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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #36 【34日目】ついに残り100km、ポルトマリンで再び感じる“スコシサミシイ”気持ち

こんにちは、ナガイです。今日はサリアからポルトマリン(Portomarín)へ向かいます。
前回の記事はこちら。

天気予報(ポルトマリン) 雨 最高気温25℃ 最低気温13℃

5時前に起床。睡眠時間は短いがよく眠れた気がする。そういえば急性気管支炎も大分良くなってきた気がする。昨晩は咳き込んで眠れなくなるということもなかった。ただし、その代わり少し前から花粉症の症状が出ているので、日本から持参していた花粉症の薬を3日前から飲み始めている。そして最後の難関も越えたので、荷物を少しでも軽くするために途中からほとんど使わなくなったが念のため取っておいたトレイル用ゲイターを捨てた。
6時出発。もう少し寝ようかとも思ったが、今日は昨日に引き続き気温が高くなりそうなのと、夜からの予報だが雨が降る可能性があるため、早めに出発することにする。

この時間に出発するのは久しぶりのような気がするが、外はすでに10℃を超えており、ちょうどいい気候だ。

大きめの町では珍しいが、サリアはこの石柱のタイプの道標が町中にある。町の風景に溶け込みきれていないのが面白い。

恐らく巡礼者をモチーフにしたのであろうキャラクターのイルミネーションがある。たまに看板に描かれていたりするのを見かけるが、これはシャコベオ(Xacobeo)というガリシア州の巡礼マスコットらしい。

教会もこの時間はまだ静かに眠っている。

町の出口で「え、この暗闇を行くの!?」といった様子で立ち止まっている人がいる。サリアから歩き始める巡礼者だろうか。iPhoneのライトを点けて先に行くと、他の巡礼者がぞろぞろと後をついてくる。

サリア以降は道が楽になるものと思っていたが、それなりにアップダウンもあり歩きがいがある。坂道でシン、アンとすれ違う。彼らは今日ポルトマリンまで行く予定だそうだ。

7時頃にヴィレイ(Vilei)の村へ到着。ホテル併設の良い感じのバルがあったので朝食を取ることにする。しっかりめに食べようと思い、ベーコンエッグ、コーヒー、オレンジジュースを注文。注文時に「今払ってもいいですか?」と言って先に会計を済ませる。8.70ユーロ。

食べ終わって外に出ると辺りはすっかり明るい。

やはりサリアから歩き始めている人が相当数いるらしく、「ブエンカミーノ」と声を掛けると嬉しそうな反応をする人達や、朝日を見て歓声を上げている人達がいる。そういう新鮮なリアクションをしている巡礼者を見ると何だか自分も嬉しくなる。自分にとっては1ヶ月以上に及ぶ行程のうちの残り5日間だが、彼らにとっては新しい5日間の始まりなのだ。ついベテランぶってしまいたくもなるが、自分も彼らのように初心を思い出して残り100km余りを全力で楽しみたいと思う。

8時前にレンテ(Rente)の村を、8時半過ぎにペルスカージョ(Peruscallo)の村を通過。

サリアからの道のりは車道を歩くところもあるが山道も多く、楽過ぎずキツ過ぎずでスペイン巡礼の雰囲気を十分に味わえる。

少し前から雲行きが怪しかったが、9時前に通り雨が降る。すぐに止みそうではあったが、念のため雨を凌げる木の下で立ち止まり、レインコートとリュックカバーを装着する。

9時過ぎにブレア(Brea)の村を通過。先ほどの通り雨で駆け込んだ人も多かったのか、バルには多くの巡礼者が休憩していた。

リュックにブラジル国旗を付けている男女が前を歩いていたので追い抜きざまに「bom dia!(おはよう!)」と挨拶する。これはクリスティアーノのおかげで覚えたポルトガル語だ。

9時半頃にフェレイロス(Ferreiros)の村を通過。

100.485kmの道標がある。もうすぐだ。

次の道標は100.252km。いよいよだ。

そして9時半過ぎ、残り100kmぴったりの道標を通過。感慨深いものがある。

少し歩いたところに自動販売機のある休憩所があり、そこでクレデンシャルに自動販売機の絵柄と共に「Vending Km.100」と彫られたナイスセンスなスタンプを押す。

10時過ぎにモイメントス(Moimentos)、マルカドイロ(Marcadoiro)の村を通過。

途中にあったバルで休憩しようと思ったが、飲み物が一瓶、一缶で2.50ユーロするのでやめた。特にサリアから巡礼を始めた人たちにとっては一番しんどくて休みたくなる頃だと思うので、恐らくこの値段でも買う人たちが多いのだろう。なんとなく自分の中では、これまでの経験を踏まえて飲み物の上限を2ユーロに設定しており、それを超える場合は我慢するか、レストランなどで飲み物を頼まないといけない場合は一番安い水を頼むことにしている。これもレオナルドに教わったことだが、料金を明示していないバルなどでは相手を見て高い値段をふっかけてくることもあるそうで、それを聞いてからは必ず事前に値段を聞いてから注文するようになった。

ポルトマリン直前の分かれ道は左を進む。結局雨は数回パラついただけだった。

ミーニョ川に架かる橋を渡り、11時半前に今日の目的地ポルトマリンの町へ到着。今日は途中で2回休憩して12時頃に到着する想定だったが、結局1回しか休憩しなかったので早めに着いた。朝食をしっかり食べておいてよかった。

11時半過ぎにアルベルゲへチェックイン。宿泊代は13ユーロ。

バックパックを置くと疲れがドッと押し寄せてきた。適当な休憩場所が見つからなかったこともあるが、どこかでもう一回休憩を取るべきだったのだろう。シャワーと洗濯は後回しにして近くのスーパーへ行き、アイスとコーラを購入。2.90ユーロ。

たっぷり休憩してからシャワーと洗濯を済ませる。ホスピタレイラの女性が英語を話せるようだったのでおすすめのレストランを教えてもらった。

14時過ぎに町へ出る。おすすめしてもらったレストランはアルベルゲから歩いてすぐのところにあった。ガリシアパイ、スパイシーポテト、水を注文。11ユーロ。

ランチ後にしばらく町を散策してから15時過ぎにアルベルゲへ戻る。

サリア以降、知り合いに会う機会が減った気がする。元々は一人で始めた旅だが、少なくない数の知り合いが出来た後に改めて一人になると少し寂しさを感じる。

ベッドの上でゆっくりしていると、どうやら雨が降ってきたらしい。急いで洗濯物を取り込むが、幸いにも靴下以外はすでに乾いているようだった。何度か雷が鳴る音も聞こえたが、結局そこまで本格的な雨にはならなかった。

20時過ぎにディナーを食べに町へ出る。今にも雨が降り出しそうな曇り空なので一応折り畳み傘も持って行く。町を歩きつつディナーの場所を探したが、結局ランチを食べたレストランに再度行き、自家製コロッケ、パン、水を注文。少し物足りなかったのでデザートに店員の男性がおすすめしてくれたチーズケーキを追加で注文。15.80ユーロ。

店を出ると強めの雨が降っており、傘を差してアルベルゲへ戻る。なんとなく今日は残り100kmを切って終わりが近づいてきた実感が出てきたのと、すっきりしない天気も相まって少し寂しさの残る一日だった。まさに行きの飛行機でCAの男性に言われた「スコシサミシイ」だ。結局人が最後に感じるのは寂しさなのかもしれない。

21時半就寝。

歩いた距離
今日21.6km 合計688.1km 残り92.3km

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