3Dプリンターの印刷物への塗装
3Dプリンターで小物を印刷すると基本的にフィラメントの色だけで物足りなくなります。
最近は安価な多色印刷出来るプリンターも出ていて気軽にカラフルな造形物が印刷出来るようになっていますが、塗装って方法も慣れれば気軽に出来なます。
今回は3D印刷物への塗装方法の覚え書きです。
はじめに(注意点)
プラモへ塗装するのとほとんど同じです。基本的に全く同じと考えていいです。
ただ、マテリアル(フィラメント)は溶剤(シンナー)に非常に弱く、特に積層型印刷では塗装した後非常に脆くなったりします。毛細現象で隙間に溶剤が入り込み発揮しないまま表面が硬化してしまい。半年後にはボロボロになったりします。
これはプラモの塗装と同じように下地をしっかり処理し塗装すれば防ぐ事が出来ます。まぁそれで解決ですがかなり面倒です。
通常のプラモ塗装の手順は
サーフェーサーで下地作り。エアブラシ(1回目)
このとき傷の確認等行う。250-400番のヤスリで磨く。傷等は溶きパテ・瞬間接着材等で補正
サーフェーサー2回目。下地がまだ荒いようならヤスリがけを行い3回目を行う。
塗装色にあわせた下地色を塗装(エアブラシ、筆塗り)
ラッカーは予想以上に遮蔽力がないので本塗装。必要に合わせて数回行う。
最後にクリアを噴いて仕上げ
となります。3Dプリンタの印刷物もサーフェーサーで下地をしっかり作り、乾燥をプラモの時より十分に行えば同じ手順で大丈夫です。
僕は面倒なので以下の手順で塗装しています。
僕の場合3Dプリンタの印刷物を複数作って塗装ってパターンが多くあまり手間をかけられないのでかなり手抜きの方法です。
目立つ傷・穴等をシアノン(瞬間接着材)で補正。
250番くらいでヤスリがけ。
アクリジョンベースグレーを筆塗り。
2000番のヤスリで水研ぎ。
水性ホビーカラーでエアブラシ塗装。
クリアを噴いて仕上げ
通常の方法だと量によりますが2,3日はかかりますが、この方法だと1日で塗り終わります。いろいろ試した結果上記の手順に落ち着きました。
以下にそれぞれの手順について説明します。
印刷物の傷・穴の補正とヤスリがけ
3D印刷物はフィラメントの色が積層痕とか目立たないような色になっているので余り気にならないのですが、塗装すると傷・穴・積層痕がかなり目立ちます。
最初の段階で綺麗にしていけば後の工程がとても楽になります。
補正道具
シアノン瞬間接着剤
普通の瞬間接着剤でもOKですが、シアノンは硬化がちょうどいいくらいに遅い。硬化した後柔らかく削りやすいので使ってます。硬化スプレーは必需品です。ベビーパウダーとませ混むとさらに削り安くなりますが、僕はそこまでしていません。ヤスリ
大雑把に削る時使ってます。最近マジ・スク買ったらほとんど使わなくなりました。Godhandsの神ヤス
以前は100均で買った耐水ペーパー使ってましたが、これ使い始めたらもう止められません。水研ぎもできて耐久性が全然違います。
この段階では240-400番の荒さで処理してます。ペンサンダー
電動ヤスリがけです。あると時間をかなり短縮出来ます。
PROXXONは安かったので買ったのですが、今ならアルゴファイルのペンサンダーの方が良さそうです。値段は倍ですが。マジ・スク
アルゴファイルのスクレーパーですが、なんとなく買ったのですが凄い使えます。
印刷物の底面はかなり盛り上がるので毎回修正に苦労してましたが、これ使えば簡単に削れます。硬化したシアノンもサクッと削れます。
積層痕や表面の荒れをカンナみたいに削れます。
パテについて
傷や穴はプラモだとパテや溶きパテで修正しますが、パテの成分にシンナー等の溶剤が含まれていて印刷物に悪影響あることが分かったので使用しなくなりました。溶きパテはかなり理想的な補正が出来ますが、乾燥に2,3日かかります。乾燥が不十分のままだと後で収縮して塗装後段差がでたりします。
さらに溶剤の発揮が不十分のまま塗装してしまうと、フィラメントが浸食され半年後にボロボロになります。
乾燥機使えば時間は短縮されますが、収縮が酷くてやり直しの時もあります。
そのため傷の補修はシアノン瞬間接着剤で落ち着きました。
塗料(ラッカー)について
塗料はプラモと同じ物が使えます。
ラッカー クレオス「Mrカラー」
水性アクリル クレオス「水性ホビーカラー」、タミヤ「アクリル」
エマルジョン クレオス「アクリジョン」
