歩いている。確か昨日同じアルベルゲに泊まっていた女性だ。かなり朝早く出たのだろう。あまりにもスローペースなので「大丈夫?疲れた?」と声を掛けると英語が通じないのか「ありがとう」とだけ答える。再び歩き出すと「ちょっと待って。背中のバッグから水を取ってくれない?」と頼まれる。水は今こっちが一番欲しいものだよ…と思いながらも、この女性から分けてもらうのは申し訳ないので何も言わずに取って渡してあげた。

そしてついにZariquieguiという村に到着し、商店でりんごと水購入。2.6ユーロ。りんごがみずみずしく、この世にこんなにおいしいりんごがあるのかと思えるほどだった。

休憩のついでに村にある教会でスタンプをもらう。0.2ユーロを寄付。スタンプを押してくれた女性がリーフをくれる。細かい説明はよく分からなかったが、blessedと言っていたので祝福ということらしい。

休憩して元気も回復したので再び歩き始める。次第に峠の上に並んだ風力発電の風車が近づいてくる。

10時過ぎに標高780mのペルドン峠に到着。巡礼のモニュメントがある。頂上に着いた途端に強い風が吹きつけてくる。

峠の向こう側の景色は手前側とはまた趣が異なっていて面白い。

ここからは上がってきた分だけの下りが待っている。下りの方が足への負担が大きいので焦らずにゆっくり歩く。石がゴロゴロしていて歩きづらい。

急な下り坂が終わると比較的なだらかな道が続く。昨日までの分も重なって腰から下の脚全体にかなりの疲労が蓄積しているのを感じる。

この道で会う人々は、巡礼者も地元の人も基本的に明るく接してくれるが、時々あまりアジア人が好きではないのだろうという印象を受ける人たちもいる。彼らの気持ちは理解できるので、自分も彼らに期待することはせず、ほどよい距離を保つようにしよう。

ウテルガ(Uterga)、ムルサバル(Muruzábal)、オバノス(Obanos)といくつかの町を通り過ぎる。

オバノスという町に入った辺りで、何の花かは分からないのだが一面に黄色の花畑が広がっており、とてもきれいだった。

パワーをもらえたのか不思議と疲れが吹き飛び、再び坂道を歩く力が湧いてくる。

それから1時間ほど歩き、ようやくプエンテ・ラ・レイナへ到着する。

1軒目に行ったアルベルゲが今日は予約で満室とのことだったため、2軒目のアルベルゲに向かう。勝手にアルベルゲは予約できないものだと思っていたが、予約できるところもあるようだ。2軒目のアルベルゲがある場所へ歩いていると、地元の男性が「アルベルゲを探しているの?案内してあげるよ!」と声を掛けてきて、しばらく横を歩いて案内してくれた。Googleマップで場所は分かっていたので一刻も早く行きたかったのだが、彼の好意を無碍にしたくなかったので最後まで付き合った。2件目のアルベルゲは空いていたので、こちらに泊まることにした。13時過ぎにチェックイン。宿泊代は7ユーロ。

シャワーと洗濯を済ませ、14時半頃に町へ出る。
アルベルゲの入り口で到着した巡礼者がホストの男性と話しており、どうやら満室になったため他のアルベルゲの場所を教えてもらっているようだ。
アルベルゲの目の前にある教会は質素だが、だからこそ町の人々の生活に根づいていることを感じさせる。

アルベルゲの近くのバルで昼食を食べる。サラダが食べたい気分だったので、サラダとハンバーガー、コーラを注文する。17ユーロ。

最初にサラダが運ばれてきたが、なんとラーメンの丼くらいの大きさの皿に入っており予想していたものよりはるかに大きかった。しかもバゲットまでついている。

慌ててハンバーガーは夕食用にテイクアウトにしてもらうようお願いした。会計の時にスペインのサラダがこんなに大きいと知らなかったことのお詫びと、テイクアウトの対応をしてくれたことのお礼を伝え、最終的には店主と笑顔で会話できたので、スペイン語を勉強しておいてよかったと思った。

買い物に行こうとスーパーに行ったがイースターの関係で14時閉店だったらしく、すでに閉まっていた。歩いている途中で見つけたホテル兼レストランで水だけ購入する。3ユーロ。

その後道端で会ったアニータから他のスーパーが空いているとの情報を教えてもらったので行き、日焼け止め、パン、オレンジジュース、チョコレートを買う。日焼け止めが12.95ユーロ、それ以外の飲食料品が3.79ユーロ。

昨日はパンプローナ観光をしてあまりゆっくり休めなかっため、今日はアルベルゲの裏庭で寛いだり、明日の支度をしたりしながらゆっくり過ごした。20時頃に持ち帰りにしてもらったハンバーガーを食べる。

アルベルゲにある共用の食堂で食べたのだが、別のテーブルでは陽キャの巡礼者たちによる盛大な宴が行われていた。その騒々しさにげんなりしたが、それ以上にそんな人たちをどこか羨ましくも思っている自分に対する嫌悪感が湧き出てきて、少し後味の悪い一日の終わりだった。21時半就寝。

歩いた距離
今日23.5km 合計91.7km 残り688.7km

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