独自の世界を泳ぐ彼。
今のパートナーとは付き合って、15年を越える。よく言う「家族みたいなもん」。そんな感じだ。
年上の彼は、仕事は自営業でほぼ休まずに働いている。飲食店なので、いつお客さんが来てもいいように開けている。というより、家でじっとしてるのが嫌というのが正解かもしれない。そのお陰もあって、何十年と愛されるお店を営んでいる。
なぜ、こんなに元気なんだろう?と、考えたことがあった。"ストレス"の発散が上手にできているというのが、ぼくなりの見解だ。現代社会で多かれ少なかれ、誰もがストレスを抱えていて、それは致し方ないことのようだが、彼はそのストレスをうまく発散させている。
普段はあまりお客さんと付き合いはせず、自分の世界にどっぷりと浸かる。日々、多くの人に会うからこそ、プライベートはひとりの時間を取ることで、精神のバランスが保たれているのかもしれない。そして、思う存分好きなものを食べて、好きなことをする。そんな当たり前のように思えることを当たり前にしている。
食事をみると、付き合っているぼくのほうが彼の健康面を気にするほど、偏食だ。好きなものを食べて、好きなものを飲む、健康なんてお構いなしの食生活。高級志向ではないが、彼は、なにかにはまると、とことんはまる。例えば、みかん。冬になると手が黄色くなるほど、1日に何個も食べる。今は、香川県のしょうゆ豆という郷土料理?を取り寄せて食べている。ときに、体調を崩すこともあるが、大病は今のところしていない。
趣味をみてみると、例えば、水槽に魚や亀を飼っている。1人で飼うには多すぎやしないかと思うほどの量を、せっせと世話をしている。だんだんと愛着も湧き、魚たちもなついてきて、エサをあげたりするときには寄ってくる。生き物は、彼にとってストレス発散になっている。
それ以外にも、ひとりの時間を楽しめる趣味があり、ジオラマ作りだとかやりだすと、仕事後も、朝方まで取り組むほど凝り性だ。その時はストレスよりも楽しいが上回り、ときに肩凝りが軽減していることもあるほどで、人体の不思議を感じたこともあった。
とにかくヒマが嫌いな彼は、旅行でも、リゾートよりバタバタと観光したいタイプで、ガイドさせておけば間違いない。
生きる上で仕事はたいせつだが、それ以外の時間の使い方に良い影響を与えてくれたのは彼だった。これまでに色々な景色や歴史あるものたちを一緒に目の当たりにしてきた。その経験はどれもかけがえのないものだ。
最近では、ぼく自身もやりたいことを見つけることができたのは、やはりパートナーあってのことだと思う。貰ってばかりの彼に、すこしずつでも恩返しをぼちぼちしていきたいな、と思っている今日この頃である。