使った印象ではどれも問題なく使えますが一つ問題があります。フィラメントのABS/PLAは溶剤のシンナーに非常に弱く塗料の種類と言うより溶剤に非常に弱いです。比較的PLAは強いですが、ABSは予想以上にシンナー溶剤に弱く簡単にボロボロになってしまいます。
ガイアノーツのラッカーは実はABS専用の塗料がベースになっているのですがうすめ液のシンナー成分が非常にABSを腐食するので全く使えないです。
つまり、溶剤で薄めずにペタペタと筆塗りするならどれを使っても問題ないです。一番気軽な塗装法です。
筆塗りはそんな感じで一番気楽な方法ですが、綺麗に塗るのにはかなり技術が必要となります。発色の問題でたいていの場合1回塗りでは駄目で数回塗らないと駄目なので、エアブラシの方が圧倒的に楽に時間かかりません。
エマルジョン塗料である「アクリジョン」は水性で乾きが速く、塗装面もかなり強いと理想的ですがエアブラシとの相性が悪く、手間をかければエアブラシは可能ですが余り進められません。
下地作り
通常なら下地はサーフェーサーというそれ専用の塗料を使うのですが、溶剤がシンナーなので余り使いたくない。と言うことで水性のサーフェーサーを使います。
僕はクレオスの「アクリジョンベース」をサーフェーサー代わりに使っています。アクリジョンとは別物です。塗料の粒子がサーフェーサー並に大きいので小さな傷は消してくれます。小さな積層痕であれば十分に消してくれます。
クレオスから水性サーフェーサーも出てますが、値段代わりと高価で手軽に使えないので。もっぱらアクリジョンベースです。
アクリジョンベースのグレーを筆塗りで簡単に塗っていきます。
アクリジョンベースは乾燥が速いので30分くらい待てば2度塗りが出来ます。
アクリジョンベースはグレー以外にも色はあるのですが、ホワイトだけ何故かかなり遮蔽力が弱く定着力も弱いので使えません。僕はもう面倒なのでグレーだけ使ってます。
アクリジョンベースが乾いたら2000-3000番の神ヤスで水研ぎします。筆塗りなので少し厚塗り気味になるのと塗りむら消しです。
この段階で傷や穴等見つけたらアクリジョンベースを厚塗りして補修します。アクリジョンベースは溶きパテかわりにもかなり使えます。
まぁ多少な傷は気にしないって方法の乗り切る方がストレスたまりません。
本塗装(エアブラシ)
本塗装はエアブラシで行います。筆塗りでもOKですが僕の場合はエアブラシの方が楽です。
最初は皮膜の強さや乾燥速度で「アクリジョン」でエアブラシしていましたが、余りにも大変だったので今では「水性ホビーカラー」がメインになっています。エアブラシの洗浄の手間が圧倒的に違います。ただ、乾燥時間が多少長いです。
「アクリジョン」は皮膜が強いのでロボットの関節とか摩耗が激しいところには最適ですがとにかく洗浄に時間がかかります。乾燥速度がめちゃ速いのですぐにエアブラシが詰まってしまいます。
「水性ホビーカラー」も最新の物は比較的皮膜が強く乾燥時間も短くなっていますが、ちょっと不満あります。
なので今Mr.Color等のラッカー系の塗料の検証をしています。アクリジョンベースの下地がちゃんと出来ていればシンナー溶剤による悪影響もほとんどないはずなので旨くいったら今後はラッカー塗装に切り替えて行くつもりです。
エアブラシは高儀の安いヤツのコンプレッサーに0.5mmのハンドピースをつけて行っています。アクリジョンが0.5mmじゃないと簡単に詰まるので使っていましたが、今はアクリジョンは使っていないのですが慣れてしまったので0.5mmを今でも使ってます。
最初は充電式のコンプレッサー一体型の安いヤツを使っていましたが充電が面倒になって今のヤツを買いました。
エアブラシブースは自作しました。安い窓ファンを使って後は自宅にあった物で組み立てました。
塗装の乾燥
最初は3Dプリンターのフィラメント乾燥用に自作した乾燥機を使って乾燥させていました。めちゃ速く乾燥できますが準備が大変なので最近は3Dプリンタのベットを50度にしてUSB扇風機と併用で乾燥させてます。
簡易エンクロージャーもあるので埃対策も万全です。
最後に
盆休み中PCの前に座る元気が全然出なくてエアブラシの塗装してました。
本当はAfter Effectsのプラグインの続きとかしたかったのですが手がつけられませんでした。
まぁ、エアブラシはしてたので今まで覚え書きとして書いた記事になります。